【GACKT】世の中の評価を気にしてい
たら、GACKTなんてやってらんない

自分のやるべきことをやれってこと。だ
って逃げられないんだから

そもそも、ここでタイトルにも掲げられている“罪”というのは、いわゆる犯罪という意味ではありませんよね?

罪っていうのは…存在。もっと極端に言うと、人がこの世に存在することそのもの。今日も車の中で観てた映画の中に“本当にこの世の中から罪をなくしたいんだったら、お前、産婦人科になれよ。生まれてくる子供を全部殺せば人間なんていなくなるだろ。人間がいる限り、この世から罪なんてなくなるわけないんだよ”っていう台詞があってさ。“深いなぁ…”って。台詞としてはだいぶ際どいけど核心を射てる。人間、きれいなままではいられないから。

タイトルにある“ORIGINAL SIN”自体がキリスト教で言うところの“原罪”であり、人は生まれながらに罪を背負っているという概念ですが、GACKTさんご自身、その罪を感じることってありますか?

ボク、自分がボランティアだったり何かをやる時に、よく“罪滅ぼしだよ”って言うんだけど。幼少の頃に心がちょっと病んでいて、一時期おかしかった。“なんで自分たちがこの世に生を受けたんだろう?”とか“この世から人がいなくなればいいのに”っていうことを考えて…でも、それって逃れられない現実じゃない? だったら、否定的に考えるのではなく、自分たちにはやらなきゃいけないことがあるんだととらえたほうがいい。

人は罪深い存在であっても、この世に存在し続ける。そう考えると“生きる”ということは、全ての人間にとっての罪滅ぼしなのかもしれませんね。

そこを突き詰めて考えると非常に宗教的になってしまうんだけど、もっとシンプルに考えれば“自分のやるべきことをやれよ!”っていうこと。だって、“生きる”ことからは逃げられないんだから。

つまり、“罪を抱えて、生きるという現実から逃げるな”というのが、この曲の最たるメッセージですよね。裏を返すと、それだけ逃げようとする人間が多いということでもある。

やっぱり、傷付きたくない。しんどいし、攻撃されたくないし、嫌われたくないし、億劫だし、関わりたくない。でも、そんなこと言ってられない時代に突入したと思うんだよ。世界のバランスなんて、いつ崩れるか分かんない状況だし、そんな中で世界だとか、日本の経済だとか、日本人として自分がやるべきことだとか、そういうことを考えて生きてる日本人ってほとんどいない。みんなメディアの報道だとか、表面的なところだけで物事を見ているのが滑稽だなぁって正直思う。例えば、中東の人たちを入国禁止にしたトランプの政策に対して、みんな“可哀想”って言うよね。でも、なぜそこに至ったのか?っていう根本的な問題は見てないから、“何が可哀想なの?”っていう質問には誰も答えられない。そういうのが今の日本人の有り様を映し出しているというか、あまりにもこの国の人たちは外から内を見るということができなさすぎていて、世の中で何が起きているのか?ということについて他人事のように思ってる。要は考えてない、思考してないんだよ。じゃあ、思考しないで、与えられる情報に対する反応だけで生きてる人が、果たして“人”って呼べるのかなぁ?っていうこと。

“逃げてはいけない”というメッセージを受けて、“じゃあ、どうしたらGACKTさんのように現実と向き合って生きることができますか?”という質問をしようと思っていたのですが、今のお話から“思考すること”というのがひとつの答えとして見えた気がします。

だから、“良い”とか“悪い”とか、“正しい”とか“間違ってる”なんて、すごく局所的なものなんだよ。50年前に正しかったことが、今は間違ってると言われ、100年前に間違ってると言われてたものが、今は正しいとされる。要はトレンドと同じ。昔はカッコ良いと思ってたものが、今は超ダサい。昔、すごいダサいと思ってたものが、また今トレンドになってる…っていう感覚とほとんど変わらなくて。じゃあ、どうすればいいのか?って言うと、結論としては“お前は何が着たいの?”って話でしょ?

確かに!

ファッションは自分のアイデンティティーを表現する要素のひとつなわけで、そこで世の中の流行りに左右されてたら、それ、ほんとに自分なの?って話じゃん。つまり、自分って何なのか?って。“思考しろよ”ってこと。

…深いですね。そんなメッセージが込められている曲と知ると、単にエッジが利いてるだとか、過激だとかという、それこそ表面的な評価で終わらせてはいけない気がします。

いやぁ、分かんないよ。実際に、どれくらいの人たちに届くのか?なんて。でも、作品なんてそんなもんだろうし、自分たちの手を離れてどんなふうに受け取られるか? どう判断されるか?っていうのは、正直どうでもいいというか。そこを気にして書いているわけじゃない。

それこそトレンドではなく、あくまでも“GACKTは、何を歌いたいのか?”というところだけに集中しているということですよね。周りの声や評価には耳を傾けず。

うん。そこ気にしてたら、GACKTやってらんない。ある意味、鈍感になったというか…慣れちゃった。一部のメディアにあることないこと言われたり、人に傷付けられることに対して、きっと自分の中で割り切った瞬間があったんだよ。そんなくだらないことに振り回されてると、自分も同じレベルになってしまうから、ネタとして笑うくらいでいいんじゃないかって。それってボクだけじゃなく、政治家や他の芸能人も同じ。もっと言えば、一般の子たちだって掲示板とかであることないこと、さも全てが事実のように書かれて責められるわけじゃん。それで今、実際に傷付けられてたり、心がおかしくなりそうな子たちって、たぶん相当いると思うんだ。そんなことを気にしていたら生きていけない。でも、それも含めていろんな経験をしてきて、今、ここにいるボクだから、そう実感として言えるだけの話であって。

人生経験が乏しいうちは、なかなか難しい。

むしろ、周りからの見られ方をすごく気にして、こう思われたいからこういうブログを書くとか、フォロワーを増やすためにこんな自分を演出する人が多いじゃない。そういうのって、ただ時間に追われるだけで、自分がいなくなってしまう。無意味というか。大切なのは“ボクが何を思って生きていくか?”ということであって、周りがボクに対して何を言うか?っていうのは、ボクの関知するところではない。そんなこと、どうでもいいんだよ。
「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」2017年03月22日発売ARUTEMATE
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • XQMQ-91001 1944円
    • 【通常盤】
    • XQMQ-1010 1296円
GACKT プロフィール

ガクト:バンドでの活動を経て、1999年6月にシングル「Mizerable」でソロデビュー。緩急自在の抜群な歌唱力、ポップな中にもダークさが漂うデカダン趣味のサウンドで多くのリスナーから支持を得る。CDやDVDはアジアや北米でも発売され、世界中に熱狂的なファンを持つ。音楽活動のほか、映画、ドラマ、舞台、声優などでも幅広く活躍。自らを“表現者”と称し、ミュージシャンの枠にとらわれない多才ぶりを発揮している。GACKT オフィシャルHP
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