【秦 基博】花盛り、アップテンポな
新境地ラブソング

3年振りのアルバム『青の光景』が大ヒット中の秦 基博。デビュー10周年を迎える2016年、20枚目のシングル「スミレ」のリリースが決まった。ストリングスが美しく、疾走感にあふれる新境地なポップソングに注目だ。
取材:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

アルバム『青の光景』から一転、新曲「スミレ」は爽快感あるアップテンポなナンバーに仕上がりましたね。

昨年出したアルバム『青の光景』で、自分が作りたかった世界はひとつ完結したんです。なので、「スミレ」では新しい方向性、自分にとっても新鮮なサウンドメイクとなりました。

雰囲気や世界観がどことなく違いますよね。

アルバム自体はコンセプトがあったので、13曲全部をテーマに注ぎ込んだ気持ちがあった分、「スミレ」に関しては新しい音像や歌詞など、新たな気持ちで取り組みました。

昨年末はアルバム発売、テレビ番組出演などで忙しかったと思うのですが、いつ頃制作されていたのですか?

アルバムができてすぐですね(苦笑)。11月にはデモ音源を作ってました。

今回、初の連続ドラマ主題歌だそうで、桐谷美玲さん主演の『スミカスミレ 45歳若返った女』とのタイアップですが、楽曲はどのようにして生まれたのですか?

原作の漫画を読ませていただきました。これまで少女漫画を読むことはあまりなかったんですが、設定自体が特殊で楽しかったです。現実では急に45歳若返ることはないと思いますが、ある日突然何かが始まったりっていう状況には出くわすじゃないですか。世界が一変する感覚というか。

あ〜、そういう感覚ですね。あと、頭の歌詞フレーズ《花盛り》という言葉のインパクトで勝ちだと思いました。

嬉しいです(笑)。歌い出しって大事なので《花盛り 君の香り》というフレーズが出てきて落ち着いたって感じです。

秦さんがおじいちゃんになっているアートワークもインパクト大きかったです。

楽しい曲なので、いろいろ遊べたらなと思ったんです。それこそ前作『青の光景』でやり切ったからかもしれません。アートワークでは、結果70歳くらいになってるんじゃないですかね(苦笑)。あの姿でギターを持ってみて、白髪になってもギターを持っていられたらいいなって思いました。

レコーディングはどんな感じだったのですか? 

メンバーが揃う日が12月頭の“この日しかない”って日があって、年内で歌入れまでやって、ミックスは年明けでした。

ストリングスがいい味を出していると思いますが、アレンジの雰囲気はもともとイメージがあったのですか?

ありました。ドラマサイドからミステリアスな要素を強く出したいという話があったので、皆川真人さんに相談をして、ストリングスにそういったニュアンスを取り入れてみました。テンションコードとか普通はいかないところにわざといってみたり。

なるほど。いいインスパイアになっているのですね。ドラマ版もそうですけど、設定のぶっ飛び具合って漫画原作ならではですよね。ちなみに漫画はお好きですか?

結構読みますね。漫画じゃないと表現できない世界観ってありますよね。最初は手塚治虫先生が好きで、その後『ドラゴンボール』や『スラムダンク』とか。あだち充先生も好きですし、今は何でも読みますね。

そうなんですね。そして、カップリングにはまさかの、誰もが知っている曲「野ばら」をカバー収録という。これまた日本語の面白さや奥深さを感じられる楽曲ですね。

メロディーはシンプルなんですけど、たくさん心が動く部分、情緒があって。シューベルトすごいなぁと思いました。アレンジとしてはミニマムな小さい世界にしたいなと。アコースティックギターの弾き語りをベーシックに、どこまで音を重ねるかっていう。クラシエホームプロダクツ『いち髪』のコマーシャル曲でもあって、コンセプトは“弾むような気持ち”だったので、リズムは多少入れたくて、バランスにこだわりました。前シリーズもやらせていただいたCMだったんですけど、前回はまだ片思い段階の映像だったので切ない部分が強かったんです。今回はCM中のふたりの距離が縮まって、少し幸せな部分、弾む気持ちを表現しました。

タイアップやCMなど、ある種の制約がある中で制作されるのは、秦さんの中でどんな感じなのですか?

取っかかりにはなるのですが、いざ曲を作るとなると自分の表現なので自分の曲になりますね。違いはきっかけの部分だけです。もちろん依頼してきてくれた方に喜んでほしいし、対象の作品を彩るものとしても良いものに仕上げたい気持ちはあるんですけど、基本的には自分の作品として考えていますね。

なるほど。今回はシングルですけど、全7曲ということで青森の三内丸山遺跡でのライヴ音源が4曲収録されてますね。

三内丸山遺跡は縄文時代の集落の跡地に、復元された高床式倉庫とか住居がある広い原っぱみたいな場所で、昨年ライヴをやったんです。僕にとって唯一の昨年のワンマンでした。今回の「スミレ」リリースのタイミングがアルバムと近かったので、アルバム曲も知ってほしいなという想いで選曲しました。『青の光景』からの2曲と、昔の曲というか初期の作品も入れたいなって。

素敵なサービスっぷりで。昨年、カラオケランキングで、映画『STAND BY MEドラえもん』の主題歌「ひまわりの約束」が年間1位でしたが、「スミレ」も歌ってほしいナンバーですよね。

歌ってほしいですね。もちろん、カラオケを意識して曲を作ることはないんですけど、歌ってもらえることが嬉しいです。僕の曲は歌いやすい曲ではないと思うんですね。でも、歌いたい曲になってくれたんだっていうことが嬉しいです。ありがたいことですね。

そして、3月5日から全国ツアーが始まりますね。

3年振りのアルバムツアーです。『青の光景』という世界を、どうライヴで表現するかという演出を今考えています。楽しみにしていてください!
「スミレ」2016年02月24日発売AUGUSTA RECORDS/Ariola Japan
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • AUCL-201~2 1836円
    • ※スリーブケース仕様
    • 【通常盤】
    • AUCL-203 1300円
秦 基博 プロフィール

ハタ モトヒロ:1980年宮崎生まれ横浜育ちのシンガーソングライター。その類まれなる歌声は“鋼と硝子でできた声”とも称される。2014年8月リリース、映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌「ひまわりの約束」が100万DLを超す大ヒット。その後も『あん』『天空の蜂』とシングル3作連続で映画の主題歌を提供し話題を呼ぶ。15年12月16日に約3年振りとなる待望のオリジナルアルバム『青の光景』をリリースした。秦 基博 オフィシャルHP
Sony Music
秦 基博 オフィシャル Twitter
Wikipedia

OKMusic編集部

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