【yEAN】6人それぞれのキャラクター
が詰まったアルバム
実に3年振りとなるミニアルバムをリリースするyEAN。それぞれの個性が表われた6人編成初のミニアルバム『NATURAL』についてサナキ(Gu&Key&Vo)、ユダテアキ(キャッチー師匠/Key&Vo)に訊いた。
取材:高良美咲
今作は3年振りの作品ということで、まずは2012年4月にリリースした1stミニアルバム『4C』を振り返ってみて、改めてどのような作品になったと思いますか?
サナキ
今のメンバーになってからも時々『4C』に収録されている曲を演奏することがあるのですが、最近の曲なんかよりももっとアレンジや使ってる音がヘンテコなのでかなりアグレッシブな作品なんだなぁ(笑)と、最近レコーディング前に聴き返した時に思いました。
リリース後の3年間は幾度かメンバーチェンジがあり6人体制になったわけですが、この期間は具体的にどのような活動をしていたのでしょうか?
サナキ
リリースしてからはツアーを回ったり、次のレコーディングに向けて曲作りのためにスタジオに入ったりもしていました。ちょうどツアーが終わって、地元のライヴハウスの何周年かをお祝いするイベントでワンマンライヴもやらせてもらったりしていたのですが、その年末にミサキ(前Vo&Gu)が体調を崩し、しばらくはバンドから離れることになったんです。年明け以降も向こう半年以上はライヴが決まっていて、ライヴをキャンセルする選択肢もありましたが、僕らはサポートメンバーを入れて活動を続けることにしました。この頃から徐々に音楽性も変わっていったかなと思います。今作に収録されている「PRISM」「アフタースクール」なんかはこの頃からアイデアがあって、ライヴでもよく演奏していましたね。サポートメンバーと新しい曲をライヴで演奏するようになると、やっぱりいつもの曲を演る場合でも個人の音楽性からくる曲へのアプローチというか、理解度がまったく違うので、『4C』の曲を演奏していてもとても新鮮でしたし、またその感覚をこれからの曲にも活かしたいと思って書いたのが「京葉ハイウェイ」だったと思います。今の6人になったのは、僕がギターを弾けないからです(笑)。
そして、ミニアルバム『NATURAL』を8月26日にリリースしますが、まずはどのような作品になったか教えてください。
ユダテ
池田くんが入って6人になってから約2カ月でレコーディングの準備を始めて、結構なスピードで進んでいったので、制作中は正直どんな作品になるかまったく想像できていなかったんです。それが楽しみでもあったけど、出来上がったものを聴いてみて“yEANは6人になったんだなぁ”と改めて実感できました。6人それぞれのキャラクターがたくさん詰まったアルバムだと思います。
現体制としては初のリリースとなるわけですが、今作で提示したかったことやテーマはありましたか? 制作のきっかけが何かあったのでしょうか?
サナキ
曲はあったし、常にレコーディングしたいとは思ってました。ただ、6人になることも決まってたから、コーエイがバンドに馴染んでからがいいかな?くらい。活動休止からの復活みたいなことをよく言われまずが、僕らはずっとこの3年間、バンドとして活動してたから全然そんな気はなくて。“復活しました! 今のyEANを聴いてくれ”みたいな作品ではまったくもってないです(笑)。よくライヴに来てくれるようなお客さんからしたらyEANベストって感じの選曲なので。テーマとしてあったのは、レコーディングのスケジュールを押さないことですね。
今作には6曲が収録されていますが、選曲はどのように?
サナキ
選曲はメンバーの顔色をうかがいながら(笑)。主にライヴで演奏している曲が中心ですね。「風に吹かれて」は6人で演奏することをイメージして作ったので、今作のための書き下ろしと言えるかと思います。ミニアルバムなので、偏りすぎずにバランスよく聴けるよう意識しました。
「京葉ハイウェイ」は、14年4月にライヴ会場限定でもリリースしていますね。
サナキ
「PRISM」との2曲入りで発売していたのですが、当時の心境としてはyEANとしての楽曲の幅を広げたくて。ダンスロック、エレクトロ、ポストロックなところに位置付けされていたんだと思うんですけど、もっと自由に好きな音を鳴らせるようにあえて全然違う畑をベースに、僕の思うyEANらしさみたいなものはそのままに…っていうのが「京葉ハイウェイ」なんです。この曲をライヴでやり始めたあたりから、yEANを初めて知った!という人もちょこちょこ増えてきたのでパワーポップバンドだと思われてたらそれもありです(笑)。
「パレード」はサナキさんのヴォーカルをメインに、ユダテさんがコーラスで寄り添うように歌っているのが印象的でした。
サナキ
基本的には(ユダテ)アキちゃんがメインヴォーカルを想定して曲を作ってますが、いろいろ試行錯誤を繰り返した結果、僕がヴォーカルってパターンがほとんどで。ただ、「パレード」に関しては自分で歌いたくて書いた曲なのでコーラスの登場が控えめです。アベくん&しおりん(上野)のリズム隊はゆったりした曲もしっかり演奏できるので、ふたりの良さが活かせるような楽曲がひとつ『NATURAL』に欲しいなってのもありました。
男女ヴォーカルというこのバンドならではの意識は?
サナキ
歌詞は情景をそのまま歌っているようなフレーズが多いので、聴いてる人も景色をイメージしやすいと思うんですよ。それをもっと具体的なイメージをアシストしてあげられるような歌い方、コーラスワークというのを意識しています。サウンド面では、人が多いだけやれることも多いのですが、すっきりとはっきりと聴かせられるようには気を使ってます。ごちゃごちゃしてるのは好きじゃないので。
今作の最後を締め括る「アフタースクール」は、せめぎ合うようにそれぞれの音が主張し合っていて、高揚感を残してくれる楽曲ですね。
ユダテ
この曲は、私がサポートとして参加し始めた時にサナキさんが持ってきた曲で。それまでこんなにシンセ!って音色を使ったことがなかったので難しかったです。私はあの時、どういう楽曲にしようっていうのも考えられないくらいみんなについて行くのが必死でした。レコーディングした音源を聴いて、今やっと曲の展開の振り幅の広さや、みんなのフレーズの良さをしみじみ感じています。この曲ができて結構経っているのですが…(笑)。このアルバムの中で一番メンバーみんなの個性が活きていて、とても面白い曲になったと思います。ライヴでこの曲をやるとしーちゃん(上野)は途中ベースを放り投げてとんでもないことしますからね!
今作には“NATURAL”と名付けられたわけですが、このタイトルに込めた意味とは?
サナキ
単純に、今のバンドの状態を表しています。すごく乗りに乗ってる!ってわけじゃないですし…。メンバー同士で言い争ったりもない。側から見てもバラバラな個性の6人が自然にひとつのバンドで力を合わせて作品を発表するってこと自体が、普通に考えたら“UNNATURAL”なんですけど(笑)。制作過程を経て出た感想文みたいな感じです。もちろん、“NATURAL”なまま乗りに乗っていきたいです(笑)。
思い入れのある楽曲があれば教えてください。
ユダテ
「風に吹かれて」ですね。5人の時には出せなかった楽曲の広がりが出せたなぁと一番思えた曲だし、何よりこのメンバーになって初めてできた曲なので。…ベタですけど! あとは、個人的に歌っていて一番気持ち良いからですかね!
改めて、yEANとはどのようなバンドだと思いましたか?
ユダテ
私から見たyEANは、ひとりひとりのキャラクターが強烈なバンドです。一緒にチームとして行動できているのが本当に不思議なくらい(笑)。前作からのメンバーチェンジによって、かなりポップでパーティー感あふれるバンドへと変化しているので、初めましての人にもぜひともライヴにて確認してもらいたいです!
リリース後に控えたツアーも楽しみですね。
ユダテ
パッション担当のイイズカさんが、リリースによってもっとパワフルに変貌を遂げていると思うのでお楽しみに! 私は美味しいものを食べて、いいライヴをして、美味しいお酒を飲んで、みんなとワイワイするのが一番楽しみです。
- 『NATURAL』
- ACW-007
- 2015.08.26
- 1620円
ヤーン:2010年結成。千葉を拠点にライヴ活動を始め、15年4月に現在の6人編成となる。ポストロックやエレクトロ、パンクといったさまざまなジャンルを取り入れた音楽性が特徴の男女ツインヴォーカルロックバンド。16年7月、EP『BoyBoyBoyBoyGirlGirl!!!!』をリリース。yEAN オフィシャルHP