【→Pia-no-jaC←】映画音楽の名曲を
大胆にカバーした最新作
今までに数々の名曲をカバーしてきた→Pia-no-jaC←が、最新作『Cinema Popcorn』で取り上げたのは映画音楽。誰もが知っているあのメロディーに、新しい生命が吹き込まれている。
取材:田中 大
映画音楽のカバーは、初めてですよね。
HIRO
はい。いつかやりたいと思っていたんです。映画音楽はクラシックの曲と同じように、みなさんにとっても耳馴染みがある音楽ですから、俺たちなりにカバーできたら面白いだろうなと思っていました。
HAYATO
今回選んだ曲は、僕らの年代がまさに観ていた映画の曲がいろいろありますね。『ゴーストバスターズ』とか『アルマゲドン』とか『ミッション:インポッシブル』とか『プリティ・ウーマン』とか。
1曲目の「PROLOGUE: BOOK II AND THE ESCAPE FROM THE DURSLEY'」から楽しかったですよ。『ハリー・ポッター』の魔法っぽさがすごく出ているじゃないですか。
HAYATO
→Pia-no-jaC←らしいカバーになりましたね。
演奏するふたりを観るのも楽しいでしょうね。かなり忙しい演奏になりそうですけど。
HAYATO
常に負荷をかけるふたりですから(笑)。
HAYATO
余裕があると“何か違うな”ってなるんです。一定の疲労感に達するように常にやっているので。
ピアノを立てて無茶な体勢で弾くのもそうですよね。
HAYATO
はい。ほんとはあんな体勢で弾かないほうが、身体にはいいんですから(笑)。“もっと手元が観たいです”っていう声があって始めたのが、あの“3Dピアノ”です。
HIROさんが使う音が出るおもちゃも、忙しくプレイするスリルをライヴで毎回発揮していますけど、ああいう負荷も→Pia-no-jaC←の美学?
HIRO
その通りです(笑)。いい音が出るものをいろいろ探すのもこだわりですし。小物はどんどん増えていますね。倉庫が大変なことになっています。
HAYATO
去年のイタリアツアーでも、結局、HIROが買ったものは全て鈴でしたから。鈴の音を探しながら今回のCDを聴いていただくのも面白いと思います(笑)。
HIRO
そう言えば、『ハリーポッター』の曲のために、魔法っぽい音が出るものをいろいろ探したんですよ。楽器屋さんで店員さんと相談して選んだオールスターで臨みました。
HAYATO
→Pia-no-jaC←はサンプラーとかを使うんじゃなくて、自分たちの手で、あるものを使ってどこまで表現できるかを大事にしているんですよね。
HIRO
出す音に関してはアナログにこだわってますね。
思い入れが深い鳴りものは何かあります?
HIRO
馬の走る音を表現したくて、いろいろ探したことがあったんですけど、最終的に見つけたのが缶詰の上についていたプラスチックの蓋でした。ポテトチップスの入れものの筒とかも試したんですけど、それが一番。メーカーの人は、そんなつもりで作っていないんでしょうけどね。
HAYATO
そこまでいろいろ追求して、やっと気が済むのが→Pia-no-jaC←ということです(笑)。
今作もそういうこだわりがいろいろ発揮されていますね。『戦場にかける橋』の「The River Kwai March」ですが、今回の中で唯一、かなり昔の曲なのでは?
HIRO
そう言えばそうですね。いろいろ候補が挙がった中で、妙に気になる曲だったんです。HAYATOが試しに弾いてみたのもすごく良くて、カバーすることになりました。
邦題は“クワイ河マーチ”ですけど、昭和生まれはみんな知っているはずです。
“サル ゴリラ チンパンジー”ですよね?
HAYATO
みんな歌っていましたね(笑)。今回の原曲を聴いてすぐに思い出しました。
そして、『ミッション:インポッシブル』のテーマもいいですね。ワクワクする曲です。
HAYATO
これ、ライヴで“シャカシャカ大作戦”(お客さんがビニール袋を使って演奏に参加するコーナー)の説明の時にやっていた曲を、本気でアレンジしてみたかったんです。
子供の頃、映画は好きでした?
HIRO
好きでしたね。今回カバーした中だと『アルマゲドン』は映画館まで観に行きましたよ。友達と一緒に行って、オイオイ泣きましたから(笑)。
HAYATO
僕は今も時々映画館に行きますよ。リラックスできる雰囲気が好きです。あと、子供の頃は土曜日はピクニックか、レンタルビデオを家族で観るのが習慣でした。『ゴーストバスターズ』も、確かそれで観たんだと思います。
HIRO
『ゴーストバスターズ』は新しいのをやるみたいですね。
リメイク版の新作映画『ゴーストバスターズ』の掃除機はダイソンですかね? あるいはルンバ?
HAYATO
それじゃあ、まるで掃除機のプロモーション映画じゃないですか(笑)。
HIRO
映画っていろいろ話が膨らみますよね。同年代だと特に思い出を共有できるところが楽しいです。
リスナーのみなさんも、いろいろ盛り上がるでしょうし、“次はあの曲を!”っていう声も届くかも?
HAYATO
そうだと嬉しいです。クラシックの時も最初は、“怒られるんじゃないか?”みたいなのがあったんですけど、好評だったのでシリーズ化しましたから。まだどうなるのかは分からないんですけど、映画音楽もまたやれたら面白くなるのかもしれないですね。
- 『Cinema Popcorn』
- XQIJ-1012
- 2016.08.03
- 2100円
ピアノジャック:ピアノ担当のHAYATOとカホン担当のHIROによるインストゥルメンタルユニット。グループ名はふたりがそれぞれ担当する楽器、ピアノとカホンを組み合わせたもの。2005年に結成し、08年9月に1stアルバム『First Contact』をリリース。ピアノと打楽器というシンプルな構成ながら、ジャズとクラシックを融合させた音楽性、重厚な力強さと跳ねるような繊細さを併せ持った楽曲で注目を集めている。→Pia-no-jaC← オフィシャルHP