【宇宙人】アニメ『惡の華』のために
書き下ろした6分強の組曲
ヴェールに包まれたままの謎の4人組バンド・宇宙人。新曲「惡の華」についてヴォーカルのしのさきあさこに話を訊いた。
取材:吉田可奈
新曲「惡の華」は同タイトルのマンガがアニメ化するにあたり、書き下ろされた曲なんですよね?
はい。アニメ主題歌の話をいただいてから、原作を読んだのが去年の12月だったんです。これまで生きてきてマンガを読んだことがなかったので、いろいろ衝撃でした。
え! 初めてのマンガなんですか!?
そうですね~。小学生の頃にハマっていたのは散歩だったし、中学生の頃は昼ドラにハマっていたので。
昼ドラですか…。
昼ドラ楽しいですよね~。いきなり人格が変わったり、めちゃくちゃな展開があるので見逃せなくて、毎日忙しいんです。思い切り激しい展開のほうが好みです!
アニメなどは観てなかったのですか?
サザエは観てましたよ。大好きで、観れない時は録画で観ているんです。サザエ!
“さん”付けましょうか(笑)。だとしたら、『惡の華』はとてもクセが強いので衝撃を受けたと思うのですが。
そうですね。中学時代から学校以外は人との接触をほとんど排除していたので、中2病の意味が分からなかったんです。でも、このマンガを読んで、やっと理解しました。
どんなふうに曲が作られていったのですか?
最初に曲を作ろうと思った時に、主人公で“自分は変わっている”と思いながら、実はよくいる中学生の春日くん、“自分は変わっている”というのを全面に表現している攻撃的な仲村さん、優等生でクラスのマドンナである佐伯さんのそれぞれをイメージしたメロディーを50個作ったんですよ。さらにキャラだけでなく、舞台となる桐生の町からイメージする曲も作ったんです。
一気に50曲も作り上げたんですか?
はい。そこからそれぞれ4曲をつなげて、組曲に仕上げました。
確かに展開がコロコロ変わっていく、6分強という曲に驚きましたが、そういうことだったんですね。それぞれ、どんなイメージで作ったか教えてください。
最初の仲村さんのメロディーは分かりやすく攻撃的に、怪獣が小さなビルをどんどん壊していくように仕上げて、アレンジはハンガリー舞曲をイメージしたんです。狂っているのか、踊っているのか、それとも踊らされているのか…分からないうちに狂っている感じを出したかったんです。春日くんのメロディーは、カッコ付けておきながら、結果的に気持ち悪いという彼の印象をそのまま閉じ込めました。
このふたりのサビは同じメロディーなんですね。
そうなんです。このふたりは、とても似た人物なんですよ。なので、歌詞だけ変えて同じ終わり方をしているんです。そして、佐伯さんが優等生だった人間が突然変異のようにどんどん狂っていく取り乱した感じを表現しました。最後の桐生は、実際に行ってみて感じた閉鎖感とどこかゾクっとさせる雰囲気をメロディーに託したんです。
壮大で、映画を観ているようでした。
ありがとうございます~。この曲はアニメのためだけに書いて歌った曲なので、この曲を聴いてアニメを観てもらえたら、すごく嬉しいですね。
すっかり『惡の華』にハマったみたいですね!
うふふ(笑)。佐伯さんの“昼ドラ感”はすごいので、ぜひそこを観てもらいたいですね~(笑)。
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