【AK-69】“音楽+生き様”でやって
いく代表でありたい

ストリートからの叩き上げで日本武道館公演を実現し、昨年は全国ホールツアーを行なったラッパー、AK-69。そんな彼が自ら事務所とレーベルを立ち上げ、ニューシングル「Flying B」をドロップ! 新たな道を突き進む、AK-69の第二章の幕開けについて語ってもらった。
取材:土屋恵介

まずは今年、ご自身で新事務所とレーベル『Flying B Enter tainment』を立ち上げた経緯を聞かせてください。

自分はずっとインディーズのレーベルでやってきて、昨年春に全国13カ所を回る初めてのホールツアーを敢行して、アルバム『THE THRONE』を出したんですけど、その区切りのところで契約が終わるタイミングになったんです。昔の自分からすると、武道館やホールツアーができたことだけでも奇跡だし、満足しようと思えばできるところまできた。でも、さらに大きなステージを目標に頑張ろうって選択をしたんです。他にもいい契約の話があったけど、今まで自分は誰もが通らないような成し得づらい道でずっとやってきたことに誇りに持っていたので、あえて独立して、インディペンデントでやっていこうと。あと、俺が20年くらいやってきて培ったノウハウを、他のアーティスト、若いアーティストに伝えてプロデュースしていけたら、という想いもありました。自分の城をビルドアップするためにも独立したというのはありますね。

新曲のタイトルも“Flying B”ですが、このワード、リリックにはどんな想いが詰まっているのでしょうか?

曲の中でも言ってるんですけど、“B”には“B-Boy”“Bad Boy”“B級”っていう意味が込められてます。前のアルバムは“THE THRONE”で“王座”という意味のタイトルで、一聴すると成功者の目線的な表現もあったんです。なので、17歳の時からストリートでラップを始めて、名古屋の不良たちにまみれてやってきたキャリアの成り上がりのストーリーが、『THE THRONE』までの第一章だったのかなって。そこから第二章になって、今まで積み上げてきたものを1回壊して、また新たに創造していく最初の曲が“Flying B”なんです。

まさに、破壊なくして創造なし。第二章に挑む意気込みが感じられます。

新しく進んでいくには葛藤や恐怖もあるんですけど、“でも、やってやる!”って気持ちを想いのままに書きました。ある意味、目標に向かって闘い始めた若い子たちと一緒のアティテュードに戻れたのかなと思いますね。あと、俺はいつでも“勝ち方にこだわる”って言ってるんです。みんなが無理だと思ってるやり方で成し得ることに、美学を感じてるので、その想いを込めた歌ですね。

ピアノとストリングスが入った、スリリングでパワフルなトラックも印象的でした。

今まで自分の代表曲の数々を作ってくれてたRIMAZI(リマジ)っていう地元のプロデューサーが、前作では“旅”に行ってて参加してなかったんです。その彼がちょうど音楽の世界に戻ってきたので、俺の想いを伝えて一緒に作ったんです。サウンド面でも、ある意味本来の俺感が戻ってきましたね。俺自身も彼のビートが必要だなと再確認できる制作でした。

この曲からはAK-69さんの根底にある、闘い続ける姿勢を感じ取ることができますね。

ヒップホップはレベルミュージックだし、それに俺はただラップが好きで始めたわけじゃないので。生活が荒みすぎてて、そこから抜け出したいというところから、ヒップホップ、ラップって手段に出会ったんです。そこから地元のしがらみ、全国のしがらみも全部背負ってやってきた。そうやってここまで来た奴はひとりもいないと思うんですよ。そんな人間だからこそ、やればできるってことや、自分に負けないこと、周りのせいにしないってこととか、ストリートで学んできたことを、みんなに一番伝えたいですね。

カップリングの「We Don't Stop feat. FAT JOE」でも、今言われたような、AK-69さんの出発点が歌われていますね。まず、ヒップホップレジェンドのFAT JOEとコラボしているのには驚きました。

2012年から1年半くらいニューヨークに住んでたんですが、そこでのつながりから発展したコラボなんです。ビジネスライクじゃない、自然なリレーションシップでできたコラボなんですよ。FAT JOEと言ったら、俺たちのレジェンドですからね。あえて、昔っぽいパワーのあるビートにしたんです。レコーディングの時に、彼からひと言出た瞬間ブルっときました(笑)。

そんな今回のシングルを聴いてくれる人に、楽曲からどんなことを感じ取ってほしいですか?

サラリーマンの方でも、学生のみんなでも、スポーツ選手でも、何か目標を持ってやってる人はたくさんいると思うんです。俺は夢と目標はちょっと別だと思ってて、何となく“こうなりたいな”っていうのが夢だと思うんですよ。目標っていうのは、ほんとに撃ち墜としにかかった時のもの。目標に向かってると、なかなか上手くいかなかったり、いろんなストレスが生まれると思うし、そこに打ちひしがれてる人に一番聴いてほしいですね。それは俺も同じなので。俺も戦ってるからこそ、こういうことが歌えるんだし。

魂を鼓舞する歌ってことですね。

やればできるってことは言いたいです。でも、絶対にできるとは言いたくないんですよ。“夢は叶う”とか、綺麗事だなって思うし。ただ、戦いに一歩踏み出さないと絶対叶わないってことだけは、確実に言いたいですね。

最後に、なぜAK-69さんが楽な道を選ばず、あえて茨の道を選ぶのか、その理由を聞いてみたいです。

単純に男としてカッコ良いからってことだけですね。チャラく聞こえるかもしれないけど、そうじゃなくて、ほんとに男がカッコ付くのって、言ったことをやってのけることだと思うんです。大口叩くのは誰でもできるけど、大口叩いてほんとにやってのける。それって実際大変だし、だからこそ達成した時にカッコ良いっていう。俺はその一番カッコ付く瞬間をいつも求めてるだけなんですよね。それに、ラップの醍醐味って、歌とやってることが伴ってるのが一番カッコ良いと思うので。これからも“音楽+生き様”でやっていく代表でありたいなと思ってますね。
「Flying B」2016年02月24日発売Flying B Entertainment
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • POCS-39002 1620円
    • 【通常盤】
    • POCS-30005 1080円
AK-69 プロフィール

エーケーシックスティーナイン:唯一無二のラップと歌の二刀流の先駆者としてアーティスト活動をスタート。マスメディアに一切見向きもされない名古屋時代に全国のクラブで年間180本のライブをこなし、ライブを見たファンの評価のみでインディーズながらアルバム2作でゴールドディスク、オリコンDVDチャート1位を獲得。その後、渡米しニューヨークのNo.1 HIP HOPラジオ局と名高い“HOT97”に日本人として初のインタビューを受け、同局主催イベントへのライブにも出演。そして、アメリカの伝説的なHIP HOPレーベル「Def Jam Recordings」との契約を果たすまでに至った。己の生き様から生まれる“言霊”が男女問わず競争社会で戦っているトップアスリートや経営者にも共感を生み、高級自動車メーカー、高級時計ブランド、スポーツチームなどさまざまな企業のアンバサダーも務めている。AK-69 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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