村下孝蔵「初恋」は、自らの体験を元
にして作られた歌だった。彼の初恋と
は?

彼のデビューを後押ししたのは”彼自身”の音楽的センスだった。楽曲や声が評価され、シングル「月あかり」でデビューを果たしたのだ。
30歳にして発表した「初恋」が大ヒットし、彼はアーティストとしての地位を確立した。「初恋」は玉置浩二GOING UNDER GROUND吉幾三とジャンルを超えて様々なアーティストにカバーされた。

村下孝蔵の大ヒット曲「初恋」は実体験を元にして作られたという。甘酸っぱい初恋から彼はどのような詩を綴ったのだろうか。






「悲しくなったよ」ではなく「悲しくさせたよ」と表現し、落ち込んでいる原因を五月雨に求める。恋により落ち込んでいると認めたくない初恋の心情を見事に表しているのだ。
また、「届かぬ想いを暖めていた」という詞と村下孝蔵の素朴なキャラクターが重なり、しみじみとした気持ちにさせてくれる。彼の透明感のある声が初恋の哀愁をより強くさせているのだ。





村下孝蔵は中学生のときにある女の子に恋をしていた。彼女はテニス部で、放課後にはラケットを持ち部活動に励んでいた。
少年時代の村下孝蔵はその活動を校舎の窓から覗いていた。そう、「放課後の校庭を走る君がいた」のだ。想いを伝えられないまま、その女の子は転校してしまったという。
好きだよと言えずに終わった彼の心は、繊細な「ふりこ細工」のように揺れたのだ。





冒頭の「緑色」やここでの「あんず色」など、具体的な色を綴ることにより情景の輪郭をはっきりとさせている。
夕映のあんず色に対して「とらわれた心」は何色なのだろうか。これは、リスナーに想像への道筋を与えてくれる上質な詩なのである。

2013年、故郷の熊本県水俣市の商店街に、「初恋」の歌碑が建てられた。商店街の通りも「初恋通り」と名を改めたという。時代に流されることなく、原体験を大切にする彼の心が多くの人々を惹きつけたのだろう。

初恋は、年を取れども忘れらない体験である。移りゆく時代の中で、村下孝蔵がいつまでも変わらないものを私たちに教えてくれる。

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