取材:フジジュン

結局、バンドをやり始めた頃と同じこと
がやりたかった

ミニアルバム『Candy Candy Candy?』からわずか4ヶ月。アルバム『ORANGE ROCK FES 33』をリリースするわけですが、07年は制作期間として、しっかり楽曲作りに専念していたようですね。

KUMI
それまでずっと突っ走っていて、立ち止まることもなかったので、ちょっとゆっくり曲作りの期間を設けました。
RYU
その後、ミニアルバムとフルアルバムを同時に作り始めて。曲数も多いので、時間もかかった感じですね。

そんな制作期間も影響してか、前作と今作は突き抜けた感じですよね。音楽を楽しんでいる感も改めて伝わってきて、すごく印象的でした。

RYU
制作自体は曲をしっかり練り込むという感じではなく、いろんなことを同時進行でやっていて。
KUMI
衝動とか直感を大事にするような作業でしたね。あとは、単純に“ライヴでやりたいな!”と思う曲を作りたいって気持ちが強かったんです。“ここでかけ声を入れてもらえたらっていいな”っていうのを想像してました。

ライヴ感あふれる曲と、作品ならではの緻密さって部分でのバランスも面白いですよね。

KUMI
そこはプロデューサーの(杉本)恭一さん、ウエケン(上田ケンジ)さんの協力もあって、いい意味で壊れることができたました(笑)。
RYU
そう! 今まではかなりカッチリ作るタイプだったのが、今回は“勢いがあるならこれでいこう!”みたいなジャッジメントも多かったですね。個人的には、“ホントにこれでいいの?”と思うところもあったりしながら(笑)。でも、すごくロックなものが録れてました。これまでのアルバムでは、今まで以上に曲も良くしなきゃいけない、演奏のレベルも高くしなきゃいけないって気持ちがあったんですけど、一度立ち止まって気持ちをリセットして、“次に何をやりたいのか?”って考えたら、ライヴをしたいと思ったし、明るく楽しいパンキッシュな曲を作りたいと思ったんです。結局、バンドをやり始めた頃と同じことがやりたいんだってことに気付いたんですよ。そこで“今のキャリアを持って、原点に戻ったら何ができるか?”ってことで、純粋にライヴ感、スピード感っていうコンセプトになったんです。

結局、一番大事にしてきた核たる部分がコンセプトとして上がってきたと。

RYU
そうですね。あとは、今まで明るくすることや楽しく観せることに必死だった部分もあったけど、そこはライヴに来る人からある程度の評価をもらえているので、“もう一歩考え方を先に進めた時、自分たちの思うところは何だろう?”って考えました。ライヴの中で1分くらいはフロント以外のメンバーに目を向けてもらいたいとか、ホーン隊にスポットを当ててみようとか、KUMIの別の魅力が引き出せないか?とか、いろんなアイデアが出て。そんなことを考えながら曲作りを進めました。

お~面白い! じゃ、今作はさまざまな角度からYum!Yum!ORANGEを見直して、最後は壊れるところまでいけたと。ラスト「YOU & ME」とか壊れてますよね(笑)。

KUMI
グチャグチャさがすごく良いですよね(笑)。
RYU
あの曲も“レコーディングでやれるところまでやってみよう”って、やってるうちにああなったんですけど。

ヤムヤムって、根本的にかなり真面目だからね。

KUMI
そうなんです! だから、それを壊すのがすごく大変で(笑)。プロデューサーの恭一さんとかウエケンさんがいい具合に壊してくれたから、いい物ができたと思います。

ロックの大先輩たちに、スピリッツを植え付けてもらったと。プロデューサーからは技術的な面以外のメンタル面でも学ぶところは多かったのではないですか?

RYU
そうですね。ふたりとも現役なので、ステージも観に行かせてもらったり。僕とKUMIは一緒にお酒を飲む機会も多かったので、そこで善いことも悪いことも教わりましたね(笑)。そこでモチベーションが上がった部分もあります。

大事、大事。お酒の席にこそ、真実があるから(笑)。でも、そうやっていい意味でブッ壊せたからロックにも振り切れてるし、「Merry Go Round」のようなポップに振り切れた曲もできたし。振り幅の広いアルバムになりましたよね。

KUMI
この曲は、私が初めて作曲に挑戦した曲なんですけど、歌詞もサウンド面もいろいろ詰め込めました。
RYU
この曲も含めて、今まで以上に一曲一曲の個性は立ったかなって気はしてます。

どの曲もYum!Yum!ORANGEの色がありながら、別のバンドがやってるくらいの個性がある。まさに“ORANGE ROCK FES 33”というタイトルにピッタリの作品になったし、来年10周年を迎えるスキルとキャリアもしっかり感じさせる作品になりましたよね。

KUMI
そうか、来年10年か。すごーい!(笑)
RYU
自信はそこまでないですけど、今は“人からどう思われてもいい”みたいなのは、ありますね。みんなが好きって言ってくれるのが一番いいけど、だから媚びようとは思わないし。ま、それは楽曲に限ってで、バンドとしてはみんなに気に入ってもらいたいです(笑)。曲に対しては、自分たちが面白いと思えればそれでいいかなって。

しかし、10年を目前にしてそういう気持ちになれたり、改めて原点回帰や衝動的な気持ちが生まれてくるっていうのは、すごく素敵なことですよね。

RYU
そこに関してはメンバー全員、ブレがなかったですね。“もう一度、いろいろと着飾った物を取っ払って、ジーパンとTシャツに戻ろう!”みたいな、今はそんな心境ですね。
Yum!Yum!ORANGE プロフィール

名古屋発、元気なスカ・ポップ・サウンドであっという間にインディーズの人気者となった男女混合6人組バンド。フジテレビ系の人気アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のオープニング曲「葛飾ラプソディー」をスカで歌っている元気な女の子バンド、と言えば多くの方が「ああ!」と思い出すだろう。
名古屋で99年ごろからオリジナル曲を作り始め、ライヴ活動を開始。02年、初のフル・アルバム『ORANGE STREET 33』をインディーズでリリース、スマッシュ・ヒットを記録した。その後、数々のイベントや対バンライヴに出演し、全国区のバンドへと急成長を遂げるが、03年5月にヴォーカルが脱退。その後、KUMIを新ヴォーカリストとして迎え活動を再開している。親しみやすい楽曲の数々と、演奏に力強さと安定感があるのが特徴。スカの楽しさを感じさせる底抜けの明るさは、彼らにとって大きな武器になっている。
04年に2ndフル・アルバム『ORANGE JUICE』、05年に3rdアルバム『ORANGE FUNKY RADIO』、そして06年10月に4thアルバム『Jelly Beans』をリリースと快調に作品を発表し続けている。Yum!Yum!ORANGEオフィシャルサイト

OKMusic編集部

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