取材:大前多恵

■展示会レポート

『J 20th ANNIVERSARY SPECIAL EXHIBITION 「J MUSEUM W.U.M.F」』
2017年3月18日~4月2日@渋谷 ESP MUSEUM


3月18日(土)~4月2日(日)、Jのソロデビュー20周年を記念し、渋谷ESP MUSEUMにて歴代ベース約60本と70種以上のピックの展示が行なわれた。メインを務めた歴代ベースはもちろん、ステージ袖などで控えていたサブ各3~4本までも余すことなくコンプリート。芯のぶれない男・Jの生き様そのままに、基本は不動だが、微妙な色やスペックを変えて、その時々開発されてきた名器の数々が集結。“60本のベース全てに囲まれるのは俺も初めて。ESPが俺に内緒で隠してたんですよ…人聞きの悪いこと言うなって?(笑)”と冗談っぽく笑いながら、“俺がぶん投げちゃったヤツとか、壊したヤツもちゃんと持っててくれたんだと思う”とJ。大破したベースの亡骸も“96年 『真夏の野外』(LUNA SEA)で初日に破壊”などとエピソードが付記され、生々しい当時の状況と熱を追体験させてくれた。また、ガラスケースに展示されながらも鏡を活用してヘッドやネックの裏側も見やすく工夫されていたのは嬉しい限り。さらに、1992年に制作されたが倉庫で行方不明となっていたという初号機も初展示。現在のモデルよりもボディーがひと回り大きく、裏面が平らだった時代から現在までの変遷を一望できたし、その頭文字がベストアルバムのタイトルにも刻まれている“WAKE UP! MOTHER FUCKER”というJのキャッチコピー的メッセージが1996年に出現したという“史実”も確認できた。マリア像が描かれた特徴的なアンプ2台をバックに写真撮影できるコーナーが設けられていたり、来場者はもれなくオリジナルピックをお土産として入手できたり、思い出を刻める心配りもそこかしこに。2014年に実施されたESPとJの公式FCとの共同企画時、ファンがびっしりとメッセージを書き込んだF.C.Pyro Message BassもJ本人の発案により日替わり展示。この20年の歩みは自分ひとりのものではないという想いに貫かれた展示会だった。

■ラジオ公開録音レポート

『「J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.」スペシャルトークイベント』
2017年3月25日@タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO


Jがbayfmにて毎月第二金曜日にパーソナリティーを務めるラジオ番組『MOZAIKU NIGHT FRIDAY~J's EDITION ROCK LINE~』の公開録音が、タワーレコード渋谷店でファンを招いて行なわれた(※放送は4月14日)。DJの中村貴子に呼び込まれたJは黒ジャケットにサングラス姿。“ライヴハウスみたいだね!”と200人が詰めかけたフロアーの熱気に驚いた様子。3月22日にリリースされたベストアルバム『W.U.M.F』の制作を振り返りながら番組は進行していく。過去の寄せ集めではなく“今”の自分に近いものにしたかったと語ったJ。そんな想いに基づき新録した何曲かのヴォーカルは、“過去のカッコ良いブレスは活かす”など新旧をつなぎ合わせたミクスチャーに。すでに聴き込んでいる観客が反応すると、“分かった場所あった? 鋭いね、みんな!”とJは公開録音らしく生の交流を図った。アルバムを携えた全国ツアーがスタートするが、Jはその炎をさらに燃え盛らせていく。
そして、オンエアでは曲が流れている時間を活かして、イベント参加者に向けた裏話も披露。ベストアルバムに収められた新曲「one reason」のMV撮影秘話として“ものすごく寒い日だったんですよね(笑)。スタジオでは座って弾いていたので、メンバーとこうして立って一緒にプレイする初のタイミングで楽しかった”などと語った。また、台本には短く“曲振りをする”としか書いていないのに、発売日情報や曲解説を交えたJのアドリブが完璧だと中村が絶賛すると、会場からは拍手が。Jは“MOZAIKU、10年やってます!”と、当然のことだとでも言うようにプロ意識を示した。Jに内緒で実施したバンドメンバーへのアンケートを踏まえてのトークは爆笑続きだったが、自身の求めるグルーブ感について熱弁を振るうひと幕も。あらかじめ寄せられた質問に答えるコーナーでは、気持ちを切り替えるスイッチを尋ねられると、人差し指をノンノンと振りながら、“オフらないです。スイッチを捨てちゃった”とロッカーらしい名言が飛び出した。かと思えば、直後に照れ笑いを浮かべる少年らしい一面も。“スランプはありましたか?”という問いには、“最初に書いた曲と最後に書いた曲が一緒というぐらい自分の中でループしちゃってる時期もあった”と明かしながら、そういう時は“そういうもんかな”と思うことと心構えを提示。いくつもの壁を乗り越えてきたJらしいシンプルで深い対処法に、会場は耳を澄ましていた。
約1時間に及ぶ収録を終えると、立ち上がって“後ろ、元気~?”と声を掛けるやさしさも忘れなかったJ。最後に“最高のベストアルバムができました。20周年、盛り上がっていきましょう!”と笑顔で挨拶し、公開録音は終了。5月5日の大阪BIGCATを皮切りにベストアルバムを携えた全国ツアーがスタートするが、Jはその炎をさらに燃え盛らせていく。
J プロフィール

ジェイ:1992年にLUNA SEAのベーシストとしてメジャーテビュー。97年、LUNA SEA の活動休止を機にソロ活動を開始。翌年LUNA SEA を再開するが、00年12月の東京ドーム公演にて終幕し、本格的にソロ活動をスタートする。03年にはアリーナ・オールスタンディングによる、ソロ活動初の武道館公演を実施。その後もとどまることなく自身の音楽を追求し続け、17年3月にはソロデビュー20周年を記念したベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F.]』を発表。現在は10年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。J オフィシャルHP

LUNA SEA プロフィール

ルナシー:1989年、町田プレイハウスを拠点にライヴ活動を開始(当時の表記は“LUNACY”)。90年にバンドの表記を“LUNA SEA”に変更し、翌91年に1stアルバム『LUNA SEA』をリリース。そして、92年にアルバム『IMAGE』でメジャーデビューを果たす。00年12月26日&27日の東京ドーム公演を最後に終幕を迎えるが、07年12月24日の満月のクリスマスイヴに東京ドームにて一夜限りの復活公演を経て、10年に“REBOOT(再起動)”を宣言。13年12月には13年5カ月振りとなる8枚目のオリジナルアルバム『A WILL』を発表する。その後、バンド結成25周年を迎え、自身初の主宰フェスとなる『LUNATIC FEST.』も開催し、17年12月にはオリジナルアルバム『LUV』を、19年12月にはグラミー賞5度受賞のスティーヴ・リリーホワイトとの共同プロデュースによる10枚目のオリジナルアルバム『CROSS』をリリース。LUNA SEA オフィシャルHP

OKMusic編集部

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