L→R 木暮栄一(Dr)、原 昌和(Ba)、川崎亘一(Gu)、荒井岳史(Vo&Gu)

L→R 木暮栄一(Dr)、原 昌和(Ba)、川崎亘一(Gu)、荒井岳史(Vo&Gu)

【the band apart(naked)】アコー
スティックスタイルのバンアパが詰ま
った新作

ここ数年、アコースティックスタイルでのライヴ出演が増えていたthe band apartが、満を持してアコースティック・フルアルバム『1』を完成させた。バンアパの代表曲やライヴの人気曲などが新たなアレンジとアプローチで聴ける、魅力に満ちた本作について木暮栄一(Dr)に語ってもらった。
取材:土屋恵介

the band apart(naked)として、アコースティックアルバム『1』をリリースしましたが、こうした作品を出すことのきっかけを聞かせてください。

荒井と俺でアコースティックライヴはよくやってたんですけど、確か福岡で自分たちのライヴをやったあとのアフターパーティで、バンドでのアコースティックライヴをやったんです。そしたら楽しくて。それからそういうスタイルのライヴも増えてきて、“じゃあ、音源も出してみようか”ってことになったんです。

『1』の選曲はどのように決めたのですか?

ライヴでは定番曲が多かったので、アルバム曲みたいなものとかバランスを考えてやろうと思いました。もともとライヴでやってた曲が曲名のあとに“(Acoustic)”って書いてあるもので、新しくアレンジした曲が“2”って書いてあるやつですね。新たにアレンジしたのは、全曲ただ楽器を持ち変えただけじゃあまり面白味がないのでやることにしたんです。カホンで録った曲もあるけど、基本ドラムセットを普通に使ってやりました。

レコーディングで気を付けたポイントは?

アコースティックってテーマがあったけど、あまりクリアーな音質にはしたくなかったんです。90年代のグランド・ロイヤルから出てそうな、ちょっとジャンクなんだけど自分たちが好きな音で録ろうと思って。とにかく洗練されすぎないようにしようってことは考えてましたね。アコースティックだけど整えず、録音自体はほんとラフでした。録り直しもしてないし、音を決めて何テイクかやってって感じ。アコギの倍音の処理もしてないし、ドラムセットもマイク2~3本しか立ててなくて。そういう録音が生む、“隣の兄ちゃん感”が出ればいいなって(笑)。

気さくに親しみやすい音にこだわったと(笑)。自分たちの楽曲をアコースティックでやることで、改めて曲の中に新しい発見ってありましたか?

「Eric.W」なんかは何千回とプレイしてるけど、初期に作ったわりには、こじゃれたことやってたなって改めて思ったりしましたね。長年付き合ってきた彼女の、ふと見てしまった一面みたいな感じがありました(笑)。

(笑)。では、曲に触れながら話を進めます。「higher 2」はビートがシャッフルになってますね。

これは荒井が最初の自分の歌とギターだけの部分を持ってきて、みんなでセッションして作っていったんです。で、2コーラス目からビートが入る感じになりました。この曲が一番セッションで作った感じがある。あとは、それぞれメンバーの意見を聞きながら仕上げていきました。

「light in the city 2」もグルーブ感が出た感じですね。

原曲が忙しい曲だから、だいぶ変わりましたね。あと、この曲は昔の曲のフレーズをいっぱい使ってみようというのが自分の中であったんです。この曲は夏がテーマの歌詞なので、「August Green」「8月」とか、自分たちの曲の中で夏がテーマになってる曲から引っ張って作っていきました。

おぉ、それは面白いアプローチですね。

そうですね。昔からのファンがいるとしたら喜んでくれるのかなって。

「クレメンタイン 2」がジャジーな雰囲気で、ドラムはワイヤーブラシを使ってますね。

うん、ブラシを使って録りました。まぁ、“なんとなくブラシ”ですけどね。YouTubeでバンドの初歩っていうのを観て、こうやるのか!って(笑)。曲のアレンジのイメージとしては、原が“墓場感でいこう。アニメの『墓場鬼太郎』っぽくしよう”って言ってました(笑)。

(笑)。「the same old song 2」はブラジリアンフュージョンな雰囲気になってますが。

これは荒井がソロ活動を始めたくらいの時に、ライヴでやるレパートリーとして作ってたのを引っ張り出してきた感じです。もともとのカオティックな雰囲気とはかなり違いますね。ものすごくすっきりしました。こっちのほうが原曲なんじゃないかってくらいに(笑)。

確かに(笑)。そう言えば、今まで昔の曲を録り直すって作業ってやってないですよね。

ないです。俺の印象ですけど、再録とかリマスターとか世にいっぱい出てるけど、それで良くなったなって思ったことが、ほとんどないから。こういうちょっと違ったかたちじゃなければ、録り直しってやらなかったと思います。

つまり、こういうかたちだからやれたってことですね。

そうですね。いい機会でした。

今回、アコースティックで1枚制作して、どんなところが面白かったですか?

実際にアレンジしていく中でも、エレクトリックでやる時は、限定した4人のプレイヤーで新しい刺激的なものを作ろうって感じなんです。そのマインドは変わらないんですけど、the band apart(naked)って名義なら、例えばパーカッションや、弦とか菅とか入れてもいいのかなって。それくらいの自由度が気持ち的にはありましたね。

いい意味で遊べる場ができたと。

そうですね。長くやってきてるからバンドってものに対して、自分の中でエレクトリックでやる時のthe band apartはこうだってイメージがあるんでしょうね。そこから解き放たれるから、気軽で面白いのかもしれないです。

それは、結構手応えがあったってことですね。

はい、面白かったです。ここからのいいフィードバックが、今後の活動に出ると思います。あと、“1”ってタイトル付けちゃったんで、『2』『3』と続けていきたいですね。
『1』
    • 『1』
    • asg-034
    • 2016.10.12
    • 2600円
the band apart プロフィール

ザ・バンド・アパート:1998年結成。04年に自らが運営する“asian gothic label”での独立を果たす。ツアーでは両国国技館や幕張メッセでのライヴを成功させ、毎年数々の野外フェスで多くのアーティストとの共演を重ねながら自らのサウンドを確立してきた。さらに、レーベル所属のMock Orangeとのアメリカツアーや、台湾、フランスでのライヴを行なうなど、ワールドワイドな活動も展開している。結成20周年を記念し、18年には初のトリビュートアルバム『tribute to the band apart』と再録ベストアルバム『20 years』を同時リリースした。the band apart オフィシャルHP

OKMusic編集部

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