【佐藤広大】親友たちが導いてくれた
アーティストへの道
人の心に寄り添うメッセージソングを歌い続けるシンガーソングライター佐藤広大。彼のメジャーデビューシングル「スノーグローブ」には、生まれ故郷である北海道の街を想像させる心温まるバラードナンバーと、親友であるEXILE SHOKICHIとの楽曲が収録されている。
取材:桂泉晴名
佐藤さんの音楽のルーツはやはりR&Bなのでしょうか?
R&Bというよりも音楽全般が好きでした。テクノやハウス、エレクトロ、さらに民族音楽まで本当にいろいろな音楽を聴いていましたね。とにかく音楽を掘るのがカッコ良いと思っていたので。友達の中で“あいつに音楽のことを訊けばいいんじゃない?”くらいの立ち位置になっていくのがすごく嬉しかったんです。だから、知識も蓄えた分、いつかラジオDJとかやりたいという想いがずっとありましたね。
地元の北海道ではDJとして番組を持っていますよね。
今はふたつの番組を担当していますが、声の質だったりトーンやボリュームを変えたりしています。ソウルやR&B中心の番組は自分のマニアックなことを中心にやっているんですけど、高校生に向けた番組のほうは佐藤広大ではなく、部活の部長という設定で喋っていますね。
では、デビューシングル「スノーグローブ」で大事にしたことは?
この曲は大学生の頃の仲間と別々の道になった時の気持ちを書きました。誰しも一度は経験する心情だと思うんですよ。大人の方にはその頃の気持ちを思い出してほしいし、それを僕のラジオ番組を聴いているようなリアルタイムの子供たちにも伝えたい。僕は普遍性を大切にしたいので、発売されてすぐ聴いてもらうのも嬉しいんですけれど、自分の中では「スノーグローブ」を買った人が大人になって子供ができて、その息子や娘がCDを引っ張り出して聴いて感動してもらえたら…というところまで頭の中で描いてこの曲を作りました。
歌は非常に温かみを感じました。
ヴォーカル録りもヴィンテージのアンプを差し込んだりしていて、普遍的な部分を出すために、あえてそういった仕掛けをしているんですよ。また、あまりスタイリッシュになりすぎないように、とりあえず大きい声で歌ったり。普段の歌唱とはまったく違う歌唱をしたのも、この曲の魅力かなと思います。
今回の詞のポイントは?
歌詞はレコーディングをしながら最後の最後にできました。一番悩んだのは、最後のフレーズです。《2人の想いは あのスノーグローブの街へ》という、すごくシンプルな言葉なんですけど。もともとカップル視点だけで書こうと思っていたんですよ。でも、カップリングはSHOKICHIとやるとなったので、こっちの曲も彼と離れ離れになった時の気持ちを書いたほうがいいんじゃないかということで、できていたものを1回ゼロにして。前のニュアンスも残しつつ、あまり的を絞りすぎないような感じで書いていったから、最後をどう表現したらいいのかがすごく難しかったですね。
カップリングに収録されている「Diamond Dust feat.EXILE SHOKICHI」では、そんなEXILE SHOKICHIさんが作詞されていますが、おふたりはどうやって出会ったのでしょう?
僕には幼稚園からの親友がいたんですけど、高校2年の時に亡くなったんです。すごくショックで…。実は彼が亡くなる前に“音楽をやれ”“大学に行け”というふたつのこと言われたんです。これから彼の分までどう生きていこうかと考えた時に、まず彼から言われたことを目標としていく生き方にシフトしていって。それで大学に入ったら“歌をやっている奴がいるらしいよ”という噂を入学式の時に聞いて、たまたまSHOKICHIと席が隣になったんです。その日のうちに彼と地元のカラオケ屋さんに行って、彼の歌を聴いた時、ほぼ初めましての状態なのに、すぐ“こいつと音楽をやりたい!”と思ったんです。それからどんどん仲良くなり、いつの間にか一番近くにいる存在になりましたね。だから、僕は親友が親友をつないでくれたんだと思っているんです。
この曲はどのようにして作られたのですか?
SHOKICHIに歌詞を書いてほしいとお願いしたら、この曲がすぐ出来上がってきたんです。ずっと僕に“曲を書きたい”と言ってくれていたんですよね。だから、彼の中に溜め込んでいた僕への想いというものがあったのかもしれないんですけど(笑)。受け取った時、1番までしか見られないくらい感動しました。やっぱり昔ほど会えない時期もあったり、環境が違うから話が噛み合わなかったり、視点が合わないということもあって…。でも、僕が2013年にインディーズデビューしてからは彼の言っていたことも理解できるようになり、また距離が近くなってきたんです。
まさに歌詞にはおふたりの想いが詰まっていますね。
この歌詞は夢を叶えていく軌跡を歌っているんです。けれど、ライヴで歌っていく中で、僕に向けたメッセージソングでもあるけど、きっとSHOKICHI自身が経験してきた夢への想いも含まれているのかなと感じるようになったんです。だから、すごく勇気付けられますね。とくに《ゆるがない夢 空の下の運命》というのは嬉しいですね。それから《耐え忍ぶパワー 諦めないエナジー》。彼も僕も耐え忍んだと思いますし。やっぱり諦めないエナジーがあったから、この曲が生まれているので。
そういう意味でも、1曲目の「スノーグローブ」とリンクしていますよね。
ぜひセットで聴いてほしいです。「スノーグローブ」のストーリーには、実は10年間の空白っていうのがあるんです。「Diamond Dust feat.EXILE SHOKICHI」は、“その後、10年間経ったらこうなった”みたいな曲ですね(笑)。あと、この曲のヴォーカルのディレクションはSHOKICHIがほぼやってくれたんですけど、僕の一番の特徴である“温かみ”を引き出したかったと言っていました。彼も僕の今回の歌唱をすごく気に入っているみたいです。
本作品でメジャーデビューとなるのですが、佐藤さんのこれからの目標は?
当たり前のことってすごくありがたいことだけれど、忘れがちなだと思うんですよ。そういったものを音楽で届けたいです。また“佐藤広大の音楽を聴くと温かくなるし、生きていく上で大切なものを何か思い出させて、再確認させてくれるよね”と感じてもらえるキャラクターでいたいですね。メジャーデビューまで時間がかかったけど、逆にいろいろな景色を見てきたからこそ、届けられる説得力があると思うので。これからもぶれずにやっていきたいです。
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