L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、加藤慎一(Ba)

L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、加藤慎一(Ba)

【フジファブリック】ポップとエキセ
ントリックが入り混じる、フジファブ
リックの新しいスタンダード

前作『LIFE』から2年3カ月振りとなるファン待望のフルアルバム『STAND!!』が完成した。約50曲から厳選したという全10曲を収録したアルバムの聴きどころをメンバー3人が語る!
取材:山口智男

アルバムの完成を心待ちにしていました。感情の振り幅を表現しながら胸が躍るような作品になりましたね。

金澤
間にミニアルバムを2枚挟んでいるから、そんなに久しぶりという気持ちはないんですけど、真正面から自分たちが今やりたいことができたので嬉しいです。
山内
自分たちの現在の姿が全て出ているんじゃないかな。
加藤
それってやっぱりライヴが大きい。5月、6月と全国を回った時、自分たちのライヴが一段上がったという手応えがあって、それに感化されたところもあると思います。

では、ライヴで楽しめるものを作ろうと?

山内
それが発想の原点になっている曲が結構ありますね。「FREEDOM」とか「炎の舞」とか。
金澤
「SUPER!!」もそうだし。だから、全体的にライヴっぽいんだよね。

前回のインタビューで“フジファブリックのスタンダードを作っていきたい”とおっしゃっていたので、エキセントリックな曲は減って、名曲然とした「Green Bird」や90年代のJ-POPの王道を思わせる「Girl! Girl! Girl!」のような曲が主流になるのかと思いきや、アルバムを聴いたらエキセントリックな魅力も満載で(笑)。

山内
毎回、自分たちが今までやっていないサウンドを作りたいから、こういう曲をやったらどうなるのかな?って、振り幅を大きく、いろいろな曲にチャレンジしてみたいんです。それが「Green Bird」だったり、「Girl! Girl! Girl!」だったりしたんです。もちろん、それも僕らなんですけど、フジファブリックのスタンダードになる曲は「SUPER!!」かもしれないし、「have a good time」かもしれないし、「プレリュード」かもしれない。

その3曲がまた、それぞれに全然違う曲で(笑)。

山内
やっぱり3人がそれぞれに作っているから、それをひとつの鍋で煮込んだ、ごった煮みたいなアルバムですよね。

アニメのタイアップをきっかけに新たにファンになった人からしたら、今回のアルバムはメンバーそれぞれの個性というか、キャラクターが分かるものになっているところがいいですよね。ステージで物静かな加藤さんが「have a good time」のような、こんなサイケな曲を作るんだってちょっとびっくりするんじゃないかな。

山内
実は、そういう人ですからね(笑)。
金澤
無理は全然していない。

逆に、金澤さんが作る曲はアレンジや音色はともかく、メロディーそのものはとてもストレートで。

金澤
だから、キャラ武装しているんです(笑)。
加藤
メロはすごくきれいだよね。
山内
この3人になってからアルバムとしては4枚目ですからね。初めて3人で作った『STAR』(2011年9月リリース)の頃よりもそれぞれの個性は出てきている感覚はあります。

「have a good time」は歌っている内容はすごくやるせないのに、歌詞が絶妙に韻を踏んでいるからリズミカルというところが面白い。

山内
加藤さんの癖だね。
加藤
特に狙ったわけではないんですよ。
山内
パッと出てきたんでしょ?
金澤
すごいよね。

金澤さんの作詞作曲による「the light」はアルバムのラストナンバーに相応しい壮大な曲ですね。

金澤
みんなでやっているうちに大きく変わりましたけどね(笑)。もともとはピアノと歌だけだったんですけど、山内くんが“変えたい”って言って、シンセサウンドになりました。
山内
スタジオで、ちゃぶ台をひっくり返しました(笑)。そういうアレンジは好きだけど過去にやっているから違うアレンジでやりたかったんですよ。
金澤
でも、それが良かったと思いますよ。こうしよう、ああしようと言っている中で、ドラムのBOBOさんも、じゃあ、こうだ、ああだってサポート以上の関わり方をしてくれて、バンドじゃないと作れないものになりましたからね。それがこの曲の一番いいところだと思います。

山内さんが作った「COLORS」は切ないバラードなのに、何でこんな変わったコード進行を使うんだろうって(笑)。

山内
やっぱり好きなんですよ。聴きながら首をちょっと傾げたくなるようなコードの使い方が(笑)。

でも、そこがツボにはまるんですよね。

山内
うわ、嬉しい。そこを指摘してもらえて。
金澤
でも、俺は全然気持ち悪いとは思ってないですよ。
加藤
うん、意外とすんなり。
山内
確かにね。これどう?って訊いた時も全然ツッコまれないから寂しかった(笑)。
金澤
今までもいろいろな曲でそういうところがあったから。だから、持って生まれたものなんじゃないのかな。

スタンダードを目指した今回のアルバムからフジファブリックは、どんなところに向かっていきそうですか?

山内
それぞれの色がどんどん濃くなってきているから、この次、1枚にまとまるかちょっと心配です(笑)。もちろん面白い方向に転がっていくのは間違いないんですけど、それがちゃんとフジファブリックらしいものになっていないといけない。慢心せずにいきたいと思います。
金澤
うん、常に謙虚にね。
加藤
まずはアルバムを引っ提げたツアーがあるので、ライヴで新曲がどうなるのか観てほしいですね。
山内
今回はアルバムも派手なのでライヴも派手にやりたい。やっぱりタイトルが“STAND!!”ですからね。
『STAND!!』2016年12月14日発売Sony Music Associated Records
    • 【初回生産限定盤A(DVD付)】
    • AICL-3238〜9 3500円
    • 【初回生産限定盤B(DVD付)】
    • AICL-3240〜1 3500円
    • 【通常盤】
    • AICL-3242 3000円
フジファブリック プロフィール

フジファブリック:2000年、志村正彦を中心に結成。09年に志村が急逝し、11年夏より山内総一郎(Vo&Gu)、金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(Ba)のメンバー3人体制にて新たに始動。奇想天外な曲から心を打つ曲まで幅広い音楽性が魅力の個性派ロックバンド。「銀河」、「茜色の夕日」、「若者のすべて」などの代表曲を送り出し、『モテキ』TVドラマ版主題歌、映画版オープニングテーマとして連続起用された。数多くのアニメ主題歌も担当。18年には映画『ここは退屈迎えに来て』主題歌、そして劇伴を担当。19年にデビュー15周年を迎えアルバム2作を発表。同年10月に大阪城ホール単独公演を大成功させた。21年3月に11thアルバム『I Love You』を発表。23年には4本のツアーを開催した。24年4月にデビュー20周年を迎えるが、目前となる2月に12thアルバム『PORTRAIT』をリリースする。フジファブリック オフィシャルHP

OKMusic編集部

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