取材:金澤隆志

ketchup maniaここにあり!

この春には本格的なアメリカツアーがありましたね。手応えはどうでしたか?

DAI
良かったですね。反応は日本の50倍ぐらいデカくて(笑)、自信にもなりました。2006年のアルバムがアメリカでもリリースされているので、“この曲をやってくれ!”とリクエストがあったりして、楽しかった。
HIRO
オーディエンスの反応がダイレクトに返ってくるので、毎回とてもやり甲斐を感じましたね。

最近はひと昔前とは状況が変わり、多くの日本のバンドが海外で活動していますが、日本のバンドに対する反応の変化を肌で感じることもありますか?

DAI
昔よりも日本人を受け入れてくれる雰囲気はあると思います。これはバンドに限ったことではなくて、日本自体がブームというか、みんな興味を持ってくれるようになっているんですね。海外で活動する上でのハードルがかつてよりも下がってきていて、とてもやりやすいです。

アルバム『F・L・A・G』は、前2作から続く3部作の完結編という位置付けなんですよね?

DAI
そうですね。バンドとしての集大成的なものにしようと思いました。
HIRO
去年10月ぐらいに全員で決起集会をしたんですよ。その時に“これぞketchup maniaだというものを打ち出そう”ということになり、そこから方向性が定まっていった感じ。スピード感とヘヴィさ、サウンドとヴォーカルのコントラスト、展開のトリッキーさといった、数年前にも言っていた要素に加え、さらに前2作で提示した新たな要素を加味することによって、まさにketchup maniaの進化形と呼べる、完成度の高いアルバムにすることができたと思います。

“F・L・A・G”というタイトルは、バンドのプライドを感じさせるものですね。

YOSEI
“ketchup maniaここにあり!”という、昔で言えば戦場で旗を高く掲げるようなイメージ。アメリカでツアーをさせてもらうことで、日本を代表するという意識もありますし、作品としても僕たちの誇りが詰まっているものなので、その思いの全てを旗というものに集約させたんです。

これまでにも増して、バックのサウンドが尖っているように感じました。HIROさんのキュートなヴォーカルとのコントラストが、さらにハッキリとしたように思います。

DAI
女の子のヴォーカルの4ピースバンドが多数いる中で、やはり他とは一線を画したいんですよね。それこそがketchup maniaとしての存在意義だと思うし。そうした中で、洋楽的なヘヴィさやスピード感というのは意識しています。“このバック、女の子ヴォーカルがいるバンドの音じゃないだろ”って言われるぐらいが理想(笑)。

リズム隊のヘヴィさも際立っていますね。

YOSEI
今回はサウンドを尖らせるために、ベースを歪ませたりもしたんです。
WANI
僕は「BAD! BAD! BAD!」からツインペダルを導入したことで、全体的にヘヴィさが増したサウンドになっていると思います。
DAI
次はさらにツインペダルを踏まえた曲作りをしたいと思っていて。パンテラ的なアプローチもありかなと(笑)。

どこまでヘヴィに(笑)? HIROさんは歌詞的に“集大成”を意識した部分はありましたか?

HIRO
バンドが結成して9年になるんですけど、数年前に歌っていたら説得力がなかったもの、今だからこそ書けたものが出来上がったように思います。私たちの音楽を聴き続けてきてくれた人へのメッセージや、決意表明的な部分といった、バンドに関する歌詞が多いのはそういうことですね。恋愛の歌詞にしても、以前だったら“ずっと手をつないでいられればいい”というフンワリしたものだったのが、恋愛に対して少し成熟した見方をしていたり、毒を含んでいたり。そうした新しい要素の集合体こそが、このアルバムが私たちの集大成と言える所以かと思いますね。

成熟した女性という部分で言うと、「PLEASE! MARRY ME!!」は、結婚宣言なのかと、ドキッとさせられました(笑)。

HIRO
そうだったら良かったんですけどね(笑)。私と同世代の友達が集まると、大抵結婚の話題になるんですよ。それで、男性から女性へのプロポーズの曲はたくさんあるけど、その逆はないからやってみようと。結婚行進曲を入れたのは、DAIくんのアイデア。

“あなたのお墓入りたい”って、結構ヘヴィな言葉ですよね(笑)。

HIRO
最近はキュートな言葉ばかりではなく、バックのサウンドに近づけるべく、どれだけ毒々しい部分を出せるかが課題だったりするので(笑)。女性の現実的な面が出ている歌詞になっています。
ketchup mania プロフィール

キュートなルックスとハイトーン・ヴォーカルがトレードマークのHIRO(vo)を中心とし、DAI(g)、Yosei(b)、WANI(ds)という女1男3によるメロコア・バンド、ketchup mania。90年代だったらJUDY & MARY、近年ではSHAKA LABBITS、Yum!Yum!ORANGE、ムラマサ☆といったバンドたちによって形成されるガールズ・ロック・ムーヴメントの中においても、そのとびきりキャッチーかつポップなサウンドにより破格な存在感を醸し出しているのがketchup mania、彼らである。
99年、結成当時のバンド名表記は「けちゃっぷmania」。メンバーの地元・名古屋でライヴを中心に活動していく中で、次第にその頭角を現し、03年には1stミニ・アルバム『Evrytime Music Freak』を<KOGA record>のサブレーベルである<Grooovie Drunker>よりリリース。05年には活動の拠点を名古屋から東京に移し、シングル「ジングルベリー」でメジャー・デビュー。07年のレーベル移籍タイミングで、バンド名を「ketchup mania」に改めている。ketchup mania Official Website
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公式サイト(アーティスト)
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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