L→R 長谷川正(Ba)、有村竜太郎(Vo)、ナカヤマアキラ(Gu)、佐藤ケンケン(Dr)

L→R 長谷川正(Ba)、有村竜太郎(Vo)、ナカヤマアキラ(Gu)、佐藤ケンケン(Dr)

【Plastic Tree】作るものは曲だけじ
ゃない、曲だけだったら配信でいい

美しく静謐な世界と、ラフなUKインディーをブレンドしたところへ、レトロ感とカラフルな毒もひとさじ。Plastic Treeの13thアルバム『剥製』は、彼らのアーティスティックな意識が細部まで張り巡らされた作品となった。
取材:舟見佳子

“剥製”って、すごくプラらしいタイトルですね。

有村
自然と出てきた言葉なんですけどね。バンドってこう、どういうふうになるか分からないし、どんな音楽ができるかも分からない。メンバーが出会って物を作ってってところから始めて、随分と長くキャリアを積んできて、Plastic Treeってバンドはひとつの生き物になったなというか…そういう感じがあって。それをかたちとして残したいというか、残っていったらいいなとか。楽曲ももちろんそういうものの一部だし、写真とかアートワークも一部だし。やってる本人側としてそういうもの…作品とか存在が残っていけばいいなぁっていう、そこをうまく言えてる言葉だなとも思ったんですよね。あと、バンドのもともとの存在感を表す言葉でもあるような気もして。本物のような偽物のような、なんかメイクして、変な写真撮って、音楽一生懸命やって、みたいな。何とも言えないバンドだよなっていうところは、自分らが百も承知で。そういうバンドを表す言葉のひとつという気もするし。アルバムのタイトル曲になっている「剥製」を作るにあたって、バンドそのものを表すような言葉が自然に出てきたので、このタイトルになりました。

では、メンバーのみなさんが制作にあたって考えてたことは?

ナカヤマ
俺は何も考えてない。この20年、1回も考えてない。

でも、20年以上やってきて、13枚目のアルバムで…

ナカヤマ
そんなこんなも、もう全部やり終えたような気がする。だいたい聴いてもらえてるようなことはだいたいやり終えてるから。なんかね、その上で何か目標がないと作れないとかになっちゃうんだろうね、人はね。

そういう話もよく聞きますね。

ナカヤマ
ノープランでいく勇気も大事だよ(笑)。でもまぁ、結局、カッコ良いものを作らなきゃね。ライヴに行くのも嫌になっちゃうでしょ?

ギター的に、最近のマイブームな音とかなかったのですか?

ナカヤマ
いや、そこも気を遣ってなかったね。ツアー中に録音したのもあるんだろうけど。だから、録音にも別に特殊なことをしてないっていう。ツアーに行って、ツアーのパッケージのままスタジオに入って、録って、またツアーに行く。そんな感じよ。何もかもナチュラルにやってるから。
佐藤
僕は基本、ライヴでできることをやりたいみたいな感じで取り組んでるんですけどね。で、録る時には毎回、自分ができることプラスちょっと難しいフレーズを入れるようにしてるんですよ。自身の向上として。それは今回も入れました。
有村
全員が作曲作詞をしたり、誰かが作った曲をもとに全員でアイデアを出し合って仕上げていくような方法論とか、今までバンドがやってきたことの完成形に今一番近いんじゃないかな。その最終形態になっていく、今のPlastic Treeの代表作になればいいなぁみたいな感じ。そう思ってました。
長谷川
今回は曲が特にそうなんですけど、自然と自分の中からゴロッと出てきたことばっかりだったので。今まではわりと新しい何かを引き出そうとしてたと思うんですけど、いい意味でそういうチャレンジみたいなものはなくて、どっちかって言うと自分が本来やりたかったこととか、自分のルーツとしてずっと変わらずにあるものとかを音にして届けられればいいかなって。

今作では全員が作詞作曲を担当してますが、その結果、カラーが絶妙なバランスだと思います。構成美というかね。

長谷川
あらかじめデザインがあってこうなったんじゃなくて、本当にこのタイミングでみんなが自分を出した結果ですね。

例えば、(ナカヤマ)アキラさん作の「フラスコ」と「スラッシングパンプキン・デスマーチ」は全然違うタイプの曲ですが、そういうのが1枚のアルバムの中に出てくるのも面白いです。

ナカヤマ
コンセプトアルバムじゃない、通常のアルバムっていうものはそういう自由があっていいですよね。結局のところ、Plastic Treeは20年やってるバンドだっていう、そういう揺るがないものがある上で書かせていただけてる強みっていうのがね。1〜2年の新人バンドでやったら、“結局何言いたいの?”とか突っ込まれて可哀想な目に遭うでしょ?

今のプラはそういう制約が全然ないってことですか?

ナカヤマ
まぁ、今はいい環境ですよね。好きなことができてるってことですね。ありがたいと思いますよ。

「ハシエンダ」は(長谷川)正さんらしい攻撃的な曲ですが、間奏なんかはひと筋縄でいかない感じで。

長谷川
まぁ、その辺は考えましたけどね。でも、基本、曲が結構ラフで、自分が思うカッコ良い音楽ってこういう感じかなぁっていうもののひとつの、自分なりの回答というかね。

そんな捻くれた曲たちの中で、(佐藤)ケンケンくん作の「告白」がさわやかな清涼剤のようです(笑)。

佐藤
曲を作ってる時とか録ってる時、自分が歌詞を付けるってイメージはまったくなかったんですよね。なんか寂しい歌詞がいいかなって、寂しい曲にしたいなっていうのはありましたけど。

確かに、ちょっと切ない感じですね。

佐藤
よくロマンチストって言われるんですよ。自分ではまったくそういう自覚なしに書いてるんですけど。でも、聴いてくれた人がそう思うんだったら、それが真実なんでしょうね。

タイトル曲「剥製」で今作は静かに終わっていきますが、この曲については?

有村
アルバム制作に集中しようって時に、自分の中で一番リアルタイムだったのがこの曲でした。で、メンバーにも訊いたし、アートワークを監修していただいた劇団イヌカレーさんにも訊いたんですけど、“剥製”っていうアルバムタイトルでどうでしょう、イメージは沸きますか?って。そしたら、すごく沸きますってことで。じゃあ、それはやってみる価値があるなって。

イヌカレーさんとの作業も大事な要素ですしね。

有村
はい。単にものを作って、“これに絵を描いてください”じゃないんですよ。一緒に作るっていうか、パッケージ含めて作品だと思ってるから。作るものは曲だけじゃないっていう。曲だけだったらね、配信でいいじゃないですか。CDにするっていうのは、いろんなものが重なって、ものを作るっていうか、作品を作るってことなので。意味があるものを作りたいっていうのはありますね。
『剥製』2015年12月23日発売CJビクターエンタテインメント
    • 【初回限定盤】
    • VBZJ-7 5400円
    • ※スペシャルブックレット+塗り絵付 ※豪華装丁BOX仕様
    • 【通常盤】
    • VBCJ-60001 3240円
Plastic Tree プロフィール

1993年12月、有村と長谷川を中心に結成。精力的なライヴ活動で着実にファンを獲得し、97年6月に「割れた窓」でメジャーデビュー。17年にメジャーデビュー20周年を迎え、7月には周年“樹念”で初のパシフィコ横浜公演を開催。同年9月にはトリビュートアルバム『Plastic Tree TriBute~Transparent Branches~』を発売した。19年2月には08年以降に発表した全シングルのカップリング曲を網羅したB面集『続 B面画報』をリリースし、同年7月には結成25周年を記念し、東京芸術劇場にてバンド史上初の試みとなるシンフォニックコンサートを開催した。Plastic Tree オフィシャルHP

OKMusic編集部

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