【Mrs. GREEN APPLE】僕らの音楽で1
秒だけでも温かい気持ちになるのなら
若干18歳のソングライター・大森元貴のズバ抜けたソングライティング力を軸に、結成からわずか2年弱で次世代を担うバンドとして注目度が急上昇! 最新作『Progressive』でその巨大なポテンシャルを露わにしたMrs. GREEN APPLE、初登場全員インタビュー!
取材:宮本英夫
本当にバンドがやりたくて ビビッとき
た人に声をかけた
もともとこのバンドができる前は、大森くんがひとりで弾き語りをやっていたとか?
それがなぜバンドに?
大森
ひとりでやることに限界を感じたというか、メンバー全員が同じものを見て、いい時にはいい、良くない時には良くないと言い合える関係が欲しかったんです。もともと小6でベースを始めてバンドを組んだのが最初なので、やっぱりバンドがやりたいなと。ここ(山中&藤澤)なんか、名前も知らないし、楽器を弾いてるのも見たことないのに、“バンドやんない?”って誘ったふたりなんですよ。ここ(大森&若井)は中学時代からの友達なんですけど。
若井
僕はサッカー部だったんですけど、ギターも始めたんですよ。でも、周りに音楽やってる人がこいつしかいなくて。で、話しかけたのが最初です。
大森
友達がいなくて、ずっとひとりで音楽をやっていたので。ずっとサッカーをやってて人気者だったこいつがいきなりギターを始めて、寄ってきたから、最初は嫌いだった(笑)。1年ぐらいはあんまり話さなかったけど、結局バンドを組んでしまいました(笑)。
そもそも大森くんは、何がきっかけで音楽を始めたのですか。
大森
きっかけはMONGOL800で、ベース&ヴォーカルになろうと思ったんですけど。『Mステ』に出るようなものしかみ観てないので、あんまり詳しくないです。メジャーな人ばっかり聴いてました。
バンド結成の話に戻ると。まずは大森くんと若井くんが一緒になって…。
大森
その前に一度バンドを組んだんですけど、消滅して。今度は本当にちゃんとしたバンドをやろうと思って、ビビッときた人に声をかけた感じですね。こいつ(若井)はもともと友達だし、だんだんギターも上手くなってきたみたいなので、やってもいいかなと(笑)。それが高校2年になる時です。
あとのメンバーは、どこにビビッときたのですか? 例えば、藤澤くんは?
大森
ふわふわしてたから(笑)。僕にはない感覚だと思って、ふわふわが欲しいなと(笑)。弾けることは知ってましたけど、どれだけ弾けるかはまったく分からなかったし。ずっとクラシックピアノをやっていて、ミセスを組んだ時に初めてキーボードを買った人なので。結構挑戦的な誘いをしてしまったんですけど。
藤澤
自分でもちょうど、バンドをやってみたいなと思っていたので。とりあえず入ってみようと思ったんですけど、おかげさまで楽しくやってます(笑)。
鍵盤は欲しかった?
大森
はい。広がるなと思ったんで。ロックサウンドというものにこだわりがないので、やれるものは全部やってみようと。
山中さんについては?
大森
いろんな人から聞いてたんですよ。山中綾華という女の子が歌も歌えてドラムも上手いって。僕が求めていた“女の子、ドラマー、歌える”という要素がバチッとはまった子だったんです。人づてに連絡先を聞いて、メールして、お互いの年齢も分からずに会って。
山中
高校を卒業して、専門学校に入ることが決まっていて、“バンド組みたいな”と思っていた時にお誘いをいただきました。最初に会った時は(大森)元貴は年上だと思ってたんですけど、年下だと聞いてびっくりしました(笑)。それでデモを聴かせてもらって、やりましょうと。
そして最後に、サポートの髙野くんが登場すると。
髙野
去年の9月のライヴからサポートとして参加して、10月からメンバーになりました。それまでは音楽の専門学校を卒業して、普通に社会人やってました。人づてにベースを募集しているという話を聞いて、音源を聴いて、“こいつらヤバイ!”と思って会いに行って、リハーサルで音を合わせて、元貴から許可をいただきました(笑)。
大森
音楽理論がすごく強かったんですよ。僕、全然分かんないので。ここ(大森&若井)は感覚派で、年上の3人は理論派。年上なので、雰囲気の調和もしてくれたんですよね。人柄が大事だったというか、みんな人柄で決めちゃってるんで。パッと見て、この人とやりたいと思った人たちです。
大森くんの曲作りは、メロディーが先ですか?
大森
全部です。DTMで全て同時進行。オケを作りながら、メロディーを作りながら、韻を踏んで出てきた歌詞をいじっていく感じ。街で思い付いたメロディーをボイスメモで録ったり、いいなと思った言葉をメモすることもありますけど、一番多いのは同時進行ですね。その場の勢いで作ってるんで、あとで聴くと自分の曲じゃないみたいで、ライヴでやる時には覚えなきゃいけないんですけど(笑)。
ミセスの曲って、一見ストレートで分かりやすい中にも、変拍子とか難しい決めとか、結構ありますよね。
大森
分かんないです(笑)。どこの拍子がどうだとか。ここ(3人)に任せてます。
山中
“なんでこうなってるんだろう?”って思うんですけど(笑)。感覚派のふたりは“こうだよね”って合わせられるんですけど、リズム隊は“ここは16分で取って…”とか細かい話をしてからはめていって。なんとなく合ったら、これで良かったんだと(笑)。
大森
僕の中から出てきたものをしっかり構成してもらうというか、“これだ!”と言えるものにしてもらうために投げてる気がします。“こうしてくれ”とはあまり言わずに、理論の3人にはデモを聴いて咀嚼してきてもらって、それから感覚派のふたりと擦り合わせていく感じ。
藤澤
デモで一番困るのはキーボードが入ってない時(笑)。完成度が高すぎて、入れる場所がなくて路頭に迷った時期もありましたけど、最近はやっと元貴の想像してるものが見えてきて、“ここにこの音色を入れたいんだな”とか。
逆にこれ違う、という時もあったり?
藤澤
これ絶対カッコ良いと思って持っていったら、“ギターとぶつかるからやめて”とか(笑)。多々あります。
大森
そういう時は、“この曲から見える景色は何?”とか、まず感覚から合わせちゃうんですよ。理論抜きで。そうするとバチン!とはまったりするので。1曲ごとに“この曲はどういう色?”という話は毎回してるかもしれない。色だったり、かたちだったり、景色だったり、気持ちだったり、“例えば何が見える?”という話をよくしてます。