【Yun*chi】全ての曲がYun*chiを作り
上げている

ポップカルチャーのニューアイコンとして注目されているYun*chiが、初のフルアルバムをリリース。自身のキャッチとなる“*=アスタリスク”を掲げた作品は、彼女の新たな魅力を開花させた一枚になっている。
取材:大庭利恵

デビューから1年。どこを切ってもYun*chiらしいアルバムに仕上がりましたね。

はい。まさかデビューから3枚もCDをリリースさせてもらえると思っていなかったですし、作っていく中でどんどん歌いたい曲にも変化が生まれたりして、この1年間の軌跡、Yun*chi第一章をまとめられたなという感覚はあります。

デビュー当時のポップカルチャーのアイコン的な存在から、ライヴアーティストとしても成長してきて、海外にも進出したりと変化も大きかったですからね。

そうですね。確かに「Reverb*」は1stミニアルバムの1曲目ということで、“Yun*chi”というアーティストのスタートになった曲だけれど、実は「Believe*」のほうが、それより前にレコーディングした曲だしなぁとか背景を考えていくうちに、だんだん分からなくなってしまったりで…(笑)。でも、もともとDJみたいに楽曲でプレイリストを作るのが大好きなので、一度アーティストという目線を外して“音楽が好きなリスナー”の気持ちで組み立ててみたら、この流れが出来上がりました。

「Reverb*」「Perfect days*」はどちらもkzさんの楽曲で、これがアルバムのリード曲ですよね。

この2曲は、まさに私の変化を意識した部分ですね。kzさんと作った楽曲が、1年でこれだけ進化したよというのを感じてもらえたら嬉しいです。

6曲目の「Vivace*」は、デビュー以前から一緒に楽曲を制作していたU-SKEさんとの新作ですね。この曲は特にこれまでの楽曲とは違った雰囲気を持ってますよね。

最初にデモを聴いた時、なぜか骨董通りを歩いてる大人の女性が浮かんできたんです。

骨董通りって、青山の?

そうです。私の中で“骨董通り=大人っぽい”なので(笑)。だから、この曲の歌詞は大人っぽい雰囲気を意識してSaori Kodamaさんにお願いしました。歌詞が上がってきてから、U-SKEさんと歌い方についてあれこれ検討しました。最初はわりと声に芯のある女性っぽい歌い方だったんですけど、これまでに挑戦したことのないウイスパーヴォイスで逆に大人可愛いを表現してみました。

Yun*chiを知り尽くしてるU-SKEさんだからこそ、逆に新しい世界を引っ張り出してくれたってことですね。

そうですね。

「Muffler*」はAvec Avecプロデュースで、これもSaori Kodamaさんの歌詞ですが、またまったく違う方向性で描かれた男の子目線のラブソングに仕上がってますね。

この曲が上がってきたのがちょうどクリスマスイルミネーションが点き始めた頃で、レコーディングまで1週間ぐらい時間があったんですね。仕事の合間にたまたま公園でボーっとしてたら、カップルがやってきたんで“なんだよ、デートなんてしちゃってさ、ケッ”とか思って見ていたら(笑)、バババーッと頭の中にストーリーが浮かんできて。こんな髪型で、服装で、口癖で、仕草で…みたいな私が考えた主人公の特徴やストーリーを事細かに書いて、Saori Kodamaさんにお渡ししたんです。そしたら、上がってきた歌詞が自分に見えていたものとはまた違った視点で描かれていて。

脚本家と監督みたいな関係だね。

そうなんです!(テンション上がり気味に) 私が伝えたのは、好きな子になかなか好きって伝えられない男の子。彼女を好きになってしまった弱みで、なかなか壁を越えられない。このまま季節が移り変わってしまうのかなという焦りもある…という内容だったんですけど、上がってきた歌詞での表現は、《気の早いショーウィンドウの フライング気味な春に》ですよ! まさかそんな言葉に変身させてもらうと思ってなかったから、感動しました(笑)。

Yun*chiって常に自分ってものをしっかりと持っていて曲の中に自身の存在をはっきりと反映させているのかと思っていたけど、案外妄想好きだし、もしかして曲ごとにキャラクターを演じてる?

妄想好きは間違いないです(笑)。自分自身を投影させることもあるし…。ただ、いろんなストーリーの主役になるのが好きなのは確かです。例えば、スニーカーを履いている日とヒールを履いている日じゃ女らしさの意識に対しての気持ちが違っているように。プロデュースしてくださっているアーティストの方々が発見してくださった、Yun*chiというキャラクターを演じる楽しさもあります。

アルバムのジャケットも曲のタイトルが一冊ずつの本になっていて、そのひとつひとつが集まってYun*chiを作ってるというコンセプトかと思うのですが、アルバムを作りながらいろんな方にプロデュースしてもらうことの喜びをさらに感じた?

立場や価値観、いろんなものが違う方々と出会っていろんな会話をさせてもらう中で、刺激をもらい、新しい作品を作り上げていけて…こんなこと言っていいのか分かんないけど、ずっと歌を歌うのが好きだったはずなのに、ライヴが怖いと思う時期もあったんですね。でも、回数を重ねるうちにどんどんみんなが仲間になってくれて、みんなと歌うのが楽しくなって。Yun*chiってソロのアーティストだけど、ファンの人もスタッフもみーんな含めてYun*chiなんだなって感じるようになりました。まさに学びの1年でした。いろんな夢を叶えられましたしね。ただ、夢は多いほうなので(笑)。壁にぶつかりながら、学びつつ、さらに新しい世界を作り上げていきたいです。
『Asterisk*』
    • 『Asterisk*』
    • CRCP-40359
    • 2014.02.05
    • 3000円
Yun*chi プロフィール

ゆんち:幼少期よりYUKIやCharaなどの女性シンガーに憧れ、積極的に音楽活動を始める。デビュー前からさまざまなアーティストの作品やコンピレーションアルバム等に参加するようになる。2012年11月ミニアルバム『Yun*chi』でメジャーデビュー。Yahoo!急上昇アクセスランキング2位(9月14日)をマーク、『ミュージック・ジャケット大賞2013』にて大賞を受賞。アメリカ・テキサス州オースティンで開催された音楽、映画、インタラクティブなどを組み合わせた世界最大級のフェスティバル『SXSW2016』や、ロンドン、ミャンマー、ジャカルタ、NY、マレーシア、台湾など世界各国で開催される大型イベントにも出演。国内のみならずイベントに出演を果たすなど、海外でも話題を呼んでいる。Yun*chi オフィシャルHP
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