写真左上より時計回り、SEELA(Ba)、kyo(Vo)、CIPHER(Gu)、Tetsu(Dr)

写真左上より時計回り、SEELA(Ba)、kyo(Vo)、CIPHER(Gu)、Tetsu(Dr)

【D'ERLANGER】すごいアルバムを作れ
ないわけがない

“これが全てです”って言い切れるし
、それしか言えないアルバムになった

最後の「沈む」は《沈む》というところ以外は英詞なのですが、それは曲を聴いた時からそういうイメージだったのですか?

kyo
そうですね。CIPHERのデモを聴いてスタジオで合わせた時に《沈む》って言葉が乗ったんですよ。日本語がその言葉しか出てこないっていう世界観を作れたらいいなって。“沈む”ってネガティブなワードだったりするんだけど、イメージで言うと“溶ける”なんです。バンドに溶ける、身体になる…みたいな。でも、言葉のはまりとして“沈む”に。
Tetsu
この「沈む」に関しては、バンドアレンジを入れる前のCIPHERの弾き語りの時から“これがアルバムの最後の曲だな”と思ったんだよね。それが叶って良かった。

この曲の後半に向かっていく熱量はすごいですよね。

Tetsu
それこそドラムのパターン、フレーズが一番自然に出たんですよね。“ここどうしようかな?”とかはなく、スッと身体から出た。本当は全部そういうのがいいんだろうけど。

このドラムはヴォーカルばりに攻めてきますしね。それだけにkyoさんは歌う時、かなりテンションを上げて臨まないといけなかったのでは?

kyo
そうですね。これは喉のコンディンションも考えながら、録る順番も気にしとかないと(笑)。
CIPHER
めっちゃリアルやな(笑)。
kyo
“くるなぁ〜”って思ったんだけど、CIPHERが“「SADISTIC EMOTION」とかあの頃のキーやで”って言うから。
CIPHER
あんだけ“キーは上げない”って言ってたのにね(笑)。
kyo
キーを上げないというのと、テンポを上げないというのをね(笑)。
CIPHER
言い訳じゃないけど、一発こういうテンションの歌があるのは大事なのよ。
kyo
なるほど(笑)。でも、ちょっとしたCIPHERとの会話の中で“ここのテンションは〜”とか言われると、こっちの気分も違ってきますよね。あと、「Harlem Queen Romance」のすごいカッコ良いギターのカッティングに刺激されながら歌ったりすると。

そして、通常盤には「Loveanymore -J'aime La Vie version-」が入っているという。これ、通常盤のみというのはもったいなくないですか?

CIPHER
やらしいところです(笑)。これに大義はなく、ファンクラブイベントでクリスマスイブにライヴを毎年やってて、アンコールではアコースティックセッションというか、いつもの趣きと変えてやってるんですけど、その時にこの感じでやったんです。MIYAKOもいて、5人体制で。それが良かったんで、シンプルに音で残したいなっていう。今の俺らの奏でる音って気がして、めっちゃ等身大な感じがしたんですよ。古い曲ですから、その対比もあったり。あと、「柘榴」(2008年3月発表の4thシングル)のカップリングには入っているんですけど、アルバムには入っていなかったので、アルバムで聴いてほしいというのもあったりとか。

ギターとピアノの絡みからピアノソロになるところは感動ものですよね。

CIPHER
ええの弾きよったわ、あいつ(笑)。
kyo
カッコ良いですよね(笑)。でも、「Loveanymore」は曲の持っている強さが半端ないなと思っていて。それこそ僕が入る前からあった曲ですから、客席からも観ているわけですし。CIPHERが16歳の時に作った曲でいろんな景色を観てきている曲なので、良い意味で歳をとってきている。僕の中では「Loveanymore」のオリジナルのかたちはオリジナルの味だと思うんですけど、今回はCIPHERが言った“等身大”というところに意味があって。メロディーの強さだったりとか、曲を作る上での強い想いっていうのを象徴する一曲ですよね。

なので、このアルバムに入っているのが自然だから、通常盤のみというのがもったいないなって。

kyo
なるほどね。
Tetsu
今回のレコーディングは前半と後半の2ブロックに分かれていて…前半はBUCK-TICKさんに紹介してもらった高崎のスタジオで録ったんですよ。高崎市が作ったスタジオなんですけど、評判もすごい良くて、結構いろんな人が使ってるみたいで。高崎にはBUCK-TICK、BOØWY、ROGUEといったバンドがいて、「Loveanymore -J’aime La Vie version-」はそこで録ったんで、僕は高崎臭がすると思ってます(笑)。
SEELA
これはリハーサルなしでやったんやな?
Tetsu
まぁ、できるからね。
SEELA
普段やってるバージョンとは違うんで、ちょっと練り直したりもしながらいろいろ考えましたけどね。いい感じに生まれ変わったなって。

では、今回のアルバムですが、どんな作品に仕上がった実感がありますか?

SEELA
…やっぱり“D’ERLANGERです”って感じです(笑)。
Tetsu
この前の豊洲PIT(4月22日の『REUNION 10th ANNIVERSARY -薔薇色の激情-』)ではアルバムの曲は1曲しかやっていないので、これらがツアーで炸裂してどう変貌を遂げるのか楽しみですね。きっと他の曲も連鎖反応を起こして訴え方が変わると思うし。そのD’ERLANGERが楽しみです。
kyo
すごく当たり前のことだし、毎回同じことしか言えないんですけど、今のD’ERLANGERにしかできないアルバムだなって。歌を録ってちょっと休憩している時に、CIPHERとのたわいもない話の中で、このアルバムを作ることに対する気持ちを聞いたりすると…まぁ、完成したからこそ言えることかもしれないですけど、“そりゃこういうアルバムになるよ”って。想いの強さだったり、テンションの高さを感じるんですよね。だから、自分がテイクを残す時、自分の中で最上級の強い想いで向き合わなきゃってなるわけですよ。メンバーそれぞれの想いも乗っかってるし、気が入ってる…だからD’ERLANGERのアルバムって一枚一枚が重いし強いのかなって思いますね。“すごいアルバムを作れないわけがないんだよ”っていう。だから、“これが全てです”って言い切れるし、それしか言えないアルバムになりましたね。これを今度はツアーでいろんなかたちや色に変えていくっていうのも楽しみですね。
CIPHER
…このあとにしゃべりにくいなぁ(笑)。さっき言ったように、ここでやらなどうにもならんなというのはありましたね。で、メンバーそれぞれがいわゆるフィニッシュブロウを打っているんですよ。それぞれが持ってますから、いくらでもブチ込めるんですよ。それを打ち込んだアルバムだと思うんです。でも、ちょっとだけでもいいから、次に踏み出すための、得意技だけでは終わらない“もっと”のところの気配だけ残したかったんですよ。それが残ったアルバムだとも思います。だから、生きてたら次のアルバムを作ります(笑)。
『J'aime La Vie』2017年05月03日発売WARNER MUSIC JAPAN
    • 【初回限定盤デラックス・エディション(DVD付)】
    • WPZL-31272/73 5000円
    • 【通常盤】
    • WPCL-12535 3240円
    • ※24Pフォト・ブックレット付き三方背BOX仕様
D'ERLANGER プロフィール

デランジェ:1983年の結成後、幾度かのメンバーチェンジを経て、88年にkyoが加入し、現在の4人がそろう。89年に発表した1stアルバム『LA VIE EN ROSE』がインディーズでありながらも3万枚のセールスを記録し、鳴り物入りで90年1月にシングル「DARLIN'」でメジャーデビューを果たすものの、同年12月24日解散。しかし、17年の時を経て、07年に復活! 08年5月には日本武道館公演を成功させ、結成10周年イヤーとなった17年にはオリジナルアルバム『J’aime La Vie』、そしてトリュビートアルバム『D’ERLANGER TRIBUTE ALBUM ~Stairway to Heaven~』を発表した。D'ERLANGER オフィシャルHP

OKMusic編集部

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