L→R 細川千弘(Support Dr)、山内彰馬(Vo&Gu)、新山大河(Ba)、露口仁也(Gu)

L→R 細川千弘(Support Dr)、山内彰馬(Vo&Gu)、新山大河(Ba)、露口仁也(Gu)

【Shout it Out】10代の完結編である
と同時に、バンドの未来を期待させる
新作が完成

初の全国流通盤となるミニアルバム『Teenage』をリリースしたShout it Out。大阪・堺から飛び出してきた平均年齢18.5歳のギターロックバンドを代表して、リアルな言葉を求め、全曲の作詞を手がける山内彰馬(Vo&Gu)にインタビュー!
取材:山口智男

結成は高校入学直後の2012年4月で、そこからわずか1年で自主企画ライヴを行なったそうですね。

7月頃から月3回ずつぐらいライヴをやり続けて、4月に自主企画ライヴをやりました。地元の先輩であるKANA-BOONのコピーから始めたんですけど、KANA-BOONのホームと言えるライヴハウスの三国ヶ丘FUZZでのライヴをメンバー全員で観に行った時、“ここで自主企画ライヴをやりたい”と思って、オリジナル曲を作り始めたんです。

ということは、最初の目標はKANA-BOONだった、と?

ええ。だから、オリジナル曲をライヴでやり始めた頃、“KANA-BOONっぽいね”と言われた時は心地良かったんですけど、だんだんとそう言われることが悔しくなってきて。それからオリジナリティーを求めて、自分たちの言葉がリアルな重みを持つように意識しながら曲を作り始めました。『Teenage』のリードトラックになっている「光の唄」は、オリジナルを作り始めてから3曲目ぐらいの曲なんです。それまでは自分が楽しければいいと思って作ってたんですけど、この曲は聴いてくれる人の存在を初めて意識しながら“聴いてくれる人に少しでも前を向いてほしい”“ちょっとでも背中を押してあげたい”というメッセージを込めて作ったからか、自分でも言葉にリアリティーを感じられたんですよ。だから、『閃光ライオット』にもこの曲で応募したんですけど、2年連続でダメでした。それで1回は諦めたんですけど、3年目の締め切り直前に“ここで一歩踏み出さなきゃ、変わらずに続いているこの状況は一生変えられない”と思い、『閃光ライオット』の後継と言える『未確認フェスティバル』にひとつの前のミニアルバム『Prologue』(2015年5月発表)に入っている「17歳」で応募したんです。ただ、落ち続けてきた「光の唄」をファイナルステージで歌いたいというのが応募したそもそものきっかけだったので…“走り続けろ”ってメッセージを持った曲だから、そこで止まってしまったら曲にリアリティーがなくなってしまうと思い、3曲演奏できるファイナルステージで最後に演奏したんです。

その結果、見事グランプリを獲得したと。そして、今回いよいよ初めての全国流通盤をリリースするわけですが。

これまで以上に多くの人に届けられるということで、単純に分かりやすいとか簡単とかってことではないんですけど、伝わりやすいストレートな言葉遣いや言い回しは心がけましたね。レコーディングが終わってから、歌詞を見ながら全曲聴き直してみたところ、2年の間に成長したのか、前からあった「光の唄」「花になる」と今回書き下ろした4曲では表現の仕方が変わったと感じました。以前の曲は背伸びしている感じがあったんですけど、最近の曲は大人に近付いてきてるせいか、その中での心境の変化や葛藤が表れているんです。これまでは主に大人への不満を歌ってきたんですけど…タイトル曲の「Teenage」では大人になる直前だからこそ書けた、若者のリアリティーが等身大で表現できたと思います。

今、“不満を歌ってきた”とおっしゃいましたが、ただ不満をぶちまけているだけではないですよね?

それだけでは聴いている人は救われない。最終的には、どんなに小さくてもいいから光が射し込むようにしたいんですよ。聴いている人がどんなに小さくてもいいから一歩踏み出してくれたら、と思いながら音楽をやっています。

Shout it Outはいわゆる歌モノのギターロックバンドということになると思うのですが、今回の6曲は歌もさることながら、歌に負けないぐらい立っているバックの演奏も聴きどころだと思いました。

メンバーそれぞれに聴いてきた音楽がバラバラなんです。そういうメンバーが、歌に込めたメッセージをそれぞれに理解した上で、それを邪魔しないように自分が気持ち良いと思えるギリギリのところに挑戦しているんだと思います。

今回は音作りもかなり追求したのでは?

新しいことに挑戦しながら限界ギリギリまでやってやろうと録るよりも、むしろ音作りに時間をかけましたね。だから、一曲一曲のサウンドが違うんですよ。中でもドラムの音はハイからローまで、違うバンドなんじゃないか?ってぐらい曲ごとにチューニングを変えてみたんで、それが上手い具合に曲にマッチして、いい感じにまとまりました。それともうひとつ、今回初めて“せーの”で一発録りに挑戦したんです。メンバーの顔を見ながら演奏したせいか、今までにない一体感、グルーブが生まれて、決して音が丸くなったわけではないんですけど、まとまりのいい音になりました。

シンセも使っていますね。

それも新しい挑戦でした。特に「明日の空」は違う楽器がひとつ入るだけで、こんなに見せられる世界が変わるんだって自分たちでもびっくりしましたね。リードトラックの「光の唄」の次にくる曲ということでアレンジをどうしようか悩んでいたんですけど、シンセを加えたことで、そうきたか!と思わせられる曲になったと思います。

10代ならではの勢いや荒々しさももちろん感じられるんですけど、それだけに止まらず、ミュージシャンシップの高さも感じられるところがいいですね。

自分たちの10代を完結させるだけでなく、未来も見せられる一枚になったと思います。実は、“ここまでしかできない”という現実を突き付けられる気がして、これまでレコーディングってあまり好きじゃなかったんですよ。でも、今回は19歳の自分たちができるもの全てを詰め込むことができたと自信を持って言えるものになりました。そういう一枚になるだろうとレコーディングしている時から感じられたし、“自分たちはこんなこともできるんだ”という新たな発見もあったので、今回は最初から楽しくレコーディングすることができました。
『Teenage』
    • 『Teenage』
    • EGGS-001
    • 2015.12.16
    • 1620円
Shout it Out プロフィール

シャウト・イット・アウト:2012年4月、高校の軽音楽部のメンバーで結成。地元である大阪府堺市を拠点に活動中。15年の『未確認フェスティバル2015』では3,254組の中からグランプリを獲得。16年7月にシングル「青春のすべて」でメジャーデビュー。同年9月にメンバーの脱退があり、山内と細川のふたり体制に。18年7月から8月にかけて行なう初のワンマンツアーをもって解散することを発表している。Shout it Out オフィシャルHP

OKMusic編集部

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