【南壽あさ子】昔のまっさらな自分と
今の自分が共存しています
透明感あふれる歌声と“風景”を感じさせる歌詞で注目度が高まっているシンガーソングライター、南壽あさ子がシングル「わたしのノスタルジア」でメジャーデビュー!
取材:田中隆信
もうすぐメジャーデビューシングル「わたしのノスタルジア」の発売日ですが、この曲はタイトル通り“郷愁感”があって、どの世代の人も共感できる曲だなって思いました。
ありがとうございます。3年前、中学生の頃に通っていた道で見た夕焼け空を思い出しながら書いた曲です。その頃は叶わないものを叶えたいという葛藤があって、“夕暮れの景色も終わってほしくないけれど、やっぱり終わってしまうもの”という寂しさを覚えた自分を表現しようと思ったんです。
歌詞の内容は3年前に作った時のままですか?
今回、デビュー曲にすると決めた時に歌詞の内容をもう一度見直してみて、今の自分に書けることや自分の未来に向けての言葉を加えたいと思いましたので、少し書き直しました。ですから、昔のまっさらな自分と今の自分が共存している歌詞になっています。もともとは“兎の影絵”というタイトルだったんですが、この曲は自分のノスタルジアでもありますけど、聴く人が持っている郷愁感や故郷を想う気持ちなども入っていますし、“ノスタルジアって何だろうな?”って何か引っ掛かるような言葉が入っているほうがいいなって思ったので、このタイトルにしました。シンプルで分かりやすい言葉でもありますからね。
カップリング曲の「うろこ雲とソーダ水槽」はストーリー性があって文学的な雰囲気も感じられる曲ですね。
こちらはわりと新しい曲で、前半は“水槽の中は小さな世界だけど、魚にとっては大きな世界が広がっているんだろうな”という魚の飼い主の視点で書いていて、その魚が死んでしまって“うろこ雲”になって雨を降らすんです。後半の歌詞は魚から見た視点になっていて、飼っている側と飼われている側、お互いが想い合っていた愛情をひとつの曲で表現してみました。こういう歌詞を以前から書いてみたいと思っていたんです。人間以外の動物が世界をどう見ているのかすごく興味があって。意識しているわけじゃないんですけど、この曲以外にも歌詞に動物が出てくる曲がいくつかあります。ファンの方から“動物がよく出てきますね”と言われて気付きました(笑)。
アーティスト写真とジャケット写真、そしてこの2曲のMVはフィンランドで撮影されたということですが。
フィンランドは空の色も湖の色も雲のかたちも神話に出てきそうな感じで神秘的でした。「わたしのノスタルジア」は並木道や夕暮れ感を美しく映し出していて、昔住んでたところに年月を経て訪れるという設定になっています。「うろこ雲とソーダ水槽」はお部屋の中で回想しているシーンにアニメーションが加わって、よりファンタジーな世界を味わえる作品になりました。
メジャーデビューという新たなスタート地点に立ちましたが、この先、どんなアーティストになりたいと思っていますか?
さまざまな感情や風景、頭の中にある空想を作品にして、ジャンル問わずいろんな曲を歌える人になりたいと思っています。新しいことに挑戦したり、たくさんのことを受け入れたいとも思っていますので、人間力も付けていきたいです。
レコ発記念のインストアライヴ、47都道府県を回るツアーも決定しました。楽しみが増えたという感じでしょうか?
はい。以前、29本のツアーを行なったんですが、行けなかった県があったことが気になっていたんです。今回は全都道府県を回れるのでまた違う達成感がありそうですし、すごく楽しみです。メジャーデビュー前から応援してくれている方に感謝しつつ、新しい出会いも大事にしていけたらいいなと思っています。
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