HAPPYは決して枠にはまらず、伸びやかに好きな音楽を鳴らしている。そんな彼らが作り出したEP『To The Next』について、Alec(Gu&Vo)、Ric(Syn&Vo)に訊いた。
取材:高良美咲
HAPPYは幼馴染みで結成されたとのことですが、2012年の結成当初はどのようなバンド像を描いていましたか?
Alec
結成当時はジャンルにこだわらず、いろんな曲をやれるバンドになりたいと思ってました。
Ric
メンバーが揃っていったのは前身のバンドをしていた2010年〜2012年にかけてで、出会いは僕とAlecとBobが同じ小学校で、Syuとは中学で出会い、Chewと高校で出会いました。
5人編成で、シンセサイザー、ヴォーカルが多数いるという特殊な編成ですが、このような編成になったきっかけは?
Ric
みんなが作曲をするので、最初はAlecだけが歌っていたんですけど、セッションなどで曲を作るうちにメロディーを持ち込んだメンバーも歌うようになりました。
Alec
Syuも最初はベースだけだったのですが、途中オモチャのシンセサイザーを買って弾いてセッションなどしているうちに、今のかたち(ベース&シンセ)になりました。ちなみにSyuは今ではバンド内で一番高価なシンセを使ってます(笑)。
そんな中で、バンドや音楽性に何か変化はありましたか?
Alec
2012年の4月に自主制作デモCD-Rを発売して大阪堀江のFLAKE RECORDSに初めて置いてもらって、そこからいろいろとつながりが増えましたね。
Ric
僕らがいろんな音楽と出会っていく中で、それぞれの音楽に影響を受けて音楽性の幅も広がっていったと思います。
バンドの編成上、できることの幅が広い分、HAPPYというバンドとして制作の際に何か意識していることやこだわっていることは?
Ric
できる限り枠にとらわれないように、“こだわりを持ちすぎないこと”がこだわりです。
2014年8月に1stアルバム『HELLO』をリリースしましたが、リリース後のライヴで楽曲を演奏してみてどのような反応がありましたか?
Alec
CDを聴いてからライヴに来てもらうと伝わり方が違うな、と。ライヴが前よりもっと楽しくなりました。その一方、ジャンルにとらわれずにもっとたくさんの人に届けたいとも思いました。
1stアルバム『HELLO』から9カ月振りのリリースとなるEP『To The Next』は、いつ頃から制作に取り掛かったのですか?
Alec
『HELLO』を録り終えてすぐに曲作りに取り掛かりました。前作よりももっと僕らにしかできない音楽を追求しました。収録数(5曲)もちょうど良かったのではないかと思います。
5曲の中で、今作のために書き下ろした楽曲はありますか?
Ric
「Cation」以外は全てこの作品のために書き下ろした楽曲で、5曲入ということもあって一曲一曲それぞれの曲の個性が引き立つように意識して書きました。
Alec
Alec:他にも候補曲はたくさんありましたが、ライヴでお客さんと一緒に盛り上がれる曲を収録したくて「R.A.D.I.O.」を最後に書き下ろしましたね。
制作の上で主軸になったのはどの楽曲でしたか?
Alec
これまで僕らがやってこなかったようなバンドアンサンブルを発見したので。あとは歌詞も自分たちの今の状況をリアルに書いた作品になっています。
配信リリースされた「R.A.D.I.O.」はライヴでも披露していたり、EPのリリース前から多くの反響を得ている曲だと思うのですが、バンドとしてはどのような手応えを感じていますか?
Alec
HAPPYのことを知らなくても、分かりやすい1曲になったと思います。『HELLO』から比べて、音数も減ってシンプルでメッセージ性が強くなったかなと思います。
コーラスが映える「Cation」は一発撮りということですが。
Alec
ライヴで以前からやっていた曲で、ライヴ感をそのままパッケージしたかったので一発録りにしました。
Ric
ライヴに来てくれていたお客さんなら、僕らのステージの風景も思い描けるようなサウンドになったと思います。実際には、レコーディングの時間がなかったので一発録りにしたという説も(笑)。
「The world began with a number」は伸びやかな声とシンセの音が印象的でした。
Ric
『インターステラー』という映画を観て作ったので、スペイシーな愛を表現した曲になったと思います。
Alec
まだライヴでやっていないのでライヴで演奏するのが楽しみですね。
「Swinging Singer Star」はストーリー性のある歌詞ですが、この楽曲を書かれたきっかけは?
Ric
今年2月に声が出なくなった時期があり、声の出ない辛さを痛感して(笑)、2度とこんなことになりたくないという想いを込めて歌詞を書きました。
Alec
これは初めてレゲエを取り入れた曲で、ストレスのない音を追求しました。
タイトル曲である「To The Next」で今作の最後を締め括るというのは、最初の構想からあったのですか?
Alec
一番最後に入れるというのは最初から決めていました。大きく言うと人生のことを歌っているのですが、歌詞の中で出てくる“Dream”というのは寝ている時に見る夢と起きている時に持つ夢のダブルミーニングで、“誰しもが死ぬ前に自分の人生を愛せたらいいな”という想いを込めています。僕らは2度とないこの一瞬を生きているので。
今作で挑戦したことや意識したことはどのようなことでしたか?
Alec
歌詞の面では、それぞれの曲におけるメッセージを前作より意識しました。
Ric
歌詞カードをじっくり見ながら聴いてほしいですね。サウンド面でも前作よりもっと僕らの出したかった音を出せたと思うので、そこにも注目してください!
作り終えた現在の心境は?
Ric
作り終えてハッピーです! 今はどこでも音楽を持ち歩ける時代なので、ひとりで部屋で聴いたり、歩いたり電車に乗っている時や、たくさんの人でパーティーしながらでも聴ける一枚になったと思います。
リリース後にはワンマンも含めたツアーを予定していますが、どのようなライヴにしたいですか?
Alec
僕らのライヴによく来てくださっている方の他にも、僕らのライヴ初体験の方だったり、たくさんの人にHAPPYの音楽に触れてほしいです。今回のツアーでは初めて行く土地もあって、ゲスト有りとワンマンと2種類あるのでそういったところも楽しみです!
Ric
曲が増えたのでセットリストによって曲の感じ方も変わると思うし、いろいろな魅せ方ができると思います。“また来たい!”と思ってもらえるようなライヴにしていきます!
では最後に、これから出会う人に、HAPPYというバンドを分かりやすく説明するとしたら?
- 『To The Next』
- QYCL-10004
- 2015.05.13
- 1296円