L→R 桑原康伸(ベース弾き手)、田嶋悟士(ドラム叩き手)、コザック前田(唄い手)、山本 聡(ギター弾き手)

L→R 桑原康伸(ベース弾き手)、田嶋悟士(ドラム叩き手)、コザック前田(唄い手)、山本 聡(ギター弾き手)

【ガガガSP】18周年10枚目、全曲に愛
情注げるアルバム

ガガガSPが10枚目となるアルバム『ガガガを聴いたらサヨウナラ』をリリースした。結成18周年を迎えた“いい年こいた大人”が、大人げないほど本気と悪ふざけを見せる力作である。ガガガを聴いて、他の音楽とはサヨウナラだ!
取材:フジジュン

アルバム『ガガガを聞いたらサヨウナラ』は4人の日々の生活とライヴ、楽曲が直結した作品になりましたね。

前田
ガガガSPが18年目に突入して、今回で10枚目のアルバムになるんですが、パンクバンドで10枚アルバム出してるバンドって、なかなかいないじゃないですか。3~4枚で解散とか、方向性変わったりすることが多いですけど、僕らは変わらず早口言葉で歌ってて…ライヴで違う曲の歌詞を歌ってる時があったりして、客に膝叩かれて気付いた時には、もう頭真っ白やったりするんですよ(笑)。

自分で分からなくなっちゃうんだ(笑)。

前田
この間数えたら、発表してない曲含めて、僕が作った曲だけで231曲ありましたからね! そこでマンネリ化したり、自家中毒を起こさないようにしようって気持ちが、ここ4~5年ありまして。そこでヤマモっちゃん(山本)とか旦那(桑原)にも、曲を作ってもらうようになったりしたんですけど。

3人の曲がバランス良く収録されているし、どこを切ってもガガガSPだし、今作はガガガSPの性格がよく出てますよ。

前田
ヤマモっちゃんって、対バンにパンクバンドがいる時は革ジャン着て来ないんです。で、“俺は寄り添わない”って言い張ってて、僕はビビっとるだけやと思うんですけど(笑)。“寄り添わない”ってええ言葉やなと思うし、そうあったらええなと思いますね。ま、ガガガSPの場合は寄り添わないんやなくて、寄り添えないだけなんですけど(笑)。
山本
でも、3人で作曲するかたちになって3枚目なんですけど、僕もここにきて、誰が作ってもガガガになってるとは思いますね。そこは寄り添ったほうがええところなんで(笑)。
前田
ガガガの場合、できてきた曲を自己解釈で歌っていいというスタイルやし、曲って発売してしまったら、聴いた人のものなので…聴く人それぞれで響く曲も違うはずやから、本来ならば推し曲も自分で決めるべきやないと思うんですよね。そういう意味でも、全曲に愛情注げる作品になって良かったなと。

アルバムタイトルであり、1曲目を飾る「ガガガを聴いたらサヨウナラ」は、やはり今作の方向性を決める曲でした?

前田
実はこの曲ができたのは最後やったんですけど、このタイトルのアルバムを作りたいという話は4~5年前からあったんですよ。だったら、表題曲がいるなと思ってて、今回、やっと曲ができたんで、タイトルに持ってこようって話になって。

『地雷を踏んだらサヨウナラ』みたいに?

山本
まさにそれです。やっと分かってくれる人がいた(笑)。
前田
本家はアンコールワットでこの言葉を残して、行方不明になってしまいましたけど。それを逆説的に、“ガガガを聴いたら他の音楽は聴けなくなるよ”って言いたかったんです。このジャケだけ見ると、解散アルバムですよね(笑)。

わはは。でも、1曲目で“ガガガSP登場だ!”と叫んでるけど、俺は“ガガガSP再登場だ!”って勢いを感じましたよ。

山本
アレは前田さんが歌入れの時、アドリブで言うたんですけど。“ガガガSP登場だ!”って言った時、僕も“おぉ、キタ!”と思ったし、これでアルバムが完成したと思いました。
前田
こういうイビツな曲があると、あとはきれいな曲が2~3曲入れられるから良いんですよ(笑)。最近のバンドって、もっとイビツな曲をやってるけど、それだけだとシンドくて。

だからこそ、「君がみた」や「戻らない夏」みたいな曲がすごく映えますしね。若い頃は前田くんがグイグイ引っ張って、勢いや衝動で突き抜けるカッコ良さがあったけど、今のガガガは年も重ねて、それだけでない良さがありますからね。

前田
簡単に言うと、いかりや長介体制だったドリフが、加藤&志村体制にシフトしたみたいな感じですよね。
山本
僕らはコザック前田のパブリックイメージで曲を作ってるところもありますけどね(笑)。
前田
そう、この人は俺の勝手なイメージで、“そろそろ酒飲んだほうがいいですよ”とか、“もっと太ったほうがいいですよ”とか言うんです(笑)。“マツコ・デラックス見てくださいよ。あれで痩せてたら、なんの説得力もないでしょ”とか言うて。考えたら、マツコはミュージシャンでも何でもないやん!
山本
あはは。あと、今回、内輪ネタみたいなのをかたちにした曲も多くて。「晩年の青春」とか、前田さんが曲中でよく言う“オ~イェイイェイ”を言わせたくて曲にしたり。
前田
それを僕じゃないヤツが作って持ってくるのが意味分かんないでしょ!?(笑) 「サバラ」だって僕と旦那がフザケてたのをヤマモっちゃんが曲にして作ってくるという(笑)。
山本
家の近所の坂を下ってる時、急に降りてきたんです。

わはは。そんなバカバカしさと同時に、「高架線」もそうですけど、今作では一生音楽をやってく覚悟も歌ってますよね。

前田
忌野清志郎さんの本に、“何のためにバンドをやるのか? ロック的な生き方をするためだ”と書いてあって。
山本
みんな照れて言わないけど、本質はそこですよね。
前田
振り返った時、その覚悟はハナからあったなというのを自分でも思えたし、これからもそうやと思うんですよ。
山本
「高架線」は神戸のスタークラブってライヴハウスが閉まるってなって、ライヴをした時に…結局、小屋は継続することになったんですけど、その時は昔からの思い出がすごいフラッシュバックして。で、家に帰ったら自然と曲が出てきて、“これしかないわ!”って。
前田
わざとらしいかなとも思ったんですけど、昔のインタビューで旦那が“ロックなんてもともと、わざとらしいもの”と言ってたのを読んで、それでいいのかなって。じゃないと、ロマンスなんて書けないですからね。ウッディ・アレンは70歳すぎてもロマンスを書いてたりするし、そういう戻れないところまで行った人を見るとカッコ良いなと思うわけですよ。そしたら僕らも変わらずにね、そういうことを歌いたいと思うし、若いヤツよりアホしていきたいなと思いますよね。ま、若いヤツにそんな対抗意識はひとつもないと思いますけど(笑)。
『ガガガを聴いたらサヨウナラ』
    • 『ガガガを聴いたらサヨウナラ』
    • LDCD-50106
    • 2014.12.10
    • 2700円
ガガガSP プロフィール

ガガガスペシャル:1997年、地元神戸にて結成。フォークをパンクというフィルターに通し、まったく新しいかたちのパンクを誕生させ、2000年にシングル「京子ちゃん」で衝撃的なデビューを果たす。その後、驚異的なスピードでパンクキッズたちの心を掴み、02年にシングル「卒業」でメジャーデビュー。一気にシーンの中心に躍り出る。07年には自己レーベル『俺様レコード』を設立、08年にはガガガDX名義でのカバー「にんげんっていいな」(日産セレナTVCM)が着うた100万ダウンロードを記録し話題に。10年から地元神戸にて1万5,000人を集める野外フェス『長田大行進曲』を開催するなど、常に音楽シーンの中心で精力的な活動を続けている。ガガガSP オフィシャルHP

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