【Saku】最終的には“直接話がしたい
”という気持ちを込めている

前シングル「ハローハロー」から約半年振りのリリースとなるミニアルバム『KENSAKU E.P.』は、SNSにおける恋愛を題材にした、キュンとなりながらもどこかチクッと刺さる4曲を収録。オルタナティブロックのテイストとガーリーな歌声もあいまって、Sakuが100パーセント詰まった作品となっている。
取材:榑林史章

『KENSAKU E.P.』は久々の音源となりますね。

はい。今回は収録曲4曲全部自分で作詞作曲しているのですが、こういうのは実は初めてなんです。

今回はリアルというか、すごくパーソナルな部分に寄っている感じがしたのはそういうことなんですね。

そうですね。今まで以上に自分自身と向き合って、全部ひとりで作詞したことが大きかったと思います。前は作詞の面で少し自信がないところがあったので、歌詞は誰かと共作させていただくやり方が自分には合っていると思っていたんです。そういう意味では、振り返ると今までの曲は私のパーソナルが100パーセント出たものではなかったのですが、今回は自信を持って“100パーセント、私です!”と言えるものになりました。タイトルは“検索”という言葉をローマ字にしているんですけど、よく見ると自分の名前の“Saku”が入ってるし、収録曲の「サークルフェイス」にも“サーク”って入ってるし(笑)。いろんなところに、私自身が表れています。

サウンド感としてはガレージロックやオルタナロックのテイストがあって、インディーズ時代の時にやっていた音楽性に近いですね。

実は、当時アレンジをやっていただいていた野村陽一郎さんに、久々にお願いしました。野村さんとはオルタナサウンドというところで、好きなサウンドの方向性が似ているし。それに私の声はどちらかというとガーリーな成分が多い声質なので、ここに野村さんのオルタナエッセンスを加えてもらうことで私の個性が引き立つと思って。

作曲のやり方には、何か変化はあったりしましたか?

前はアプリの『GarageBand』を使ったりとかもしていたのですが、原点に戻ろうと思って全部アコギを弾きながら曲を作りました。あと、今までは曲から先に作るのがほとんどでしたけど、今回は歌詞から先に作ってて。自分と向き合うという意味で、毎日日記を付ける気持ちで歌詞を日々綴っていって、そこにメロディーを付けるというスタイルでしたね。たまに作ってる様子を動画に撮って、Twitterでアップしたりしていました。

今回は「検索」「スタンプ」など、メールとかLINEとかのSNSを介したコミュニケーションを題材にしていますね。すごく今っぽいと同時に、でも、ちょっと痛い感じもあったり。

「検索」を聴いた男性からは“怖いと思った”という意見が多いです(笑)。今回は自分の経験談も含めて、友達から恋愛の状況を根掘り葉掘り聞いて、それを歌詞に活かしていった部分が多くて。話を聞いていくと、恋愛におけるいろいろな事件が意外と身近に起きているんですよね。

「検索」は好きな相手をTwitterやFacebookでずっと追いかけて、若干ストーカーっぽくなっていくという。

友達の話なんですけど、気になる人からメールの返事が来ないと悩んでいたんですね。すごく落ち込んでいて、話をしながら何気なくその人のFacebookを見たら、ログインが1分前だったんです。メールの返事は返さないくせにFacebookはしっかりチェックしていたことに、その友達がすごく傷付いてしまって。そこから広げて書いていきました。

SNS時代ゆえの曲ですね。昔はそんなことできなかったので、一途な人というだけで済んでいたかもしれない。

そうそう。立場によっていろんな見方があると思います。それにSNSとか検索とかうんぬんを除けば、要はラブソングなんですよ。SNSが増えた中で、私としてはやっぱりそれ以外の部分も大切にしたいと思って書きました。

《君の気持ちを検索出来たらなぁ…》というフレーズも出てきますしね。 

そうですね。このアルバムは最終的には“直接話がしたい”という気持ちを込めています。

最近は告白するのも別れるのもLINEで済んでしまうそうだし。

コミュニケーションが取りやすくなるというSNSの良さはもちろんあるけど、そこまではどうかな?と思いますよね。だから、スマホがない時代の恋愛に憧れたりする部分もあります。この10年、SNSの広がりと比例して、恋愛のスタンスが変わったんだな〜とも思いますし。

「最初から君は」は、メールで思わせぶりな最後のひと言を付けて女子を翻弄する男の歌で、「スタンプ」は何でもスタンプひとつで済ませてしまう男のことを歌っていて。言葉が多くてもダメだし、足りなくてもダメという、女子のわがままな面も見て取れました。

女の子は真実を知りたいんです。「最初から君は」も、友達と話している時にそういう話になったんです。釣った魚に餌をやらなくなる男性っているよねって。スタンプも“え! スタンプだけ!?”っていう人いるよねって話にもなって。でも、実際に自分も面倒臭くて、“まぁ、いいいか”って感じで、スタンプひとつだけ送っちゃう時があるんで、そういう自分自身に言い聞かせている部分もあります。

ちなみに、どういうスタンプを使いますか?

私が初めて買ったスタンプが『くまったくん』というキャラクターなんです。すごくかわいくて好きで、なんと今回のジャケットは、その『くまったくん』の作者である小鳥遊しほさんに熱烈にお願いして描いていただきました! 実は今回の作品には“痛ポップ”というテーマもあって(笑)。歌詞的にはちょっと痛い女の子だけど、曲調やジャケットなどイラストはすごくポップだということで。自分が女子だし、自分自身と向き合って生まれた曲たちなので、やっぱり女の子のほうが共感してもらえるんじゃないかって思います。
『KENSAKU E.P.』
    • 『KENSAKU E.P.』
    • AICL-3323
    • 2017.05.03
    • 1620円
Saku プロフィール

サク:横浜出身、24歳の女性シンガーソングライター。2015年4月29日、SPACE SHOWER MUSICより1stアルバム『FIGHT LIKE A GIRL』と、有村架純主演の映画『ビリギャル』劇中歌「START ME UP」のメジャーシングルと2作の同時発売で異例のメジャー進出。
2017年4月からは地元FMヨコハマにてラジオDJとしても活動中!Saku オフィシャルHP

OKMusic編集部

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