L→R 笈川 司(Gu)、ヤマダヨウイチ(Dr)、すずきゆきこ(Vo&Gu)、旭 司(Ba)

L→R 笈川 司(Gu)、ヤマダヨウイチ(Dr)、すずきゆきこ(Vo&Gu)、旭 司(Ba)

【BUGY CRAXONE】結成20周年に歌い上
げる“もういっちょかましてやろうぜ
!”

精いっぱい生きることを歌った代表曲の数々を収録した結成20周年記念のベストアルバム。バンドの軌跡を思えば、そのタイトルが“ミラクル”であることも頷ける。すずきゆきこ(Vo&Gu)に結成20周年とBUGY CRAXONEのこれからについて訊いた。
取材:山口智男

すずきさんは結成15周年の時、それほど思うことがなかったようですが、20周年を迎えるにあたってはいかがですか?

15周年の時は、まだ30代前半だったんですよ。だから、なんとなくまだいきがっていたんですよね。でも、40歳を目前にして、自分の人生とか暮らしとかにしっかり向き合うようになって、そこにバンドの20周年が重なったので、バンドも自分も流れものだと思っているから、あまり句読点を打って考えるタイプではないんですけど、20周年に関しては自分が思う以上にすごいことだし、ありがたいことだと思うから、思う存分に20周年を味わってもいいんじゃないかって。それに、これを機にさらにステップアップしたいという気持ちもあるので、いい意味で20周年を活かせたらと思ってます。

今回のベストアルバムには、Northern Blossom Recordsに移籍してからの10年から選曲した13曲に新曲を加えた全16曲が収録されていますが、13曲の中で特に思い入れのある曲を挙げると?

「いいかげんなBlue」を書けた時は、やった!と思いましたね。アルバムを作っていた時に、もう1曲足りないと思って、頼むからもう1曲!って執念で書いたんですよ(笑)。でも、“明日の練習でやろうね”って言ったその日に私、胃腸炎になってしまって。結局、私抜きでメンバーがアレンジをしてくれたんですけど、曲のいいところをみんなが汲み取ってくれたところにズレがなかったのが嬉しかったんです。

現在進行形のバンドだから入れたかったという新曲についても聞かせてください。「ブルーでイージー、そんでつよいよ」はライヴでみんなで歌える新たなBUGY CRAXONEのテーマソングと言える曲になりましたね。

20周年をどういうふうに迎えたいか考えた時、“20周年良かったね”よりも、“もういっちょかましてやろうぜ!”という気持ちが自分の中では大きかったんです。その気持ちをナイスちゃん(=お客さん)たちと共有できる曲を書きたかったんです。それと、バンド名のブージー(BUGY)というのは、自分の心を表したブルーとイージーを足した造語なんですけど、このタイミングで曲にできて良かったです。

そういう気持ちが強面の曲にならずにモータウンビートを使った明るいポップな曲になったところが今のBUGY CRAXONEなんですね。「ぶるぶるぶるー」は変な言い方かもしれませんが、バンドの音楽を普段そんなに聴かない人が聴いても、いいと思える曲だと思います。

良かった。これまでずっとバンド中心に生きてきて、見渡す限り、私の周りにいるのはバンドマンなんですよ。だけど、昔の同級生とか普通にお務めしている友達とかとゆっくり話してみると、みんないろいろ考えていることがあって、私も初めて将来について考えたんです。バンドをやることだけを考えて、流れ流れて生きてきて、初めて将来のことを考えた時、猛烈に怖くなって…どうやって最期を迎えるんだろうって思ったんですよ。この不安をみんなも抱えてるのかって思ったら、すごい大変だねって。でも、明るく考えなきゃ生きていけないとも思ったんです。すごく子供染みた結論なんですけど、自分自身の不安だけではなく、世の中のいろいろな世代の人が持ついろいろな不安に私が共感して書けた曲だから、バンドの音楽を聴かない人にも届くんじゃないかっておっしゃってもらったのは嬉しいし、この曲を書いた意味があったと思います。

そして、ギターの笈川 司さんが作曲した「いいじゃん」は自分たちで歌うバンド賛歌と言える曲ですが、ニルヴァーナかソニックスかっていうリフに思わずニヤリとなりました。

そうなんだ。私、てっきりUKっぽいのかと思ってた(笑)。笈川くんってブラーのグレアム・コクソン(Gu)が大好きで、この曲はその影響がすごく出ていていいなって思うんですよね。笈川くんはもともとクラッシュが大好きで、ザ・モッズが大好きでっていうルーツをしっかり持っているんですけど、最近、いろいろな曲を書きながら、この20周年のタイミングで自分が影響を受けたルーツに立ち返っているところがいいなと思って、今回「いいじゃん」を入れることにしたんです。

そんな新曲3曲が大らかな曲になったところが今のBUGY CRAXONEを象徴しているのでしょうか? 以前は人間に対しても物事に対しても、とことん向かい合ったり、ぶつかり合ったりしながら追求しているようなところがありましたよね?

この国で生きる大変さを考えると、今はとにかく前に進む、できるだけ明るいほうに進むことのほうが大事だと思うから、追求することはそれほど大事じゃない。逆に逃がしたり、いなしたりするほうが得策だと考えるようになったところはありますね。それに、そういうことが得意な世代、年齢があるから、それは得意な人がやったほうがいいと思うし。

さて、2017年は11月19日に渋谷CLUB QUATTROで開催する20周年記念ワンマンライヴを成功させることが目標のひとつとしてあるわけですが。

絶対うまくいくに決まっているから、よりいいものにできるように普通に頑張るというか、普通に努力しようと思います。そしたら、いい曲はいっぱいあるから堂々とみんなの前に立てると思うし、11月のワンマンが大事というのはもちろんあるんですけど、それまでにライヴもいっぱいするから、いつも応援してくれるナイスちゃんたちの力を借りて、一個一個のライヴからしっかり力をもらって、2017年を豊かにしていけたらいいなと思ってます。新作も出したいから、それぞれそれに向けて曲も作り始めているんですよ。我々はみんなが寝ている間に活動している、どんな生活をしているか分からない不思議な生き物ではなくて、本当にみんなと同じように電車に乗って、同じように行列に並んで、同じようによく分からない天気にやられながら暮らしているから、そこで“やったね!”って言えるような音楽を作れたら、みんなにも届くってことだから、それをやる。それが私の今、やりたいことだと思っています。
『ミラクル』2017年01月18日発売Imperial Records
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TECI-1532 3500円
    • 【通常盤】
    • TECI-1533 2500円
BUGY CRAXONE プロフィール

ブージー クラクション:1997年5月に札幌にて結成。99年3月にビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー。2003年4月にレーベルとマネージメントを兼ねた『ZubRockA RECORDS』を設立。以降、多彩なアイテムのリリース&ツアーをコンスタントに重ね、07年に増子直純(怒髪天)主宰のレーベル『Northern Blossom Records』での活動を開始。17年、『Imperial Records』に移籍。同年1月に結成20周年記念ベストアルバム『ミラクル』をリリース。BUGY CRAXONE オフィシャルHP

OKMusic編集部

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