L→R テツ(Ba)、健一(Gu)、結生(Gu)、ネロ(Dr)、ガラ(Vo)

L→R テツ(Ba)、健一(Gu)、結生(Gu)、ネロ(Dr)、ガラ(Vo)

【MERRY】テーマを言ってしまうと、
MERRY流の幸福論

アルバム『NOnsenSe MARkeT』を引っ提げた対バンツアーの第三章となる“2F”を控えるMERRYが、ニューシングル「Happy life」を完成させた。今回のアー写を見れば分かるように、同作からは突き抜けた彼らのモードが滲み出ている。
取材:土内 昇

昨年のクリスマスイブにアルバム『NOnsenSe MARkeT』を出して、今年は未年ということで“Grateful Year”を掲げ、年頭に“ヴァニラスカイアバンギャルド”というタイトルの渋谷公会堂でのワンマン公演を行ない、そこからの第一歩として今回のシングルが出るわけですが、まず今回のアー写に驚かされました。暗い路地裏で叫んでいたバンドが、太陽の下に出てきた印象を受けましたよ。

ガラ
世の中に対する不満や鬱憤を吐き出していることには変わりないんですけど、もうちょっと突き抜けた感じというか…ただ不平不満を言ってるだけではなくて、行動に示したっていう感じです。そういう突き抜け感が今のMERRYのモードではありますね。14年やってきて、今になってようやく“世の中に対して発信していこうぜ!”っていう。

それは意識的に表に出ようと? それとも気付いたら外に出ていた?

ガラ
両方ですね。たくさんバンドがある中で、俺らの役割ってあると思うんです。路地裏の隅っこで歌っているMERRYもカッコ良いと思うし、俺も好きなんですけど、表に出て行った姿も見てみたいっていう思いもあるんですよ。

そういう意識になったのは、『NOnsenSe MARkeT』がMERRYらしさを追求したアルバムだったから、そんな作品の次ということで?

ガラ
そうですね。それだけ『NOnsenSe MARkeT』がMERRYの核心部分を突いていたんで、あのアルバムを持ってツアーを回れば何でもやれる自信があるっていうか。だから、対バン相手もジャンルとか関係ないし、俺らがやることはもう分かっている。
ネロ
全部、『NOnsenSe MARkeT』からつながっているんですよ。対バンツアーにしても“B1”から始まって、“2F”まで発表されたし。タイトル曲「NOnsenSe MARkeT」のMVが出て、「千代田線デモクラシー」のMVが出て、次に「Happy life」が出る…まぁ、世の中の不平不満を歌っていることには変わりないんですけど、ただ感情にまかせて叫んでいるんじゃなくて、そういうものがあっても楽しめているんで、それだけMERRYはいい状態なんだと思います。MVやアー写を見ていろいろ思うところはあるだろうし、そこは自由に解釈してもらっていいんですけど、物事には必ずオチがあるんで、目を離さずに見ていてほしいですね。

では、このタイミングでシングルを出すということで、どんなものを提示したいと思っていたのでしょうか?

ガラ
この曲も歌詞先行だったんですよ。『NOnsenSe MARkeT』を出したあとの次なるテーマをずっと考えていて…テーマを言ってしまうと、MERRY流の幸福論ですね。“俺の幸せって何なんだろう?”っていうのを書きたいと思ったんです。こういう時代だからこそってのもあるんでしょうけど、周りに気を使わずに、自分が思ったことを発信するべきだなって思ったんで。
ネロ
サビの歌詞に全てが詰まっていると思いますね。
結生
ここまで“俺は幸せだ!”ってストレートに言っているものって今までになかったので、ついにここを出してきたのか!って思いましたね。MERRYって喜怒哀楽で言うと“怒”と“哀”に偏っていると思うんですけど、今回は“喜”と“楽”が入っているというか。アー写もすごく抜け切っているし。なので、今のMERRYは何も隠さずに、ありのままを全部出せるところにまで来たんだなって思いましたね。
テツ
歌詞を読んだ時、『NOnsenSe MARkeT』に対する、ひとつの角度からのアンサーソングになり得るなって思いましたね。鬱憤をぶち撒けるだけじゃなくて、“じゃあ、そこで何をすればいいのか?”の提示がされていると思うんですよ。自分の世界というものが一番プライオリティーが高くて…別にそれ以外は関係ないって言ってるわけじゃなくて、一番大事なのは何かっていう。そういうことを分かりやすく伝えていると思うんですけど、こういう曲って今までなかったなって。

そんな楽曲の制作はどのように?

ガラ
今までにない作り方でしたね。ひとつの歌詞に対して候補曲が3曲あったんですよ。だから、同じ歌詞でそれぞれサビを歌ってみて…もちろん、メロディーは違うんですよ。そうやってどの曲が一番しっくりくるのかを試してみるっていう。

曲調とか3曲とも違ったのですか?

ガラ
はい。疾走感がない曲だったり、いろいなテンポで。だから、結生くんに“これだけバラバラなものに、よく同じ歌詞を乗せれたね”って言われました(笑)。

その結果、この曲になった理由というのは?

ガラ
サビのはまりの良さっていうか、広がっていく感じがすごく良かったんで。
健一
この歌詞がはまったのが自分の曲だったんですけど、自分の曲で歌詞先行というのが初めてだったんで、今までの曲と比べるとより歌を気にしながら作れたと思いますね。幸せについて歌っている歌詞だったので、そういうアレンジを考えた…っていうか、アレンジを考える前から、もう曲の方向性が見えていたので、そういう意味では作りやすかったです。歌が引き立つ曲になったかなって思いますね。今までは自由にやりたいようにやっていた…それこそ歌を気にしないで曲を作っていたけど、歌詞があることによって普段だったら前面に出ていくギターを引っこめたりとか、なるべく歌詞の美味しい部分には絡まないようにアレンジをしていきました。

他のパートのアレンジはどうでした? 小細工なしっていう感じですが。

ネロ
最近、ひねるのことがカッコ良いと思えなくなってきたんで、もう直感勝負ですね。今までさんざんひねってきたバンド人生だったんですけど(笑)、ありのままをストレートに出しました。そっちのほうが今はカッコ良いと思ってるので。
結生
先に歌詞があって、この曲でいこうってなって、まずサビができたんですけど、その時点でどういう曲に持っていくのかってのが全て見えてましたね。余計なことはせずに、ストレートに、そのままアレンジしていきました。
ガラ
MERRYが初期の頃に持っていたパンクな部分…それは楽曲的なところも、精神的なところも。そういうところを出した曲にはしたいと思っていたんで、歌詞もサウンドもストレートになったんですけど。だから、70年代や80年代とかのパンクの感じって言うんですかね。そういうものをイメージしていたところはあります。
テツ
だから、余計なことはしませんでしたね。“ここにはこういうフレーズを入れたい”とか思っても今回は入れなかったです。俺が怪我でライヴに出れなくなってから、いろんなベーシストに代わりに弾いてもらったんですけど、何人かに“テツさんのベースっていい意味で小賢しいよね”って言われたことが頭に残っていたこともあって、今回はベースもシンプルです。この曲はそのほうがいいと思ったし。ガラちゃんも言ってましたけど、80年代ぐらいのパンクの空気がすごくある曲なんで、その雰囲気をベースでも出したいと思ってました。

そして、この歌詞なのですが。

ガラ
さっきテツさんも言ってましたけど、《世界がどうなったって 別にそれでいい》ってところだけをとっちゃったら、なんか投げっ放しで、“俺には関係ねぇよ”みたいな感じですけど、人それぞれに幸せがあるわけで…毎日いろんなニュースが流れていて、どんなに悲惨な事件や事故があっても、自分の生活は変わらないというか。“何かしないと!”って思って動いている人は動いているけど、渋谷で飲んでる人もいるわけだし、人それぞれの幸せがあっていいと思うんですよね。身近な人を大切に思うとか、自分ができることをやればいいと思ったんで、俺はツアーに来てくれるお客さんだったり、全国のファンだったり、メンバー、友達…そういう人に対して、メッセージを放っていたいと思ったんですよ。それが俺の幸せだなって。

そういう歌詞を書こうと思ったのも、『NOnsenSe MARkeT』を作ったことが大きい?

ガラ
そうですね。今までも世の中の不平不満を提示してきたと思うんですけど、言ってるだけだったんです。“この国、ほんとにクソだな”って言ってただけだったのが、さっき言われたみたいに外に出て、“この国はクソだけど、俺たちはどう生きていこうか?”って行動するようになったというか。路地裏の隅っこで“クソだな!”って言うんじゃくて、ちゃんと太陽の下に出て、しっかりと世の中に対して“クソだな!”って言えるようになりましたね。そこが大きい。“幸せになりてぇな”って言ってるだけじゃなくて、“俺の幸せはこれです!”って言い切れるようになりました。

そういう意味では、歌詞に書いている内容は今までと変わらないけど、隣の芝生はもう見ていないですよね。

ガラ
あっ、そうですね。隣の芝生がどうだってまったく関係ない、俺たちは俺たちの道を進んで行くっていう。今までは“他とは違うことをしなきゃ”とか多少なりとも考えていたと思うんですけど、もう“俺たちには俺たちの道があるんだから、他と比べても仕方ないし、周りなんか関係ねぇよ”って感じですね。

だからか、等身大というか、身の丈にあった歌詞になってるのも印象的でした。

ガラ
それはすごく意識していました。背伸びをせずに等身大のガラだったり、MERRYというものを書きたいと思ってました。15周年の節目に行くための曲…このタイミングで、この曲を世の中に投下できたのはデカいですね。ここからMERRYの“Happy life”がどう続いていくのか?っていう想いも込めて、今だからこそ出せる曲ですね。

《俺の人生は 最高にハッピーさ》と言い切って、さらにその先に行こうとしている感じがありますからね。

ガラ
そこは何回も書き直しましたからね。最初はライヴを意識していたから、“仲間と旨いビールで乾杯!”みたいな感じだったんですけど、“ビールもいいけど、やっぱり違うよな~”って(笑)。

カップリングの「臆病者の眠り方」はライヴでみんなが踊ってる画が浮かびました。この曲は表題曲ありきで、カップリングに入れた感じですか?

結生
まさしく「Happy life」があるから、この曲はこうしようって。真逆な感じですね。そういう気持ちで最初から作れたので、これも悩むことはなかったです。
ガラ
この曲は今までのMERRYに近いんですよ。
結生
うん。最近はなかった感じなんで、ストレートに遊んだっていうか、バカをしてみました(笑)。今回はイントロから作るっていうやり方で…2曲ともそうなんですけど、どちらも最初はイントロしかなくて、どちらもタイトル候補だったんですよ。で、「Happy life」はタイトル曲に選ばれ、この曲はカップリング曲にしようってなって、そこから枝分かれしていった感じです。
ガラ
歌詞も「Happy life」と同時ぐらいで書いていたんで、サビの《バカ バカ 嘘ばっか》の流れはすでにあって、結生くんに渡してたんですよね。きっと、俺、そういうモードだったんでしょうね(笑)。

この曲をアレンジする時にはどんなことを意識して?

ガラ
確か、“お祭り”っていうテーマを出したよね。
結生
それが薄らと頭のどこかにあったので、Aメロはそういう感じなってるんですけど…これはもう前々作ぐらいからなんですけど、俺はライヴで自分が弾く時のことをイメージしてやってます。特にこの曲はコーラスがものすごく多いから、常にマイクの前に立って弾いている姿を想像しながらアレンジを考えました。で、ギターソロの部分は、最近自分の中で“初めて出てくるコード進行”ってものが流行っているので、それも意識していましたね。まぁ、ギター的な話ですけど。この曲のメインはコラースですね。今まで以上にみんなで歌っている感を伝えたかった…メンバーもお客さんも全員で歌っている感じというか。
健一
結生くんのデモって最初から完成されているんですよ。弾き慣れているギターだったり、普段のプレイスタイルだったりを考えて作ってくれていると思うので、基本的には自分はいじらないというか…下手にいじってしまうと世界観が変わってしまうので、自分はそこにライヴ感を加えるぐらいですね。
テツ
この曲はノリノリというか、シャッフルじゃないですけど、跳ねた感じを意識しました。あと、この曲は2年振りぐらいにコーラスに参加しました。久々だったんですけど、なかなかやれるもんだなって(笑)。現場では無茶な要望もあったんですけど、楽しみながらやれましたね。
ネロ
いい意味でとってほしんですけど、最近、ドラムに興味がないんですよ。なので、ライヴでやっているところを想定して、その想像力だけで録りました。こだわりとかはまったくないです。脳で考えずに、体から滲み出てくるものでプレイしました。

さっき、“ひねるのことがカッコ良いと思えなくなってきた”と言ってましたが、そういうドラム的なところを意識しなくなったということですね。

ネロ
そうですね。だから、ライヴでまったく同じプレイができると思います(笑)。もちろん、それだけ伸びしろもあるし、お客さんのパワーも加わるので、それも楽しみです。

通常盤には3曲目に「絶望 feat. 増子 直純(怒髪天)」が収録されているわけですが、この人選がまず興味深いなと。

ガラ
昔からお世話になっていてる、良き兄貴なんですけど…今回も「ZERO -ゼロ-」(201年11月発売のシングル)の時みたいに、3曲目でコラボをしようってことになって、曲をどうするかってなった時に、「絶望」を毎回いろんな人とコラボしていったら面白いんじゃないかってなったんですね。ライヴには欠かせない曲なんで、いろんな人とコラボしたら面白いんじゃないかってところから始まって、前回のROTTENGRAFFTYの時はロックな感じでガンガンに攻めていたんで、今回は増子さんに怒髪天魂を入れてもらおうと。で、増子さんと俺が交代交代で歌っているところを想像したら、“やっぱり増子さんだな”ってなって、直電してお願いしました。キーが高いからどうかなって思ってたんですけど、増子さんがブースに入って“絶望”って歌った瞬間に鳥肌が立ちました。俺と同じキーで歌ってたし、めちゃくちゃカッコ良かったんですよ。想像していたものを遥かに超えた「絶望」が生まれましたね。増子さんが歌うとネガティヴな「絶望」にならないんですよ。たぶん、それが増子さんの人柄なんでしょうね。そういうものが出た「絶望」になりました。“嫌なことはいっぱいあるけど、酒でも飲んでパーってやろう”みたいな明るさがあるというか。
テツ
ぜひ怒髪天のファンにも聴いてほしい、増子さんの一面が出てますね。“これぞ!”っていうものが詰まっていると思うので。

今回のシングルですが、まさにMERRYの今のモードが詰まったものになりましたね。

ガラ
今のMERRYは超前向きというか…ライヴでもありのままのMERRYを出しているし、この「Happy life」という曲を持って全国を回って、ちゃんと今のMERRYを見せたい…MERRYが陽の当たる場所に出て、未来を掴みに行くってところを観てもらって、俺らだけでなく、ファンの人も自分にとっての“Happy life”を手に入れてもらいたいですね。
健一
「Happy life」の歌詞に共感できる人はたくさんいると思うんですけど、MERRYのライヴに来てくれる人には必ず当てはまると思いますね。悪い日もあれば、良い日もあるけど、ライヴではその時間が“Happy life”になればって思ってます。
テツ
世の中にはいろんな歌があると思うんですけど、この歌詞は自分にすごく響くんですよ。ぜひ、いろんな人に聴いてほしいですね。自分たちの曲だから聴いてほしいのももちろんあるけど、単純にいい曲なので多くの人に勧めたいっていうか。で、この曲を聴いてMERRYに興味を持ってくれたら、バックボーンには「千代田線デモクラシー」みたいな世界があって、さらに『NOnsenSe MARkeT』というアルバムがあるって分かると面白いと思いますね。
ネロ
ひとつ言えるのは、バンドがいい状態にあることは間違いないっていう。今回のアー写を見たり、「Happy life」を聴いて、“MERRY、どうなったんだ!?”って思っている人もいるようで、そのざわつき加減が心地良いです(笑)。ライヴも、作品も、今のありのままを最大限に表現しているので、言えるとしたら、今までのファンには“これからも俺たちに振り回されてください”と、これから知ってくれる人には“等身大の、今のいい状態を見てください”って。
結生
アルバム『NOnsenSe MARkeT』のツアーを行なっているところなんですけど、アルバムからの第一歩となるシングル…将来的なところで言えば、次のアルバムに向けての第一歩にもなるわけだから、この長いツアーの中で次のビジョンがはっきり見えるようにしたいですね。ちょうど“1F”のツアーと“2F”のツアーの合間に発売されるということで、“2F”は『NOnsenSe MARkeT』のツアーと題してますけど、「Happy life」のツアーでもあるし、徐々に『NOnsenSe MARkeT』の次のMERRYというものが見えてくると思うので、楽しみにしておいてほしいです。
「Happy life」2015年08月05日発売FIREWALL DIV.
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • SFCD-0156〜7 2500円
    • 【通常盤】
    • SFCD-0158 1300円
MERRY プロフィール

メリー:2001年10月、現メンバーによって結成される。哀愁とヘヴィネスの融合による唯一無二の“レトロック”を掲げ、進化&深化を繰り返しながら、独自のスタンスで活動。昭和歌謡的な叙情旋律や欧米発のロックなどをさまざまに融合させた個性的な世界観で、結成時よりメインストリームとアンダーグラウンド双方の特性を活かしながら規格外のロックバンドであり続けている。MERRY オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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