【LGYankees】“やっぱり、いいね!
”と感じられると思う
カッコ付けていて素直じゃなかったけど
無知ゆえに逆に素直なところもあった
ベストアルバムということで、過去のことも振り返ってもらおうと思うのですが、HIROさんが書く詞について、ご自身で何か変化はありましたか?
意識したわけじゃないんですけれど、震災前くらいから明るい歌を書くようになりました。自分で書くにしても、作家に相談するにしても、自然とそういう方向性になっています。昔はもっとスレていて、悪ぶって見せていましたが(笑)。歳もとって丸くなってきたんですかね。
ベストアルバムには、今回のためにセルフカバーした曲も入っていますね。
“今だったらこの曲は前より上手く歌えるな”とか、“前よりも良く聴いてもらったほうがいいな”と思ったものに関しては、録り直ししたり、リアレンジしています。あとはこの人のバージョンを聴いてみたい、とか。4枚目のアルバム『BARIBARI LGYankees』に収録されている「春風」は渡辺美里さんにフィーチャリングで参加していただいたのですが、この曲はレーベルメイトのNoaが作っていて、プリプロで歌っていたのも良かったので“歌ってみてよ”と依頼しました。
昔の曲を掘り返してみて、どんなことを感じましたか?
1stアルバム(『JOINTED 2 HOMIES』)などを聴くと、若かったなぁということと、カッコ付けていて素直じゃないなと感じましたね。でも、無知ゆえに逆に素直だなと思っているところもあるんですよ。今同じようなことをして、同じような曲を書けと言われても、まず無理ですから。当時と生活も変わったし、ものごとへの視点も変わってるし。だから、選ぶ言葉も当然変わってくる。あの時にしかできなかったことが、アルバムに入っているんだと思います。
メジャーになってから変わったことは?
音楽をちゃんと勉強するようになったことです。だけど、正直に言うと2008年の2ndアルバム『NO DOUBT !!! - NOLIMIT-』から2011年の4thアルバム『BARIBRARI LGYankees』までは、ほぼ学習できていないですね。今回ベストアルバムを作っていて“あの時、何を考えていたんだろう?”とか“この時にこれを考えられていたら、こうはならなかったはずだ”とか思うことばかりですし。前は3時間やって録れなかったコーラスが、今回は5分で録れたんですよ。
それは大きな変化ですね。
当時はどう歌っていいか分からなくて。結局、みんなに手助けしてもらってやっと完成したコーラスが、今回はあっと言う間でしたから。だから、ちゃんとものごとを理解できていなかったんですよね。ただ、さきほど言ったように、若い時にしかないものはあるんだなとは思いました。勢いもそうだし。同じものを同じテンポで歌っていても、その時の鳴り方はしないんです。それは筋力の衰えなのか(笑)、それとも楽節を優先するがゆえに、そのニュアンスが出なくなってしまったのか…。やっていて、すごく葛藤しましたね。鳴り方を聴いても“前のほうがいいな”と思うこともあったんですけど、“でも、これじゃたぶん違うから”と考えて、ハメ込んでいきました。
ということは、5枚目の『Go ! GO ! LGYankees !!!』から手応えが変わってきたということでしょうか?
勉強しようとしてもなかなか身に付かなかった、ミックスを1から入って納得するまでやるという作業を3年間していたんです。その中で“これはおかしい。これはおかしくない”や“こういう鳴り方をさせたい”ということをすごく勉強していて。それがたまたま次のアルバムになったら、うまく反映できたという感じだったんですよ。
今回、録り直して、もっとも表情を変えた作品は?
『NO DOUBT !!! -NO LIMIT-』に収録されていた「LastSummer Day -partII-」です。これはぜひ聴き比べてほしいんですけれど、当時“女子! 女子!”ってがっついていたのが、今回はちょっと引きながら客観視して、優しく歌えていますね(笑)。あと、「KO.A.KU.MA」は鳴り方、アレンジが完全に変わっていて、リリックも一部変わっています。
だいぶ変化したのですね。
これは今回のアルバムタイトルの意味に通じる要因のひとつなんですけれど、今まで聴いてくれていた人も、ベストアルバムを聴いた時に“これ、違う曲になっていないか? でもあの曲だよな”とか“果たしてこれ、ベストなのか?”“これ、セルフカバーなのか? 新しい曲じゃなくて?”と思うんじゃないかと。鳴っている曲や内容は一緒なんだけれど、曲としては違うように感じられる。でも、聴き比べをしたら“あっ、こっち(ベストアルバム)のほうがいいね”というふうにはなっています。初期であるインディーズの頃、僕らがメジャーデビューしてからの中期、そして今。これまでの過程において、新しいファンも増えてくれていますが、やはり音楽性が変わっていったことや、いろいろなきっかけで離れていったファンもいると思うんです。でも、離れてしまったファンも“ベストアルバムを出したんだ。じゃあ、聴いてみようかな”というノリで買ってくれて、それで“やっぱりいいね、LGYankees“ということになればと思ったので、タイトルも“YAPPARI ”と付けたんです。これまで成長した部分も聴いてもらえれば、とは思います。
また、毎回カッコ良いジャケットが評判ですが、今回もすごくパワーが注がれている仕上がりです。
めちゃくちゃ凝っていますよね。ベストということで、立派な仕様にしていただいて。プラス、中のジャケットは、カッコ良いし、ふざけているし。たぶん他の国内のアーティストだとなかなか表現が難しいだろうな、というところにトライしています。あと、懲りずにスーツを仕立てまして。今回は千鳥格子のひとつひとつがとても大きな千鳥格子のスーツを作りました。2型あるんですけれど、もう1型は上から下まで全部PRADAの新作コレクションだったりして。見てもすごく楽しめるようになっていますよ。
LGYankeesとしてこれからの活動は?
ベストアルバムを出してから次に出す一枚って、変わらない何かなのか、それともまったく違うベクトルに向かうのか、やってみなければ分からないです。ただ、好いてくれているファンを180度裏切るような音楽性や考えを持ち合わせてはいないので、そこらへんは安心してまた手に取っていただきたいです。あと、最近ライヴが楽しくてしょうがないんですよ。メジャーデビューしてから太ってしまったんですけれど、ここにきてだいぶ絞っています。痩せたらやっぱりライヴがスムーズにできて(笑)。より、ライヴが楽しくなっています。
ベストアルバムにちなんだライヴは?
ツアーは絶対にやります。年はまたいでしまうと思うのですが、年内には何かのアクションを起こしたいので。ぜひ僕らのホームページやTwitterもチェックしてほしいですね。
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