写真左上より時計回り、逹瑯(Vo)、YUKKE(Ba)、ミヤ(Gu)、SATOち(Dr)

写真左上より時計回り、逹瑯(Vo)、YUKKE(Ba)、ミヤ(Gu)、SATOち(Dr)

【MUCC】90年代を過大解釈した“ダサ
カッコ良い”最新作

あの頃を振り返った時 シーンがひと回
りした感もある

紙資料に“深化”という言葉が使われてますが、もともと持っていたものを掘り下げた感が強いからですかね?

ミヤ
90年代に鳴っていた音やビート感が良いなと改めて思って作っていたので、持っていたものを掘り下げたというよりは、俺が思う90年代を改めて振り返った感覚でしたけどね。

うん。そこでフィジカルとアイデアとテクニックが絶妙のバランスで噛み合った作品だなとも思いました。直情的なサウンドに緻密な計算やアイデアで現代的なアプローチを加えて、最新型のサウンドを織り成しているというか。

ミヤ
計算というよりは、思ったアイデアをどんどんぶっ込んでいっただけですけどね。「睡蓮」もあんなに長くなっていると思わずにどんどんアイデアを入れてって、気付いた時には7分を超えていたという。自分でも“長ぇな!”と思ったくらいで。

あはは。でも、物語性もあって、聴くたびに発見のあるサウンドや曲構成は全然飽きることがないです。

ミヤ
普段だったら曲の尺も気にするんですけど、今回はミニアルバムだからというのもあって、尺を全然気にしてなかったんですよ。特に“いろんな景色を見たい”というテーマが頭の2曲(「睡蓮」「D・f・D (Dreamer from Darkness)」)にはあったので。組曲的な感じで成り立っているから良いのかなって。

制作はどんな感じで進んでいったのですか?

ミヤ
今回はバンドサウンドがメインなので、デモを出して、何回かリハをして。ベーシックの部分はシンプルだったんで、レコーディングをしながら打ち込みを同時に作っていきました。

結構、楽しみながら作れたんじゃないですか?

ミヤ
そうですね。サウンド的には昔っぽいアプローチがカッコ良いものとして鳴っているから、そこに小ネタを入れていく楽しみがあったり。歌詞だと“当時はこんな単語使ってたな”みたいなところも楽しみながらやっていきましたね。曲ごとに“このバンドをイメージして”とか、濁すこともせずに散りばめて。
YUKKE
どの曲もバックにあるネタだったり、雰囲気だったりがあって、自分的に解釈しながらやっていくのが面白かった。結構タイトだったけど、楽しくやれましたね。

演奏はドッシリしたリズム隊にギターソロとか各々が際立って聴こえて、MUCCの底力を感じました。「TONIGHT」のイントロとか、カッコ良すぎて笑っちゃいました。

逹瑯
あのシャウトはTHE冠さんです。ハマりましたね(笑)。

逹瑯さん、歌や歌詞に関してはいかがですか?

逹瑯
歌詞は一曲一曲向き合いながらだったんで、全曲でコンセプトを意識してるかと言えば、そうじゃなかったんですけど。今回、楽しみながら書けたと思います。90年代のここがテーマだからというリクエストはなかったんで、なんとなく感じ取りながら書いていって。

曲調から普段は開けない引き出しを開けたりとかはありませんでした? 「D・f・D (Dreamer from Darkness)」の歌詞とか、面白いなぁと思いながら聴いてたのですが。

逹瑯
あの曲は目まぐるしい展開だったんで、どうしよう?と思った時、『不思議の国のアリス』を思い付いたんですよね。どんな話だっけ? と、アリスを見返して…有名な物語を歌詞に当てはめることもやったことなかったんで、面白かったですね。

あと、歌詞で印象に残ったのは「TONIGHT」でした。

逹瑯
あの曲は“TONIGHT”という仮タイトルとリフレインが決まってて、そこは崩さずに書いてたんですけど、なかなか書けなかったんですよね。“TONIGHT”っていうくらいだから、夜に外に出てみようって。車で爆音でかけながら環七をグルッと一周しようと思って家を出たら、走り始めて5分くらいで首都高が見えた時、“この都心を回ってる環状線って、血管みてぇだな”と思って、そこからAメロがスポンと出てきたんです。メタルバリバリのサウンドにちょっとダサいワードもハマって、“これは良いかも!”と思って一気に書き上げました。

コンセプチュアルな楽曲というフィルターを通して、普段は言いづらい本音の部分も吐き出せている気もしました。

逹瑯
うん、そうかな。

「TONIGHT」もですけど、ワードやサウンドで90年代を意識しつつ、歌ってることは現在のリアルであり、“F#CK THE FUTURE”に向けてのほのかな希望ですよね。

ミヤ
ポジティブに聴こえるけど、実はネガティブな歌詞がいいなと思ってるんですよ。掘り下げていくと暗い、みたいなのが好きで。今回は特にそういうことがやりたかったんです。

「B.L.U.E -Tell me KAFKA-」とか、「レインボー」とかもまさにそうですよね。そして、アルバムのサブタイトルにある“Paradise from 1997”。1997年はMUCC結成の年でもありますよね。

ミヤ
本当はもうちょっと広い視野で90年代を見ているんですけど、90年代をひとつ掲げるならこの年かなと。あと、“Paradise”って単語をどうしても入れたかったんです。

90年代的ですよね(笑)。97年を改めて振り返ると、インディーズバンド、ビジュアル系ブームの全盛期で。ビジュアル系の新世代が登場して、X JAPANが解散してっていう。

ミヤ
そうか。ひとつの時代が終わった時に始まったのが、俺たちだったんですね。あと、世間的には小室サウンドが大ブームだったり、面白い時代でしたよね。当時を振り返った時、シーンがひと回りした感じもあって、今までメインストリームになかったものがメインストリームに上がってきたり、当時に似た空気感がどこか今、あるような気もして、時代は繰り返すんだろうなというのも思いますね。この作品は世代によって響き方が全然違うだろうなと思っていて…「TONIGHT」は年配の人に聴かせるとニヤッとしますし、若い子には新しいものとして聴こえるかもしれないし。リリース後、この作品を聴いた人たちの反応も楽しみですね。
『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』2015年06月24日発売Sony Music Associated Records
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • AICL-2894~5 3000円
    • 【通常盤】
    • AICL-2896 2300円
MUCC プロフィール

ムック:1997 年結成。日本人の心のメロディーを大事にしつつ、ロック、メタル、パンク、ダンス、ラップ、ミクスチャー…ありとあらゆるジャンルの音楽を飲み込み、常に新たなサウンドを追求し続け、“MUCC”というひとつの生命体のように、誰にも似つかない音を鳴らし続けている。国内外問わず結成以来、精力的に数多くの箇所、本数のライヴを行なっており、海外でもヨーロッパ・アメリカ・中国・ロシア・南米の計13 か国で公演を約150 本を実施。国内においても日本武道館、幕張メッセ、国立代々木競技場第一体育館などで単独ライヴを開催。また、国内外の大規模フェスにも出演し、大きな反響を得てきた。08 年には北米(34カ所)、ヨーロッパ(18カ所)を回る大型フェスツアー、『ROCKSTAR Taste of Chaos』TOUR にAvenged Sevenfold、ATREYU、Bullet for My Valentine、Story of the Year、As I Lay Dying などとともに参加。日本公演では堂々のヘッドライナーを務めた。世界を股にかけるタフなライヴバンドとして定評もあり、そのパフォーマンスへの評価は高い。MUCC オフィシャルHP

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