L→R Syu(Gu)、YUHKI(Key)、Masatoshi“SHO”Ono(Vo)、Jun-ichi(Dr)、TAKA(Ba)

L→R Syu(Gu)、YUHKI(Key)、Masatoshi“SHO”Ono(Vo)、Jun-ichi(Dr)、TAKA(Ba)

【GALNERYUS】壮大なドラマを描いた
大作で新たなる境地へ

通算10作目を数える今作『UNDER THE FORCE OF COURAGE』は“人間の存在意義を問い、自己確立へ至るプロセス”を描いた、バンドにとって初のコンセプトアルバム。今、新たな楽章の幕が上がる!
取材:金澤隆志

意外なんですが、コンセプトアルバムというのは、今回が初めてということですね。アイデアが浮上したのはいつ頃だったのですか?

Syu
コンセプトアルバムを作りたいという気持ちだけはずっと持っていたけど、ストーリーの作成や作曲といった具体的な作業に着手したのは今年に入ってから。物語性を追求するバンドでもあるし、“大作”という響きが好きで(笑)。前作『VETELGYUS』はコンパクトで良質な曲を詰め込んだ、キャッチーなアルバムだったので、今回はその反動としてかなり濃いものにしたかったんです。かと言って、聴き手を限定するアルバムということではなくて、初めて聴く人でも一聴して“いいな”と感じてもらえるアルバムになっていると思います。

それぞれの曲が異なった場面を描いていて、次々と場面が転換していくせいか、とても短く感じられました。

Syu
24ページに渡るコンセプトストーリーを収めたブックレットを付属するので、それを見ながら聴いてもらえると、余計に短く感じると思いますね。歌詞とともに挿し絵があるので、視覚的にもストーリーを理解してもらえるので。

世界観やストーリーはSyuさんによるものということですが、ストーリーの場面に沿うかたちで曲や歌詞を書いていったのですか?

Syu
“この曲では、この場面を描きたい”というのを念頭に置いて、決め打ちで作っていった部分が大きかったです。まず曲を書いて、それを並べて、YUHKIさんの曲を当てはめていき、さらにストーリーを緻密に練り込んでいって、歌詞を当てはめて、という流れですね。ストーリーと世界観を一貫させるためには全編通して全員が同じベクトルに向いていることが重要だったので、歌詞に関しては何度もディスカッションしました。
SHO
僕はSyuくんからの“この曲では、この場面を描きたい”というかなり細かい指示をもとに作詞しました。ストーリーの中の一場面を細かく描写することに限定されていたので難しかったですね。自分なりに書いたものを“ここは、こういう単語のほうがいい”や“ここは、英語のほうが”といった具合に変えながらかたちになっていったので、結果として単独で作詞したものがないという。曲によっては作詞クレジットが3人になっているものもあったりね。ソロも含めて、初めての体験です。

先日のライヴの中でSyuさんは“今回のアルバムは弾き倒した”と言ってましたが、確かに曲によってはアレンジや演奏がかなり複雑な印象を受けました。

Syu
初めて全員でスタジオで合わせた時、“これはサーカスだな”と(笑)。今回は細かいキメもすごく多い。小技をこれだけ挟んでくるバンドってあまりいないんじゃないかって、『LOUD PARK 15』に出演した時に感じました。自分のギタープレイに関しては、自分の手癖をフレーズ化したような部分が多くて。そのくせして、決まったフレーズにして弾いてみるとこんなに難しいのかと(笑)。もちろん技術のひけらかしではなく、それぞれの場面を適確に描くためのものであって…例えば「THE VOICE OF GRIEVOUS CRY」では、悲壮感プラス激しさを表現するために複雑なプレイが求められたり。

SHOさんは、ヴォーカリストとして今回チャレンジしたことというと?

SHO
今回は物語を歌詞にしたこともあり、これまであまり発音したことがない英単語が多かったですね。「REWARD FOR BETRAYAL」の“betrayal”もそう。だって英語で会話することはあっても、“裏切り”なんてそうそう言わないでしょ?(笑) 日本語なら、どの程度まで発音を崩しても伝わるかって分かるけど、英語では分からないし、ハイトーンになるほどしっかりとした発音を保つのが難しい。あと、細かいところで言えば、意識的にビブラートをかけています。

楽曲についてお聞きします。今回も14分を超える大曲がありますね。

Syu
「THE FORCE OF COURAGE」は、壮大なアルバムを代表する曲にしたいという思いがあったのと、アルバムの最後に伝えるべきことを集約したかった。尺的に「ANGEL OF SALVATION」(8thアルバム『ANGEL OF SALVATION』収録曲)に通じる長さなので、クラシックをモチーフにすることも考えたんだけど、今回は引用しないことにしました。ゆくゆくは自分たちがクラシックと呼ばれるようになりたいという思いを込めて、自分たちによるテーマ、メロディーでいこう、と。どんなドラマでも必ず同じメロディーが何度も出てくるように、「THE FORCE OF COURAGE」のサビで出てくるメロディーは、「THE TIME BEFORE DAWN」や「SOUL OF THE FIELD」に出てくるメロディーとほぼ共通しているんです。それと、「THE TIME BEFORE DAWN」のリフと「REWARD FOR BETRAYAL」のイントロ部分であえて同じリフを採用したり。何回か聴くとそういったつながりを発見してもらえると思います。

YUHKIさんが作曲を手掛けた「RAIN OF TEARS」もまた、目まぐるしい場面転換がスリリングな大曲ですね。

Syu
心が複雑に揺れ動く様子、おどろおどろしく怪しい雰囲気をストーリーの展開に合わせてお願いします、と頼んだらこんな大曲になりました。場面がどんどん変わっていくので、曲が進んでいくにしたがって最初の部分を忘れてしまうような。“結局どんな曲だったっけ?”と思っていたら最後にリプライズで帰ってくるという、すごく不思議な曲に仕上がっています。ストーリー同様、音の面でも発見がいろいろあるので楽しんでもらえると思います。

コンセプトアルバムということで、ついついライヴでの完全再現を期待してしまいますが。

Syu
来年3月から4月にかけてツアーが予定されているので、どこかの会場でできればなと。視覚的にも訴えられるようなライヴにしたいな。
SHO
このアルバムをじっくりと聴いていただいて、来春を楽しみに待っていてください。
『UNDER THE FORCE OF COURAGE』
    • 『UNDER THE FORCE OF COURAGE』
    • VPCC-81852
    • 2015.12.09
    • 3240円
GALNERYUS プロフィール

ガルネリウス:SYU(Gu)を中心に結成。2001年に現在までプロデュースを務める久武頼正と出会い、翌年にデビューを果たす。その後、メンバーチェンジを経て現在は、驚異的なテクニックとエモーショナルなギタープレイで絶大な人気を得るSYUをリーダーに、HM/HRサウンドに於ける理想的なキーボードプレイを聴かせるYUHKI、テクニシャンながら押しと引きをわきまえた理想的ベースプレイで魅せるTAKA、ミリオンヒット曲「You're the Only...」を筆頭にJ-POPシーンでの数多くのヒット曲で知られる、日本が誇るクリアハイトーンヴォーカリストのMasatoshi“SHO”Ono、21年に加入したドラマー・LEAという最強のラインナップが揃う。GALNERYUS オフィシャルHP

OKMusic編集部

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