【家入レオ】淡いところで表現した
少し大人になったアルバム

メロディーで選んだ言葉って 意味がな
くても意味のあるもの

「little blue」は柔らかい曲調ですよね。で、最後に《全ての希望にそっと近づいてく》って歌っているところから、次いきなり「Silly」(笑)。

いきなり《難しいことが多すぎる愛》ですからね(笑)。「little blue」は自分の幼少期とか今までの20年間を振り返って、厳密に言葉に落とし込んでいった曲なんです。これも自分の中では大切な曲で、ライヴで歌いたい一曲ですね。《ロイスローリー》のところはメロディーが何とも言えないんですよ。歌詞はレコーディング中も細かく直していったので、完成がギリギリになってしまったんですけれど。そう、「TWO HEARTS」も一度歌入れまでいったんですけれど、分かり易すすぎるなと思って、攻めて突き詰めて。結局、ほぼ全部書き直しました。

この曲はスクールデイズがモチーフになっていますね。

この曲は東京に出てきてからのこと、夢を持つことについて書いた曲です。私もまだ夢を叶えたわけではないし、諦めてるわけでもないんですけど、夢って輝かしいものばかりではないっていう、ちょっと現実的な自分もいたりして。歌詞にある“君”というのは、これまで出逢った夢を追いかけている人たちのことで、そんな“君”が夢の途中で迷っているとしたら、そっと近付いてやさしく”大丈夫だよ”って励ましてあげたい、そんな気持ちで歌詞を綴っていきました。

ちょっとひとつ抜けた感、ありますよね。

ありますね。自分でも書いていて思いました。

ヴォーカリストとしての面白さがすごく表われているのを感じられるのは、「lost in the dream」でした。英語の部分を言葉そのままじゃなくて音で表現していたり。

そうなんです。《hold me, lonely, don't leave》を“ヨーリドリドリー”って。最初はメロディーをラララで歌っていたんですけれど、“ヨーリドリドリー”って歌ってみたら“その響き、いいな”っていう話になって。一番最初にメロディーで選んだ言葉って、意味がなくても意味のあるものな気がして、そこは大事にしていきたいなと思ってるんですよ。これはもうメチャクチャ自分でも気合いを入れて臨んだ一曲ですし、自分らしい表現ができたんじゃないかと思っています。歌詞自体は映画の『カサブランカ』の主人公の男性の気持ちをもとに書いていったんですけれど。

詞のストーリーにすごく映像感があるし、“ヨーリドリドリー”も言葉遊びで終わらせていないし。

そう。この言葉には何かあるんですよね。響きを大切にした、固定していない感情を表す言葉ってあっていいと思うんです。歌っていてもその日によって全然違う意味になる言葉というか…言葉ですらないかもしれない。

このフレーズは、みんなライヴで歌うでしょうね。

だと嬉しいですね。ライヴを意識した曲、やっぱり増えたと思いました。制作している中で。

ライヴがあってこその制作ってよくおっしゃってますもんね。

もちろん作品をリリースするのも大事ですけれど、ライヴでもらうものもすごく大きいので。“ライヴで歌いたいからリリースしたい”っていうタイプですね、私は。

アルバムのラストに収められた「Last Song」も、すごくライヴの絵が浮かぶ一曲でした。

これはアンコールで歌いたいなと思ったので、間奏の部分も他の楽曲より長いんですよ。“歌っていないところで泣かせる”みたいな曲にしたくて。デビューしてからいろんな心のつながりができて、それはどれも素敵なものだと思っているし、どれをとってもひとつひとつ当たり前のものではないので…支えてくださっている、心のつながりのある全ての人に聴いてもらいたいな、と思っています。最初に書いたきっかけは、13歳の時から私を見守ってくれている人…“愛とか恋とかいうものではないつながりがある”っていうことを初めて信じられた人に対して詞を書きたいな、と思ったことだったんです。

しみじみ感動できるナンバーでした。ただ、通常盤を聴くとこの後にボーナストラックで「Silly」のアナザーバージョンが流れてきて、またズシーンとくるという。

あー! そこはもう1回落ちてもらおうと(笑)。そうなんですよねー。「Silly」はもっと違う聴き方、もっと違う表現の仕方があるんじゃないかな、と思っていて。シングルバージョンだと抜いて歌っているので。客観的に歌っているというか。客観的に歌えるっていうのはもちろん、自分が絶対に伝えたい思いが確かなものであるからこそなんですけど。だけど、もし「Silly」を感情で歌えたらどうなるんだろう?っていうことにもすごく興味があったんです。ここではニュアンスの微妙なさじ加減をすごく考えて歌いました。アレンジも新しくして、ティンパニーとかを入れてみたり。このかたちで1回生で歌ってみたいな、って思っています。

そして、初夏にはツアーも決定していますが。

日比谷野外大音楽堂からスタートなので、すごく楽しみです。ここで新しい何かを掴んで、また新しい何かが始まりそうな気がしています。
『20』2015年02月25日発売Colourful Records/ビクターエンタテインメント
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • VIZL-780
    • 3672
    • 【通常盤】
    • VICL-64300 3132円
家入レオ プロフィール

イエイリレオ:1994年12月13日生まれ、福岡県出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、15歳の時に完成させた「サブリナ」で12年2月にメジャーデビューを果たす。光と影、希望と不安や葛藤など、精神面での深淵を綴った歌詞と表情豊かなヴォーカルで幅広い支持層を獲得。17年2月にデビュー5周年記念で初のベストアルバム『5th Anniversary Best』を発売し、4月には初の日本武道館公演を大成功に収めた。19年2月にはデビュー7周年記念で“Premium Symphonic Night”と題した大阪城ホール公演を成功させた。家入レオ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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