【阿部真央】聴いている人が面白けれ
ばそれでいい

「背中」はすっごい大事な曲。“この子
を見守りたい”という想い

そして、このアルバムの特色として、真央さんの母親としての愛情が込められた曲が数曲収められているのですが、「母の唄」を歌っていた人が今は「母である為に」という曲を歌っていて…しみじみといろいろなことを感じましたよ。

嬉しい! この曲はスイッチが入った9月くらいに、自然に書いたんです。離婚した時、“責任感のない母親で子供がかわいそうだ”とか…どんな理由であっても世間は離婚自体を良しとしないから風当たりが強くて。で、それを言われた時に感じたのは、私が何かやることで子供はいろいろ言われるんだなって。何で僕のお母さんは普通のお母さんと違うんだろう?”って1回は思うんだろうなとか、子供の寝顔を見ながら思ったり。そこから冒頭の歌詞を書いたんです。“働いている母親は子供に寂しい想いをさせるのかな?”ということは結婚する前から思っていたことでもあったので、それを素直に言葉にしました。

アコースティックギターだけで奏でられているから、寄り添っている感じがすごくありますよ。

そうですね。もともとバラードにするつもりはなくて、もっとテンポのあるサウンドにする予定だったんです。でも、曲を聴いたワダケンさんが“バラードはどう?”って言ってくれて。ストレートなロックンロール、ゴスペル風、バラードの3つのアレンジを作ってくれたんですけど、バラードが一番良かった。アコースティックギター2本のバラードで、結果すごく良かったと思います。

いいプレゼントになりますね。

子供に? そう思ってくれるといいけど。願いますけどね、それを。

ラストに「背中」を収めたのも、とても象徴的ですね。

すっごい大事な曲なんです。「背中」はすごく好きな曲で、「母である為に」よりも先にできたんですよ、子供がまだ寝返りを打つ程度の時に。普通に考えれば私はこの子より先に死ぬわけだから、死んでも側にいたいな、ずっとこの子の側にいて成長とか人生を見守りたいなと思って。よく歌詞や詩に“風になって”“星になって”“木になって”という表現があるけど、確かにそういうふうに願うよねって思ったり。なので、“今の自分の命が終わっても、もう1回何らかのかたちで彼の側に生まれたい”っていう想いを込めて書きました。友達が赤ちゃんを見に来てくれた時に母が話していた…親にとっては今のその瞬間の子供が一番かわいいっていうような話をしていて、それにすごく頷けたので、《今日の貴方が一番好き》という言葉を入れて。この“今日”というのは明日になったら明日の“今日”ってことなんですよね。

この曲を聴いて感じたのは、これは“子守唄”なのかなって。子守唄って子供をあやしたり寝かしつけたりする時に歌いますけど、眠る子供に“また明日ね”って語りかけているような子守唄に感じられて。最後の《きっといつまでも》からは、そういう温かさややさしさが伝わってきました。

ありがとうございます。アルバムの最後としてはすごくいい終わり方ですよね。“また明日ね”っていう、未来が見えている感じに伝わっているのなら。すごくストレートな歌詞…サビの《愛してる》とかは特にそうなので、逆に緊張はしましたけど。歌でどこまで持っていけるか、っていう曲なので。

そして、ツアーもスタートするわけですが、やはり大分からですね。

そうなんです。いや、もう幸せですよ! 産休終わって帰ってきて、アルバムを出させてもらって、ツアーもできるって、すごい幸せなことだなって。だから、絶対に成功させたい。気負うとかではなくて、私自身もすごく楽しみにしているし、いろんなことを経て自分が成長していることも願っていますし。特に、今の阿部真央のバラードはどんな聴こえ方をするんだろう?と思っていて。んー…今回は泣いちゃうかもしれない、みんなの前に戻っただけで。それぐらいの気持ちです。待っていてくれて、本当にありがとう!って。
『Babe.』2017年02月15日発売PONY CANYON
阿部真央 プロフィール

アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。阿部真央 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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