【T.M.Revolution】活動をコンプレッ
ションして、まだ粒が埋まっていない
ところを埋めていった
まだやっていなかったことがこんなにあ
った!と気付いた
話はがらりと変わりますが、9月3日には9年振りのバラードナンバー「Phantom Pain」がリリースされますね。
バラードは「vestige-ヴェスティージ-」(2005年8月発売)以来になりますね。昨今依頼を受けて制作するものは、アップテンポのチューンが圧倒的に多くて。タイアップ作品を楽曲でマッシュアップさせるようなものをお願いしますと、基本オーダーされることが多いんです。これもCMソングですが、最初はアップテンポの楽曲を使うという案も出ていたんですよ。でも、どうせなら新鮮なものにしたいということで。
すごく胸に響くバラードで、冬に聴きたかったです(笑)。
いや、ほんとそうです。僕もこういう曲は、できれば冬に歌いたかった(笑)。
この曲は痒み止め薬品のCMでも話題でしたが、CMの反響を受けてCDにしようという流れでしょうか?
実は逆なんです。最初にCMのオファーがあって、その時はまったく違ったアイデアの提案だったんですが、自分の中でやりたかったアイデアがあったので、こういうのはどうですか?と、逆提案させていただいたかたちだったんです。自分で自分自身をパロディー化する、しかもそれを新曲でやれないか、と。なので、最初からCMを想定して楽曲を作っています。今回この曲をリリースする際のTVスポットの映像とCMの映像が、同じ画角で流れるんですけど、よく聴くと歌詞が違うんですよ。こういうのって初めての試みで、すごく面白いんじゃないかと思って。
そこまで考えて曲を制作されたと。さらに面白かったのはMVで、サスペンスドラマ仕立てになっていますね。
主人公の女性が、まさか!っていう。こちらのMVは、笑っていい映像なんですよね?
このMVの映像も西川さんのアイデアですか?
いえ、CMを手がけた制作チームのほうで、アイデアを練って作っていただきました。もともと、先ほどお話ししたCMを2段で積みたいというアイデアを実現するためには、どういうふうに構成していったらいいかというところで、こういう感じになりました。
MVの中で西川さんが歌われているシーンは、CMで流れているシーンと同じなんですよね。
そうです。これまでもドラマ仕立てのMVは作っていて、それこそ歌唱シーンのないものもありましたけど、ドラマ部分で僕が演じていないものは、これが初めてなんです。今まではドラマ仕立てだったとしても、主演はあくまでも僕だったんですね。それを僕じゃない人がやるというのは、何気に新しい挑戦なんです。やってそうでやっていなかった。だから、ドラマシーンに関してはノータッチで、コンテだけ確認していた感じです。「突キ破レル-Time to SMASH!」で、一発撮りの生をバンドで収録してMVにしたのも初めてだったし。そういう意味では、今回は初めて尽くしになりましたね。
こういうクリエイティビティーにあふれたメディアミックスは、ある意味で一石を投じそうですね。
だったら嬉しいですね。まったく新しい曲を替え歌先行で出すというのは、業界でも新しいと思います。先日、MTVの『VMAJ』で「Phantom Pain」の初パフォーマンスを行なったのですが、ご覧になってくださった方から、“私たちにはCMの歌詞でしか聴こえてきませんでした”という意見が上がるという弊害もありましたけどね(笑)。
CMの歌詞のインパクトがありすぎですからね(笑)。
あれはクライアントのほうから、こういう歌詞を歌ってほしいというオーダーがあったので、それに沿って歌ったんですけどね。でもぶっちゃけ、最初にこのCMの話が来た時、スタッフの間で物議を醸したんですよ。これまで培ってきたアーティストイメージからすれば、受けないほうがいいんじゃないかと(笑)。最終的に判断したのは僕なんですけど、中途半端にやるのではなく、振り切って面白いものができるのならやりたいと思って。
こういうところまで、エンターテインメントの一部として楽しめてしまうT.M.Revolutionの感性は、とても素敵だなと思いますね。
まぁ、それがT.M.Revolutionの良さですよね。「突キ破レル-Time to SMASH!」でジャズ/フュージョンのようなMVを発表したかと思えば、『NHKのど自慢』にゲスト出演もするしね(笑)。
今回のシングル2作は、楽曲だけでなく映像を非常に巧みに使って、T.M.Revolutionを表現したものになりましたね。昨年の『UNDER:COVER 2』のツアーでも、まるで映画のような世界観で、映像とステージを融合させた表現をしていましたが、そこからの流れでもありますか?
いえ、そことは完全に切り離して考えています。あれはストーリーありきで、音楽はあくまでも映像に対するサウンドトラック的なとらえ方でした。今回はどちらも、まず音楽ありきで、その音楽の持つ力を映像が後押しするような作り方です。そういう意味では、発想は昨年とは両極にあると言えます。昨年のツアーは、それまでの自分の物作りの発想をアンプリファイアしたものでした。今回はそれをグッとコンプレッションして、まだ粒が埋まっていないところを見つけて、そこを埋めていく作業だったような気がしますね。その過程で、まだやっていなかったことが、こんなにあったと気付くことができました。
・・・
「突キ破レル-Time to SMASH!」2014年08月06日発売Epic Records Japan
- 【完全生産限定盤A】
- ESCL-4258~9 2592円
- ※BOX仕様、『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』オリジナル描き下ろしジャケット、バチ魂バットスペシャルセットT.M.R.ver.
- 【完全生産限定盤B】
- ESCL-4260~1 1620円
- ※『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』オリジナル描き下ろしジャケット、バチ魂ディスク シルバー・サムライ T.M.R.ver.
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- ESCL-4262〜3 1944円
・・・
「Phantom Pain」2014年09月03日発売Epic Records Japan
- 【初回生産限定盤(DVD付)】
- ESCL-4272〜3 1800円