L→R 前田恭介(Ba)、内澤崇仁(Vo&Gu)、佐藤拓也(Gu&Key)、伊藤彬彦(Dr)

L→R 前田恭介(Ba)、内澤崇仁(Vo&Gu)、佐藤拓也(Gu&Key)、伊藤彬彦(Dr)

【androp】開かれた扉の向こうに広が
る新世界 “闇”を描くことで見えて
くるものとは?

ライヴでどうなるのか? そこが楽しみ
でもある

先ほど佐藤さんが少しお話をされましたが、「Digi Piece」とか「Irony」とかに代表されるように、闇を感じさせる部分がさまざまな曲で描かれているのも、今回のアルバムの印象的なポイントですね。

内澤
曲を聴いて背中を押されたり、幸せになれたりするものをかたちにしていきたいという想いが、今まではずっと強かったんです。僕はもともとは暗い人間なんですけど(笑)、だからこそ見える光を描こうとしてきたんですよね。でも、それとはまた別の作り方をしてみたくなったんです。今回、あまり肉付けをしないダイレクトなものが出ていますね。闇の角度から見える前向きさというのもあると思うんですよ。

例えば「Kienai」の歌詞もそうですね。絶望の中で救いを激しく求める気持ちが描かれていますけど、“もがく”というのは角度を変えてとらえるならば、“生きたい”っていうポジティブな気持ちの表れでもありますから。

内澤
はい。すがったり願ったりしつつも救われないと思っているというのは、何かをやりたいという気持ちや、前に進みたいという気持ちが心の奥底にあるということだと僕も思います。そういうことを描きたいと思って、今回のいろんな歌詞を書いていきました。

サウンド面に関しては、「Digi Piece」や「Kaonashi」のような人力によるダンスミュージック的なものが刺激的でした。

内澤
「Digi Piece」はデモが結構前からあったんですけど、それをみんなでかたちにしていきました。今までのandropの4つ打ちの曲はダイナミックな感じのものが多かったんですけど、この曲はサビであまり派手にはならないものにしたくて。4つ打ちですけど縦ノリではなくて身体が横に揺れて、心が躍るような感じですね。

「Kaonashi」も独特なテイストだと思いました。不穏なムードが高まっていくのを感じるサウンドですね。

内澤
この曲は理論的には音がぶつかっているディスコードをあえて満載にしているんです。
佐藤
コードとして成り立っていない音を弾いている曲ですからね(笑)。サビの頭のギターとか、ヘッドフォンで聴くとすごく不思議な感じだと思いますよ。
内澤
音の部分でも、闇とか人間の奥底に眠っている暗いものを表現したくて作った曲です。
伊藤
もともとのデモで内澤くんが作ってきたドラムのアレンジがポストロックやブレイクビーツ的なものだったので、それを活かしたものになっています。あと、今回、岡野さんと作業をしていく中で吸収したことでもあるんですけど、きっちり叩くということよりもノリの良さ、初期衝動みたいなものを大事にするようになりました。「Kaonashi」はまさにそういう要素が入っていると思います。
内澤
ほんとそうだね。「Sunny day」のドラムも最初のテイクを採用したでしょ?
伊藤
そう。鮮度が大事というのもあるだろうし。
佐藤
今回、そう言えば、テイクワンが多いな。
内澤
考えすぎるよりも、最初のテイクのパッション的なもののほうがいいというのもありますからね。そういうものがいいと感じられるようになったんだと思います。
伊藤
ライヴでお客さんが聴くものって、常にテイクワンなわけじゃないですか。そういう点でも、最初のテイクをレコーディングで残せたのであれば嬉しいことです。
内澤
ライヴと音源制作が、意識の面でも段々つながりつつあるということなのかも。こういうアルバムの曲がライヴでどうなるのか? そこが楽しみでもあります。お客さんの反応は予想できないところがあるんですけど、自分たちがいいと思っているものを届けてみようと思っています。

こうやってお話をしてみると、いろいろ新しい扉を開けたアルバムであることが改めてよく分かりますね。

内澤
今までやってきたandropがあったからこそ、いろいろなことができたんだと思います。自分たちのやるべきことは達成することができたので、あとは“みなさんにどのように受け止められるのかな?”と恐怖心も抱きつつ(笑)。今回、ポップソングっていうのとは違うんだろうね?
佐藤
今までの曲は一体感とともに高揚感を噛み締められるものが多かったかもしれないけど、今回の曲はまたちょっと違った感じだから。あと、音楽やサウンドありきで作ったアルバムでもあるんですよね。ここからもっともっとandropが広がっていくと思います。

そう言えば…今回のアートワーク関連も、いろいろ気になるものになっていますけど。

内澤
バンドの最新の写真はブループリント、つまり青写真の手法を使っています。
佐藤
今回のアルバムのタイトルは“blue”ですけど、ブループリントは青写真、設計図という意味です。
内澤
あと、“blue”は“ブルーになる”というような気持ちを表す意味もあるんですよね。そういうのも作品全体のキーワードになっています。アルバムジャケットも実際に手に取っていただくと、いろんな想像が膨らむものになっているので、そういう部分も楽しんでいただけると嬉しいです。
『blue』2016年10月12日発売SDR
    • 【通常盤】
    • ZXRC-2005 2000円
    • 【androp 会員サイト限定盤】
    • ZXRC-2006 4500円
    • ※収録楽曲のデモ音源3曲の中からランダムで1曲聴くことができるシリアルナンバー封入特殊パッケージ仕様
androp プロフィール

アンドロップ:2009年12月に1st アルバム『anew』でデビュー。ジャンルレスかつ緻密なサウンドアプローチとその傑出した音楽性でシーンに頭角を現す。数々の映画やドラマ主題歌、CMソングを手がけ、MVもカンヌ国際広告祭(フランス)、One Show(アメリカ)、Webby Awards(アメリカ)ほか国内外11のアワードで受賞するなど、その映像世界やアートワークでも世界的な評価を得ている。2021年12月に6thアルバム『effector』をリリース。androp オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着