【T.M.Revolution】20年の活動を追体
験できるベスト盤

20周年から先は道のない新たな大陸

2002年からセルフプロデュースになられましたが、マインド的な部分では、そのことも影響しましたか?

大きかったと思います。最初は自分から何かを発信できるだけのボキャブラリーがなくて、周囲の期待にその都度応えるかたちでボキャブラリーを増やしていったんです。2002年からは、良い意味で活動を俯瞰から見ることができるようになりました。

20年、作詞作曲がほぼ変わらずというのも。

あまりそこは、意識してないですけどね。もしそれ以外の人とやりたかったら、それは他でやるというかたちですから。例えばK-POPのAOAとコラボしたのもそうだし、水樹奈々さんと一緒にやらせてもらったのも、そこに起因していると思うし。今後については20年やり切った上で、またひとりのシンガーとしてどういったものを歌っていくかということを、そことは違ったところで考えていくと思うし。だから、良い意味でT.M.Revolutionに全部を背負わせない。変に負荷をかけてストレスを与えるよりも、得意なことだけやらせて伸ばしてあげようと、20年かけてそういうシフトになったという感じ。新会社『突風』の会社説明会でも話したんですけど、T.M.Revolutionを良い意味で商材として考えていて。そう考えられるようになったこともひとつだし。つまりは、さっき言ったマヨネーズというのは、そういうことなんです。

全40曲を通して聴くと、当初の少年っぽさが残っていたヴォーカルが、徐々に太く逞しくなっていくのが分かりました。どこかで意識の変化もあったのですか?

そうですね。自分にとってライヴというのは、生のリアクションを確認できる大切な場所なので、そこをきちんとまっとうしていくためには、どういう準備をしていくべきか。それはすごく考えるようになりました。例えば、全都道府県ツアーをやるのは当たり前のことになってきているけど、それをやる上ではやはり物理的な大変さもあるわけで。主要都市でアリーナ規模を2本ずつやったら1〜2カ月で済むところを、あえて半年近くかけて全国津々浦々まで回りますから。移動にかかる時間と労力など負荷がかかる部分はあるんだけれど、やり続けることに意義を感じているんですよ。それを実現するために、フィジカルも鍛えなければいけない。

キープするのは大変ですね。

やってなくて本番でしんどくなるくらいなら、今日しんどいことをやっておいたほうがいいと思うので。他人から見たらストイックだと思われるだろうし、“そんなことを毎日続けているの?”と驚かれたりもします。でも、ライヴをやるための身体作りは、寝たり歯を磨いたり飯を食ったりするのと同じような感覚でやれるようになっているので。

収録曲の「WHITE BREATH」は、初のチャート1位でミリオン達成、紅白初出場になった曲という部分で、印象に残っていたりしますか?

その時は一生懸命だっただけなので、印象なんてものは残ってないです(笑)。そういう表に出ていてみなさんの印象に残っている曲より、レーベルを移籍して一発目の「Albireo-アルビレオ-」とかのほうが印象に残っていますね。

セルフプロデュースの一発目になった「Out Of Orbit 〜Triple ZERO〜」は?

それは、そうでもないかな(笑)。「Albireo-アルビレオ-」の時は、スタッフが丸ごと変わりましたからね。新しいスタッフとの関係性を築きながらの制作だったので、よく覚えていますよ。「Lakers」は『イナズマロックフェス』が始まった翌年の春に出したんですけど、地元の地域とより密接にしていこうという中で制作したもので。配信限定というスタイルでリリースしたことも、ほぼほぼ初めてだったと思います。しかも、この曲は『イナズマ』でしか演奏しない曲ですから。僕にとっては『イナズマ』でのみ歌う大切な曲です。

全曲を改めて聴いて、何か感じたことはありましたか?

単純に音だけとかシンガーとしての技術的な部分は、ここ5年くらいの伸びが大きいと感じましたね。だいたい5年くらいで大きい変化が起きているんですけど、最初の5年から10年までは伸び方がなだらかだったんですけど、10年から15年で右肩上がりになり、ここ5年くらいで現在のスタイルが完成されていったんじゃないかなと。

何かきっかけが?

何なんでしょうね。…もしかするとですけど、5年くらい前までは自分以外の方の曲を歌う機会がほとんどなかったけど、テレビやネットなどで他アーティストの楽曲を歌ってほしいという要望をいただくことが増えたし、10年以降は舞台にも定期的に出るようになったし、そこにバンド活動も加わったりとかして、自分では同じことをやっているつもりでも刺激を受けていたんだと思います。それにさまざまな楽曲を歌うことで、周りからの評価も変わった気がするし。T.M.Revolutionって音がガチャガチャしているので、あまり歌に気がいかないところがあると思うけど、歌だけを取り出すと“意外といけるじゃん!”って、みなさんに思ってもらえるようになった。そういうことが起因して、“じゃあ、それをより突き詰めていくのか?”というところに、自然と気持ちが向かっていったんだと思いますね。

最後にツアーのお話を。ツアータイトルは“Route 20”ということで。アメリカで有名なRoute66という道がありますが、それにかけて?

そうそう。タイトルが“2020”なので、2016年のツアーなのに2020年みたいでちょっとなぁ…って、スタッフが困っていたんです。それで、ツアータイトルの話になった時にパッと閃いて。歩みという意味では通じるし、語呂も良いし。それにRoute66って、イメージとしてアメリカ大陸を横断していそうですけど、実はロサンゼルスからシカゴまでの道で、NYまではつながっていないんです。これはNYでツアーパンフレットを撮影したことにも通じるんですけど、20周年から先は道のない新たな大陸みたいな。それこそ海を越えてヨーロッパに渡っちゃうようなイメージというか。そのまま一周して、また日本に辿り着いちゃうかもしれないけど(笑)。
『2020 -T.M.Revolution ALL TIME BEST-』2016年05月11日発売EPIC Records Japan
「Committed RED / Inherit the Force -インヘリット・ザ・フォース-」2016年04月06日発売EPIC Records Japan
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • ESCL-4611~2 1800円
    • 【通常盤】
    • ESCL-4613 1200円
T.M.Revolution プロフィール

ティーエムレボリューション:1970年滋賀県生まれ。西川貴教によるソロプロジェクト。1996年5月にシングル「独裁 -monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲や完成度の高いステージ、圧倒的なライヴパフォーマンスで人気を集め、数々のヒット曲を連発する。近年では、故郷・滋賀県から初代滋賀ふるさと観光大使に任命され、滋賀県初となる大型野外ロックフェス『イナズマロック フェス』を主催するなど活動の幅を広げている。T.M.Revolution オフィシャルHP
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