【JASMINE】この“街”で心を解き
放ってほしい

JASMINEが7カ月に渡って展開してきた自己プロデュースによるマンスリーライヴパーティー『Jas Vegas』。その世界観をドラマチックに描いたコンセプトアルバムは、すなわちこの“街”への招待状だ。
取材:金澤隆志

“Welcome to Jas Vegas”という、“JASMINE”と“ラスベガス”をかけたタイトルは、2013年6月から12月にかけて開催されたマンスリーライヴに由来しているのですよね。

7カ月間マンスリーでやってきたライヴのタイトルです。ラスベガスという街はショーやカジノがある現実離れした空間で、紐がほどけてしまうような空間。全てのことから解放されて楽しめちゃうような(笑)。そういう、日頃閉じ込めているものを開放できる場所が必要だと思ったんです。何もかも忘れられるような空間にしたいと思ってできたのが『Jas Vegas』です。

このアルバムは、その合間を縫って作っていったわけですよね?

はい。だから、お客さんの反応をリアルタイムで感じながら“こうするべきだ”というのが見えたり。歌いたがっているファンの子の姿を見て“マイクを向けられる曲が欲しいな”と思ったり、“一緒に踊れる振りがあったらいいな”と感じたり。そうやっていくうちに自分の中で“Jas Vegas”のイメージがしっかりとかたちになってきて。

ライヴアルバムではないにもかかわらず、ライヴ感が強く感じられるのはそういった部分が大きいのかも。

“Jas Vegas”という街に繰り出していくイメージなんですよね。遠足みたいに、家での仕度の段階から始まって(笑)。友達を誘って、パーティーに足を踏み入れたら、そのままフロアーに繰り出して。同時にオシャレも楽しめる空間だったり。女の子が 一番アガれる瞬間をグッと凝縮したパワースポットかな(笑)。明日からの人生が楽しみになって日常に帰って行ける場所を目指しています。

歌詞の面でも生の反応が反映されたものは多かった?

もう、全部そうですよ。“こういうふうに盛り上がってほしいな”や、“この気持ちがもっともっと大きくなって届くといいな”という目標が明確に見えてきたりしたので。

アルバム全体を通じてサウンドの軸となっているのはダブステップの要素ですが、そのあたりはトラックメイカーであるDJのTomokazu T.O.M Matsuzawaさんと相談したりも?

T.O.M さんはマンスリーの時にもバックDJをやってくれていた、まさに一緒に“Jas Vegas”を作ってくれた人なので、私の好みを知り尽くしているんです。私がダブステップ/トラップを好きなのを知っていたので、私のツボに合うようなトラックを作ってくれた部分もあると思います。

各曲について聞かせてください。1曲目の「Where U@」は、オープニングに相応しい、さわやかなアッパーソングですね。

カーテンを開けて“いい天気だ!”みたいな(笑)。ここからドラマが始まっていきます。大好きな友達と待ち合わせをしている時の私のテンションを描いた感じ。待ち切れなくて携帯を何度も見てジタバタしてる(笑)。

「Handz Up!」では、舞台が自宅からフロアーへ。

お客さんもパフォーマンスも全開って感じが気に入ってます。 “全身全霊でハンズアップ!”っていう力が入りすぎな感じがいいですね。

「#AGARU」では、具体的な名前を呼んでいますね。

ひとりひとりに向けたかったので、いろいろな名前を選んだんです。お客さんの声は実際に『Jas Vegas』で録ったんですよ。会場に来てた人は楽しみにしてくれているんじゃないかな。もともとは違うタイトルで、何種類もフックを作っていたんだけど、なかなか“これ!”というのに出会えなくて“、どうやったらもっとアガれるかな”と悩んでいる時に“AGARU だ!”と気付いて(笑)。

「R!de On」もまたオラオラ系ですね。

イメージ的には私がハーレーで渋谷中をブッ飛ばして、つまんなそうにしている女の子に“おいでよ、明日『Jas Vegas』だよ!”と声をかけてる感じ。聴きどころはサビの《Ride on!》の繰り返し。イカつい感じが気に入ってます。

「Dearest」はアッパーチューンが多い中、もっともメロディアスな曲かもしれません。

他の曲よりもガーリッシュですね。マンスリーをやるようになってファンの人たちに対する愛情が今までよりずっと大きくなってきて、感謝の気持ちを表現した曲。いつも強気なことを書いてしまいがちなんですけど、それを抑えるのに苦労しました。

「HIKARI」では“自分を信じて”という強い思いが歌われていますが。

『Jas Vegas』のライヴにおける光や照明の感じを表現した曲。都会のイメージですね。“自らが光になれ”というメッセージを込めています。

ラストの「Hallelujah」は、希望を感じました。

マンスリーライヴが毎回ストーリーを変えたり、覚えることがたくさんあったりで結構大変だったんですね。そんな中、大変だからこそもっと頑張ろうと思えたのは、先をしっかりと見据えることができるようになったからで。この曲で歌っているのは、そうした経験を経て“一番最後に私の中に残ったもの”なんです。すごく成長させてもらえる経験だったので。

全曲振り返ってもらいましたが、改めてどんなアルバムになりましたか?

すごくいいアルバム。聴いたみんなには、無意識のうちに体が動いて、楽しんでることに気付いてほしいですね。“あなた、さっきまで悩んでたんじゃないの?”って(笑)。

4月から5月にかけては東名阪のツアーがありますね。

このアルバムは『Jas Vegas』への招待状なんです。落ち込むことがあっても、楽しみな予定があるとワクワクするじゃないですか。それがちょっとした逃げ場だとしても、楽しんでほしいし、みんなの支えになれたらいいなと思っています。
『Welcome to Jas Vegas』2014年03月12日発売Sony Music Associated Records
    • 【初回生産限定盤】
    • AICL-2647 2700円
    • 【通常盤】
    • AICL-2648 2500円
JASMINE プロフィール

ジャスミン:1989年5月19日生まれ、東京都在住の女性R&Bシンガー。家族の影響で幼い頃から音楽に慣れ親しみ、ゴスペルを通してブラックミュージックと出会い、17歳で本格的にシンガー活動をスタート。その年齢では考えられない驚異的なヴォーカルパフォーマンスと10代の気持ちや感情を見事に表現した歌詞ですぐにその名が噂になり、わずか1年あまりでメジャー契約。ポップスとして驚愕のクオリティーとストリートR&Bのエッセンスを見事に融合させ、今までとはまったく違う新たな世代の登場を実感させた。JASMINE オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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