【夜の本気ダンス】今回は新しい僕た
ちを見せたかった
待望のメジャー1stアルバムが完成! タイトでエネルギッシュな音像には再生した途端に心を持っていかれるし、“気軽に踊ってよ”と手を引くようなロマンチックでセクシーな横ノリもたまらない。夜ダンは確かな覚醒期を迎えている。
取材:田山雄士
メジャーデビューは、ようやくという気持ちですか?
鈴鹿
音源が出ることはそうですね。1年くらいはここに向けてやってきましたから。
今作のレコーディングは東京で?
米田
いや、ほとんどは奈良で録りました。普通の一軒家みたいなスタジオで3週間ほど寝泊まりして。合宿ですね。
鈴鹿
今後も京都を拠点にしたいです。くるりや10-FEETも最近はそうだし、キュウソネコカミも地元の西宮でやれてるんで。
米田
雰囲気が好きなんですよね。あまり都会じゃないのが、自分らに合ってる。せわしない場所で暮らすと、大事なものが薄れてきちゃう怖さもあって。
基本スタンスは変わらないと。
米田
『めざましテレビ』とか、地上波の番組に出させてもらえるのなんかはメジャーっぽいですけどね。バンド界隈以外のところ…家族や友達の反響がすごくて、現状を実感しました。さっきの奈良のスタジオもビクターの方に教えていただいたり、いいエンジニアさんと出会えたり、制作環境がよくなってるのもありがたい。曲に集中できてます。
『DANCEABLE』はとても地に足付いてる印象でポップ、なおかつ骨っぽいアルバムだと感じました。
米田
ありがとうございます。前作の『DANCE TIME』でひとまず出し切った感覚があったので、今回は新しい僕たちを見せたくて。「Dance in the rain」みたいな曲は初めての試みだったので、これができたことでアダルトなノリで踊れるのも武器にしたいと思いましたね。ソウルやファンクの黒い要素を。
マイケル
夜ダンにしては展開があるほうだよね。泣きのギターソロにしても今だから挑戦できたし、米田のセクシーな声に特化できた曲とも言えます。
町田
なかなか納得できないケースが多いんですけど、このソロは“キター!”ってのが弾けた感触があります(笑)。
中盤以降の楽曲が特に新しいですよね。
米田
「escape with you」や「feel so good」は初期のテイストに立ち返ってるんですよ。いつの間にかやらなくなってきてた、荒くて男臭いようなロックンロール~ガレージ、その良さをもう1回出したくて。
マイケル
「escape with you」はループによるグルーブが効いてるんですけど、後半になるにつれて違うパターンが入るのも面白いと思います。
フランツ・フェルディナンドやザ・ストロークスを引き合いに出されることの多い夜ダンですが、このあたりの曲にはむしろザ・ハイヴスのような頼もしさを感じます。
鈴鹿
ザ・ハイヴスも大好きで、実はドラムに関してはかなり意識してるんですよ! あのパワフルさやビートはライヴでもイメージしていて。「feel so good」なんかは完全にそう。僕はもともと4つ打ちを叩かないほうだったので、この8ビートは久し振りの楽しさがあります。
米田
「ウォーク・イディオット・ウォーク」の感じやな。
「Logical heart」はどうですか?
米田
僕の好きなニューウェイブ、ポストパンクのテイストがうまく表わせたかなと。冷たさがあっても、4つで打って踊れるっていう。ルーツのブレンド具合は良くなってる気がします。昔だったら影響元のバンドの色がモロに出てたけど。
鈴鹿
なんかもう、前半とアウトロでぜんぜん別モノじゃないですか。その広がっていく流れが演奏してて楽しくて。
「LOVE CONNECTION」「Love is always new」あたりは、ツインギターの絡みが好きです。ユニゾン含めて。
米田
ギターのミックスは悩みました。どうするのがシンプルなのかって。フランツもユニゾンっぽい単音で絡んでいくような弾き方が多いですよね。こういうの好きなのかも(笑)。
アルバムを再生した瞬間の掴みも抜群ですよ。「Oh Yeah」のギターの音色がジャケの黄色とマッチしてるから。
町田
リフはエッジーで前のめりなものにしたくて。音色的には硬さを意識しつつ、ショートディレイもかけてますね。
米田
歌詞は捻くれた言葉で始まって、サビでグッとさわやかにしてます。曲調も一気にキャッチーになる心地良さがあるし。そこまではリフで変則性を出してますね。大体の曲でそうなんですけど、ロックミュージックと自分の間にある想いというか、僕がロックに対してどう感じるか。そんなテーマで歌詞を書くことが多いですね。この曲の《君》もロックで。
そして、「Crazy Dancer」のギターソロ、見せ場ですね。
町田
1回静かになって、“はい、ギターソロですよ”みたいな流れじゃないですか。どうしようかな~っていろいろ迷ったんですけど、結局ずっと決めないで…レコーディングの日に駅からスタジオまで歩く間に考えました(笑)。瞬発力!
『DANCEABLE』って序盤にハジける黄色い疾走感があって、だんだんとロマンチックな赤色が垂れるように染み出てくるんですよね。まさにジャケのアートワーク通りに。
米田
おぉ~! それは言われてめっちゃしっくりきました。嬉しい。
町田
どの曲も個性がありながら、バラバラじゃないんですよね。アルバムとしてきれいに収まってる。
今まではダンスロックのシーンに括られがちでしたけど、夜ダンの立ち位置はそこではないと示せたとも思います。
米田
そうですね。僕たちはこっちに行きました。赤の部分なんて特に攻めてるし、聴いてくれた人からどんな反応がくるのか楽しみで。
鈴鹿
やっぱり、中盤からの大人っぽさは聴いてほしいですね。洋楽好きな人にも響くと思うし、幅広い年代にぜひ!
- 『ヤングアダルト』
- VICL-64560
- 2016.03.30
- 1404円
- 『DANCEABLE』
- 【初回限定盤】
- VIZL-939
- 2016.03.09
- 3456円
ヨルノホンキダンス:2008年に結成された、京都出身の4人組ダンスロックバンド。踊れて泣ける100パーセントのダンスロックとライヴパフォーマンスを武器に着実に支持を獲得し、全国のイベントやフェスに出演を果たす。満を持して、16年3月9日にアルバム『DANCEABLE』でGetting Better Recordsよりメジャーデビュー。同年9月をもってギターの町田建人が脱退し、10月に西田一紀が加入。夜の本気ダンス オフィシャルHP