【水樹奈々】新しい遺伝子を生み出す
新第三紀!

今回のツアーは衣装、舞台、演出など、
随所に日本を感じられるものになる

1曲目の「めぐり逢うすべてに」は壮大なバラードで、シンプルだけど歌い方も含めて音のひとつひとつが力強いという。

シンプルな構成のロックバラードを歌いたかったんです。全部に握り拳が見える…ではないですけど、言葉ひとつひとつに対して、一個一個大事なものを置いていく感覚で歌っています。シンプルな分、心が丸裸にされるようで、嘘が付けない感覚でした。今の自分の全てを見てもらうような気持ちです。

これが1曲目というのは、ファンは驚くのでは?

きっとそうかもしれないですね。3枚目のアルバム『DREAM SKIPPER』も「宝物」というバラードで始まりますが、その時はピアノを中心にしたサウンドで、やさしくて笑顔が見えるような曲でした。今回は骨太で男前な水樹奈々が荒野に両足で踏ん張って歌っているイメージです。自分が歩んで来た全てをみんなに感じてほしい、今回は裸の心がテーマなんです!と訴えているような、アルバムを通しての序章となるような曲になったと思います。

和テイストのロック「はつ恋」も印象的でした。

曲を聴いた瞬間、『源氏物語』が浮かびました。今回のツアーは“NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017”と銘打って、日本をテーマにすることが決まった時に届いたデモだったので、ぜひアルバムに入れたいと思いました。

“はつ恋”にしては、すごく情熱的ですね。

光源氏は恋多き人として描かれていますが、最後まで求めていたのは藤壺の宮という義母ただひとりです。ふたりが出会ったのは10代で、当時の女性は政略結婚など政治のコマとして使われ、自由恋愛が許されなかった。そんな中で藤壺の宮は本当の恋を知り、源氏に迷惑をかけまいと身を引いていきます。初恋を最後まで貫くピュアさを持った、決して結ばれることのなかったふたりを描けたらなと思いました。それを“女性の視点=藤壺の宮の気持ち”に重きを置きながら、光源氏の気持ちも交えて表現しています。

さらに、水樹さんの作詞曲「JEWEL」は地元愛を歌った温かい楽曲ですね。

R&B調のバラードですが、瀬戸内海の穏やかな気候を感じさせる曲で、凛とした雰囲気と温かさが共存しています。地元の風景を思い浮かべながら、想いを込めて作詞しました。デジタルが入ったクールさとストリングスによる温かさのバランスが、歌っていてとても心地良い曲です。

水樹さん作詞作曲の「君よ叫べ」も。

これはすごく激しい子です(笑)。三嶋プロデューサーから「NEXT ARCADIA」や「VIRGIN CODE」のように明るく激しく飛べる曲を作ってほしいとオーダーがあって、何度も作り直して、作曲に1カ月近くかかりました。歌詞はとびきり前向きで強気です(笑)。“俺、主役!”という気持ちになれる、テーマソング的なものを目指しました。壁にぶつかっても、嫌なことがあっても、“やってやるぞ!”と、みんなの気持ちがたぎるような曲にしたい!と思って。アレンジにもかなり時間をかけて、めちゃくちゃカッコ良く壮大なものになりました。

そして、ラストには前半に名前も出たヨシダタクミさんの作詞作曲の「絶対的幸福論」。この曲はとても温かくて、ほろりとさせるものがありました。

私も聴いた瞬間ほろりとなって、絶対に歌いたいと思いました。それ以来、この曲が忘れられなくなってしまったんです(笑)。プロポーズの歌なのですが、私と一緒に年齢を重ねたファンの方から最近“結婚しました”と報告をいただくことが多くて。“結婚式で奈々ちゃんの曲をかけました”というメッセージもたくさんいただいたり。そのせいもあってか、この曲には強く惹かれました。今までの私のバラードと言うと、切ない失恋ソングが多いのですが…私自身もそろそろ幸せになってもいいかもしれないと、曲に言ってもらっているのかな?という気持ちにもなりました(笑)。

歌詞が男性目線だけど、内容はちょっと女性的な感じですよね。

男性目線ですが、それを受け止める女性の気持ちも合わせて歌うことで、より奥行きが出るのではと思いました。この曲ではMVも撮っていて、イメージシーンなどを入れずに、フィルムで1カット撮影を行ないました。当初は木更津の海でロケをする予定だったのですが、予定時間が豪雨で急遽、万が一で押さえていたスタジオで撮影したのですが、結果的にとても良いものになりました。しかし、諦めることを知らないチーム水樹(笑)。雨が上がったタイミングで当初の予定だった海に戻り、こちらでも撮影。初回盤の特典映像としては、スタジオで撮影したものになりましたが、どこかで海バージョンもお観せできれば…。

ジャケットもモノクロで、いつもと雰囲気が違いますね。

“NEOGENE”ということで、新しい試みをしたいと思って白黒で撮影しました。ドキュメントタッチで、水樹奈々の1日を追う!がテーマです。今回の楽曲は素の表情をとらえたものが多かったので、カメラを意識しないかたちで撮影しました。目線があるものは、ふと視線を感じて振り向いた瞬間を切り取ったイメージです。

そして、2017年にはツアー『NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017』を開催しますね。

ずっとやりたかったテーマだったんです。お正月明けスタートなので、今だ!と思いました。タイトルの通り、衣装、舞台、演出など随所に日本を感じるものを取り入れています。ひと言で日本と言ってもいろいろなとらえ方があり、海外から見た日本もあれば、内側から見た日本もあるので…ただ今さまざまな仕掛けを考え中です。

この時期のツアーは7年振りですが。

2010年の『LIVE ACADEMY』はバレンタインにスタートしたのですが、冬ツアーはそれ以来7年振りです。冬ということで、夏のツアーとはガラリと雰囲気の違う選曲になると思います。ツアーだからこそのお楽しみも作っていきたいですね。

今回のアルバムがメインになることを考えると、これまでとはガラリと違うものになりそうですね。

定番曲はありつつも、アプローチが変わると思います。今回の新曲たちが、ステージにもいい影響を与えてくれそうです。
『NEOGENE CREATION』2016年12月21日発売KING RECORDS
    • 【初回限定盤(Blu-ray付)】
    • KICS-93456 3888円
    • ※特製BOX+オニキスデジパック仕様+スペシャルフォトブック
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • KICS-93457 3888円
    • ※特製BOX+オニキスデジパック仕様+スペシャルフォトブック
    • 【通常盤】
    • KICS-3456 3024円
水樹奈々 プロフィール

ミズキナナ:声優、歌手として高い人気を誇る。声優としてのデビュー作は1997年のプレイステーション用ゲーム『NOёL〜La neige〜』門倉千紗都役。歌手としては2000年12月にシングル「想い」でデビュー。09年6月に発売された7枚目のオリジナルアルバム『ULTIMATE DIAMOND』で声優として初のオリコンチャート1位を獲得し、11年12月と16年4月には東京ドーム2デイズライヴも大成功に収めた。水樹奈々 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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