L→R Tomonori (Dr)、Taiki (Gu)、Minami(Vo&Key)、So (Vo)、Sxun(Gu)、Kei(Ba)

L→R Tomonori (Dr)、Taiki (Gu)、Minami(Vo&Key)、So (Vo)、Sxun(Gu)、Kei(Ba)

【Fear, and Loathing in Las Vegas
】明確な“変化”を刻み付けた大傑作

2年連続アルバムリリースという高いハードルを設定し、それを乗り越えたFear, and Loathing in Las Vegasの4thアルバム『Feeling of Unity』が完成! 今作は贅肉を削いだストレートな音像にシビれる一枚だ。
文:荒金良介

 これだけの短期間で、これだけの充実した傑作アルバムを仕上げてくるとは正直驚いた。度肝を抜かれた、と言ったほうが正しいかもしれない。別に大袈裟な啖呵を切ろうとしているのではない。本当に素晴らしいアルバムを目の前にして、興奮がずっと収まらない状態なのだ。第一聴のインパクトもさることながら、何度も聴く度にそのすごさがひしひしと体に染み込んでくる。
 Fear, and Loathing in Las Vegas(以下、ラスベガス)が前作『PHASE 2』から約1年1カ月振りとなる4thアルバム『Feeling of Unity』を完成させた。振り返れば、前作は表題そのままに“俺たちはフェーズ2に突き進むんだ!”と不敵に宣言した作品だった。これまでの集大成でありながら、新機軸も盛り込み、あの時点で彼らが培ってきたスキルや技術を総動員した刺激作だった。そして、今年1月に発表した「Let Me Hear」、5月に発表した「Starburst」のシングル2枚を挟み、その表題曲2曲を含む全11曲入りのフルアルバムをきっちり届けてくるのだから、一体いつ曲作りをしているんだ?と不思議でしょうがない。なぜなら、自身のツアーやライヴはもちろん、今年は『SUMMER SONIC 2015』を筆頭に、バンド最多と言えるほどフェスに出演しているからだ。
 その忙殺の日々の中で、彼らは“2年連続でフルアルバムを発表する”という高いハードルを掲げる。加えて、絶対に妥協しない音楽的クオリティーを目指すことを己に課した。言うは易く行なうは難し。けれど、彼らはそれを乗り越えた。そう、はっきり言っておきたい。
 Kei(Ba)が加入して、2作目になる今作は前作『PHASE 2』とはかなり趣を異にする。変化作と位置付けていい。歌、演奏、楽曲アプローチはストレートな威力が倍増している。前作はサウンド密度が高く、あれやこれやと武器を矢継ぎ早に繰り出す手法だったとするなら、今回は破壊力のあるリフ、一度聴いたら耳に残るフレージングの妙、ツインヴォーカルの絡み具合、乗りやすいテンポ感、自然と引き込まれる曲展開など、緻密に計算された無駄を削ぎ落としたアレンジが施されている。
 そういう意味ではシンプルになった。ゆえに各パートの個性は際立ち、楽曲自体もキャッチーな魅力が増し、トータルで聴きやすい作風になっている。“聴きやすい”と書くと、誤解を招くかもしれない。一曲一曲の聴かせどころが明確になり、ラスベガスというバンドの多面性が分かりやすいかたちで提示されている。これは大型フェスなど、不特定多数のリスナーの前で勝負する機会が増えたことも大きいに違いない。パッと耳に入った瞬間、ステージ側へ頭を振り向かせるフック性が抜群なのだ。
 2曲目「Meaning of Existence」ではテーマパークのごとくゴージャスな音色が高らかに響き、白馬に乗った騎士が闊歩するようなイメージを喚起させ、また、歌メロのバックにさりげなく生ピアノが雪崩れ込んでくるパートには心底ドキッとした。中盤の「Interlude」〜「Party Boys」の流れもラスベガスの真骨頂が刻まれている。ゲーム音楽を大胆に取り込んだ熱いインストチューンから、一定のテンポ感でフィジカルに訴えかける「Party Boys」のノリは実に新鮮だ。さらに9曲目「The Demon Called Careless」における遊び心あふれるフレーズにはニヤッとせずにはいられず、肩肘張らない自由な空気感が楽しい。そして、ラスト曲「Journey to Aim High」は“俺たちはまだ旅の途中でもっと最高の景色を見たいんだ!”と欲する彼らの真摯な音楽的姿勢が歌詞からうかがえる。感動的な楽曲だ。来年1月には初の日本武道館公演が待っているわけだが、今作がそこでどう響くのか、楽しみで仕方がない。
『Feeling of Unity』
    • 『Feeling of Unity』
    • VPCC-81850
    • 2015.09.30
    • 2700円
Fear, and Loathing in Las Vegas プロフィール

フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス:2008年に神戸で結成。エモ、スクリーモ、メタル、ダンスミュージックなどさまざまなジャンルの音楽を昇華した彼らの音楽はまさにカオス! オートチューンを取り入れた美メロと破壊的なシャウトが交錯するツインヴォーカルスタイルも相まってライヴハウスで唯一無二の存在感を放ち、開催する全国ツアーは軒並みソールドアウトに。14年3月23日には神戸ワールド記念ホールでのワンマンライヴも成功させた。Fear, and Loathing in Las Vegas オフィシャルHP
Fear, and Loathing in Las Vegas オフィシャルTwitter

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着