L→R 虎(Gu)、Nao(Dr)、将(Vo)、ヒロト(Gu)、沙我(Ba)

L→R 虎(Gu)、Nao(Dr)、将(Vo)、ヒロト(Gu)、沙我(Ba)

【A9】ずっとこの時がくるのを待ち望
んでいた

5人で曲を共有したからこそ バンドの熱
を閉じ込められた

それにしても『銀河ノヲト』にはA9らしいブレンドとしか言えない曲が並びましたね。音的に攻めているんだけど、メロディーが負けないほど強い。

ヒロト
最後に収録されているインスト「PRAY」を除いて今回の曲はノーシンセで5人の音だけで構成しているので、僕ららしさがギュッと凝縮されていますね。個性の強いメンバーばかりなので、混ざり切っていないところが好きですね。溶け合っている部分もぶつかり合っている部分もある。

いろいろな果物が入っているフルーツジュースに例えたら、それぞれの粒が感じられるみたいなね。ちなみに、ノーシンセにこだわったのはなぜですか?

ヒロト
前回のアルバム『Supernova』でバンドサウンドとシンセサイザーの融合はやり切ったと思ったんです。独立して新たな一歩を踏み出すタイミングもあって、まっさらな状態でひとりひとりの音が立っている曲を目指す時期だなと。
それでいて、いい意味で無理していない。ライヴで再現できない曲はないっていう。
それとある意味、今回のアルバムって時代に逆行していると思うんですよ。配信で曲が簡単に手に入る時代にまずライヴに来てほしいという想いがあって会場販売だし、DTMで手軽に曲を作れる時代にメンバーが分担してリレー形式でメロディーやコードを考えて曲をかたちにしていったし。だからこそ熱が閉じ込められたと思うし、聴いて“バンドっていいな”と思ってもらえたら一番嬉しいです。歌詞も難しいことを考えずに想いのままに書いていて、「流星群」という曲だけは物語調ですけど、今の自分たちが投影されていますね。
沙我
今までは誰かが作り込んだデモをもとに曲を完成していくことが多かったんですが、今回はリフから広げたり、ワンコーラスだけある曲をみんなでいじってかたちにしていったんです。1曲を共有して“俺ならこうする”って全員がアイデアを出し合ったんですね。そうすることによって俺らにしかできない武器を打ち出したかった。

タイアップが多数付いているアグレッシブな「Spiegel」をリードトラックに選んだ理由は?

メンバーみんなで共作した曲であり、僕たちらしさが出ている曲だったので、この曲を発信しようと。
沙我
イントロはヒロト、サビのメロディーは将くん、全体の構成とギターソロが虎氏、大まかなアレンジを僕と担当して。みんなのテイストを混ぜたかったんですよね。
ヒロト
バラバラなピースを積み上げて曲にしたので、フルサイズで聴いた時は“おお! こうなったんだ!”っていう感動がありましたね。

なるほど。《夢から覚める》というフレーズが印象的ですが、バンドとしての意志表明の曲ですか?

この曲には“鏡花水月”という言葉が出てくるんですが、そこに在るように見えてすぐに消えてしまうような儚さ…“諸行無常”に近い意味を持っているんですね。1曲目の「Phoenix」が“僕たちはちゃんとここにいる。大丈夫だからね”ってメッセージしているのに対して、「Spiegel」は逆説的な永遠というか、“いつかなくなってしまうかもしれないけれど、今、目の前に居ることが僕たちの答えだ”って歌っていますね。
Nao
「Spiegel」に限らず、このアルバムって奇跡の一枚のような気がするんですよ。個人的には「フリージアの咲く場所」が好きなんです。

美しく幻想的なバラードですね。

Nao
スタジオで行き詰まってボツになりかけた曲なんですけど、虎さんが“俺がちょっと考えてみる”って言ってくれて、そこから素晴らしい曲になったんですよ。

これも和洋折衷であり、切ないメロディー、日本的な歌詞とプログレッシブロックや民族音楽に通じる洋楽的なテイストのブレンドが絶妙ですよね。

沙我
去年のアジアツアー中に思い付いた曲なんですが、壮大な曲だから、どういうふうにでも広げられるんですよね。サビの後にいきなり激しくなるセクションまでは見えていたものの、作っているうちにDメロ、Eメロってどんどん長くなっていって、“虎さん、僕を止めてください”って(笑)。そしたら構成を考えてくれて、“これぐらいで止めておけ”って。
これ以上メロディーが増えると曲の輪郭がぼやけてしまうと思ったんですよ。沙我くんはなかなかイントロに戻ろうとしないので(笑)。
沙我
ストリングスが効果的ですよね。アコースティックギターを4本ぐらい重ねてるんですけど、弦に関しては将くんの知り合いの方に頼んで。
『篤姫』の音楽監督を担当したすごい作曲家の方が“手伝ってあげるよ。キミたちは好きにやっていいから”って言ってくれたんです。
沙我
最後にできた曲なんですよ。「フリージアの咲く場所」もMV撮りたいですね。
ヒロト
撮ったらいいんじゃない?(笑)
Nao
アジアツアーの隙間を縫って(笑)。
沙我
撮りたい! 日本じゃ撮れなさそうだもん。『銀河ノヲト』って制作に半年かけてるんですよ。先駆けてMVを公開した「Phoenix」が2月にレコーディングした曲で、「フリージアの咲く場所」と「銃弾」が最近の曲なので、余計にそう思うのかも。でも、さっき虎氏も言ってましたけど、ほんと、カッコ付けないアルバムになりましたね。背伸びしていないというか。
ヒロトが“10年経っても恥ずかしくないものにしたい”って言ってたんですけど、流行りのスタイル、エッセンスを何も入れなかったのが良かったのかなと思いますね。これからも僕ららしく、なおかつクオリティーの高い作品を作って長く続けられるバンドでいたいと強く感じています。

11周年のアニバーサリーライヴを皮切りに、9月から国内ツアー、アジアツアーがスタートしますが、今後についてメッセージをお願いします。

じゃあ、一番、こういうメッセージを言わなさそうな虎氏に(笑)。
バンドを今後10年続けていくためにも、自分たちでバンドを動かしたほうがいいと考えた結果、独立して今、こういうかたちになっているので、気持ち的には非常に前向きなんです。まだまだやりたいことがあるバンドで、これからどんどんかたちにしていくので、ぜひ、新しい俺たちについてきてほしいですね。

国内よりアジアツアーのほうが本数が多いというのも、新たな可能性を物語っていますね。

ヒロト
そうですね。国内で今回、行けない場所にもいつか必ず行くので待っていてください!
『銀河ノヲト』
    • 『銀河ノヲト』
    • NINE-0001
    • 2015.08.23
    • 2700円
A9 プロフィール

エーナイン:2004年4月始動。同年9月にバンド名を“アリス九號.”に改め、本格的な活動をスタートさせる。デビュー当初の和情緒にこだわったサウンドから、よりロック的な壮大さを持つものへと進化を遂げ、結成5周年という区切りのタイミングでバンド名の表記を“Alice Nine”に統一。11年に日本武道館での単独公演を成功させ、14年にはバンド初となるアジアツアーを敢行。14年8月、10年間専属契約していた所属事務所のPS COMPANYから離脱することを正式発表した。15年3月に“A9”として活動を再開。『11th Anniversary Live「Re:birth-飛翔-」』を8月23日に豊洲PITにて開催、同日よりライヴ会場限定EP『銀河ノヲト』をリリースする。A9オフィシャルHP

DIAWOLF プロフィール

ダイアウルフ:A9として活動する将(SHOW OHARA/Vo)、虎(TORA AMANO/Gu)による新プロジェクト。名前の由来は、狼のように死に場所を探しにいくイメージから名付けられた。共通のティーンエイジ世代のルーツであるメタル、ヘヴィロックを主軸に、モード、ゴシックなどをミックス。敏感に新しいものに反応し、ワールドワイドな視点の鋭さを追及していく。15年7月に1stEP『Rebellion』でデビュー。DIAWOLFオフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着