【焚吐】前例がないからこそ自分のや
り方で進みたい

繊細で透き通るヴォーカルが光るシンガーソングライター焚吐。フォークとボーカロイドという、いわば対極のルーツを持つ彼に、2枚目となるシングルについて語ってもらった。
取材:桂泉晴名

ニューシングル「ふたりの秒針」は、焚吐さんにとって新たなチャレンジがたくさんつまった一曲だそうですね。

前作に準ずるというかたちでも良かったんですけれど、やはり2ndシングルで自分が今までできなかったことを取り入れるのは大切だなと思ったので。実はミドルバラードのラブソングというものに、苦手意識があったんです。今までボーカロイドを聴いてきた影響だと思うんですけど、アップテンポのほうがすごく作りやすくて。ミドルバラードや4つ打ちのテンポに忠実な感じはあまり作ってこなかったので、今回は挑戦でした。ラブソングに関しては、僕はもともと人とのコミュニケーションが得意ではなくて…ラブソングってコミュニケーションの縮図っていうか、1対1のすごく密な関係じゃないですか。だから、その部分が踏み込めない壁だったんです。

この歌詞はどんなところからイメージを広げたのですか?

大学に入ったり、デビューをすることによって、新たに出会った方々がたくさんいて。その出会いの中で生まれた感情をひとつかたちにしたいという想いがあり、この歌詞が生まれました。作る前は“これはコミュニケーションの縮図だ”って思っていたんですれど、実際に出来上がってみると、もっと大きな枠組みで考えてもいい曲なのかなと感じました。

焚吐さんはボーカロイドだけでなく、フォークソングにも大きな影響を受けてきたそうですね。その点はミドルバラードの「ふたりの秒針」に生かされたのではないですか?

自然な言葉の使い方とかは活かされたと思うんですけど、フォークって言葉数がすごく多いじゃないですか。「ふたりの秒針」のコード進行とかリズム感だと、伝えられる言葉の数が制限されてくるので、そこはひとつの問題だったんです。一番大切なところを残して、一番きれいなかたちにするにはどうすればいいかな?ということをかなり考えました。

カップリングの「てっぺん底辺」は前作同様、編曲はボーカロイドクリエイターのNeruさんが担当されていますね。

自分はロックをやっていきたいという想いがあるんです。前作の「オールカテゴライズ」の時もそうでしたが、印象的なリフだとか、攻めたベースラインとか、Neruさんの得意なことをやっていただけて、良かったなと思います。

“てっぺん”と“底辺”という対極をテーマにした理由は?

曲作りを始めた9年前から、いいものを作ろうとしても、結局は徒労だったという失敗をたくさんしてきました。てっぺんを目指すからこそ底辺に行く、みたいな。努力する人だからこそ感じる苦しみを曲にしたかったんです。

ちなみに、ライヴに対してこだわっている点は何ですか?

デビューする前は弾き語りでやってきました。弾き語りの良さは、1対1で伝えやすいということ。でも、今はバンド形式でやっていきたい想いがあります。バンドだと自分という存在が抽象化するというか。あまり限定的な伝え方にならないところも魅力だと思いますね。あと、大勢に何か伝えるっていうのは、心をひとつにしないとできないと思うので、そういった点を大切にしてライヴ活動をしていくつもりです。

今後どんなアーティストになりたいと考えていますか?

フォークソングの出で、ボーカロイドも通ってきた、という人はあまりいないと思うんです。前例がないからこそ自分だけのやり方で、どれだけ聴き手のみなさんの心に届くか、これからもチャレンジしていきたいです。
「ふたりの秒針」2016年05月04日発売Being
    • 【CD+DVD盤(通常盤)】
    • JBCZ-6045 1500円
    • 【名探偵コナン盤(初回限定盤)】
    • JBCZ-6046 1000円
焚吐 プロフィール

タクト:1997年2月20日生まれの21歳。東京都出身。某音楽大学在学中。10歳頃から楽曲制作を始め、それらを人前で歌うことで、自身の苦手とするコミュニケーションの代わりにしてきた。普段の物静かな佇まいとは裏腹に、本音を露わにした鋭利な歌詞と心に訴えかけるような力強い歌声が特徴の男性シンガーソングライター。焚吐 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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