RINA(SCANDAL)×北澤ゆうほ(the peg
gies)  ガールズバンドゆえの葛藤
と夢を大いに語る



RINA:たしかにそうですよね。デビュー当時から知っててくれる人からしたら、こんな日が来るとは! っていう感じですよね(笑)。

――年齢的には4つしか違わないのにね。SCANDALは芸歴長いから。

RINA:芸歴長いとか言わないで! 平成生まれ平成育ちですから!(笑)

ゆうほ:でも、4つしか離れてないのに、こんなにも影響力のある人なんて、本当に尊敬します! 自分が4年後にSCANDALみたいに、ちゃんと結果出して、カッコイイバンドになれてるかな? って考えると、まったく想像がつかなくて。そもそも、今、こうして憧れのSCANDALのRINAさんと対談出来てることも想像出来なかったことなので。私、SCANDALは「DOLL」の頃から知ってるんです!

RINA:おぉ~! デビューの時から知ってくれてるんやね!

ゆうほ:はい! その時、中学校2年生で、軽音楽部の先輩が「DOLL」をコピーしてたんです。それで、“SCANDALって知ってる?”って話をされて。“知ってます! 知ってます!”って。

RINA:嬉しいな。自分たちのコピーバンドが出て来てくれるのとか、ほんまに嬉しくて。「DOLL」とか「少女S」とか「瞬間センチメンタル」とかがコピー曲の定番になることは予想しきれない領域だったというか。とにかく自分たちのバンドに向き合うことに精一杯だったから。でも、そうやって自分たちの曲をコピーしてくれてた子達の存在が、かなりエネルギーになってるし。今、曲を作る時も、“この曲コピーしたくなるよね!”って話から膨らんでいくこともあって。こうやって、実際に自分たちのコピーをやっていたという人の話を直接聞くのは、今が初めてだし、そうやってバンドを始めた子たちが、メジャーシーンに出て来てくれたことで、時代が一周回ったんやなって感じるし、これからもっともっと一緒にシーンを盛り上げていけるんじゃないかなって、ドキドキワクワクしますね。私、個人的にthe peggiesってすごく好きなんですよ。曲も人も。仲間でありたいなと思うし、本当に可愛い後輩だなとも思うし。プライベートでも一緒にご飯とかも行ったりしてるんです。よくLINEもしてるし。ライブも行き来してるし。

the peggies/北澤ゆうほ(Vo&G)、SCANDAL/RINA(Dr) 撮影=上山陽介

――話すのは今日が初めてじゃないんだね。RINAちゃんとゆうほちゃんの出逢いは?

ゆうほ:1番最初は、私がメンバーと一緒にSCANDALのライブを観に行かせてもらった時ですね。ライブ終ってから挨拶させてもらったんですけど、その時に“めっちゃ聴いてる!”って言ってくれて。自己紹介するだけで緊張してたのに、そんなことを先に言ってもらっちゃったので、もう何て言ったらいいか分からなくなって、あたふたしちゃって、頭の中が真っ白になっちゃったんです(笑)。そのライブのすぐ後くらいに、私たちのライブをRINAちゃんとMAMIちゃんとで観に来てくれて。その時に、プレゼントまでもらっちゃったんです! ブレスレットなんですけど、貰った日からずっと着けてるんです!(この日ももちろん着けてました!)

RINA:着けてくれるんや! めっちゃ嬉しい!

ゆうほ:着けてますよ! 宝物なんです!

the peggies/北澤ゆうほ(Vo&G) 撮影=上山陽介

――RINAちゃんはthe peggiesのことを知っていたの?

RINA:はい。the peggiesはすごく好きで聴いてて、CDも持ってました。

ゆうほ:ライブの後も、すっごいいっぱい感想を言ってくれて。その日、初めて一緒にご飯にも行ってもらって。

RINA:めっちゃいっぱい話したよね(笑)。

ゆうほ:はい! すっごい長い時間お店にいましたよね(笑)。

RINA:ね(笑)。

――RINAちゃんがthe peggiesを知ったきっかけは何だったの?

RINA:前、同じ事務所にいたアーティストが、the peggiesと下北のライブハウスで対バンしてて、マネージャーさんから“the peggiesっていうカッコイイ、ガールズバンドがいるんだよ”って聞いてたんです。で、しばらくして、同じレコード会社からデビューすることになったって聞いて。そのときに、the peggiesの「グライダー」のミュージックビデオを見て、めちゃくちゃ可愛いしカッコイイなと思って。SCANDALとは違うことが出来るバンドだな、羨ましいなって思ったバンドだったんです。せっかく同じレーベルになるから、仲良くしたいなって思って、ライブに呼んでもらって、そこから連絡を取り始めたんですよ。

――自分が憧れた人に、そんな風に思ってもらえるなんて、ゆうほちゃんとしてはすごく嬉しいよね。

ゆうほ:めちゃめちゃ嬉しいですよ! 今日もこの対談が決まったとき、本当に嬉しかったんです。いつか対談したいねって言ってたから。ガールズバンドが可愛いことを堂々としたりとか、可愛いって思われることを抵抗なく受け入れているスタイルのSCANDALは、ガールズバンドに対して同じ考えを持っているなって思うから。変に“なめられたくない”って思って斜めに構えすぎてないところとかが、すごく尊敬できて。話してても、“それ、めっちゃ分かります!”っていうことがすごく多くて。

――共感することが多過ぎて、ついついいっぱい喋っちゃうんだね(笑)。

ゆうほ:そうなんです! 止まんないんです(笑)。

RINA:あははは。めっちゃ話すもんね、いつも(笑)。

――一緒にご飯に行ったはずなのに、いつの間にかプライベートな時間まで“対談”になってるっていうね(笑)。

RINA:あははは。そうそうそうそう(笑)。

ゆうほ:“最近カッコイイバンドいる?”って話から、私が気になってるガールズバンドをRINAさんに教えたりとか。

RINA:yonigeとポルカドットスティングレイを教えてもらったの。そうしたら聴いたことある曲もあって、“いいなぁ~、そんなところとも繋がりあるんやぁ~”って思って羨ましかった。

SCANDAL/RINA(Dr) 撮影=上山陽介

――そうだね、SCANDALはバンドの成り立ちが他のバンドとは少し違うところから始まっているからね。

RINA:そう。私たちはダンススクールで結成して、ダンスのカルチャーの中からバンドのカルチャーの中に飛び込んで、ちょっとずつバンドになっていったバンドだったから、始まり方がちょっと逆転してる感じだけど、ずっとミュージシャンのハートを持って音楽をやり続けてきたつもりではあって。だから、その始まりが武器でもあり、コンプレックスでもあったんですよね、ミュージシャン仲間がなかなか出来ないことであったり、バンドならではの、“このライブハウスで育って来た”っていうのもなかったから。そういうのがあるthe peggiesのことは、すごく羨ましいなって思う。SCANDALはずっと孤独だったから。

ゆうほ:RINAちゃんからそういう話聞くのが、また私にとってはすごく刺激的なんです。そういうバンドを他に知らないから。すごく素敵だし、魅力的に感じるんです。コンプレックスっておっしゃってますけど、“本人はそんな風に思っているんだ……”って。私たちは、そんなことまったく思わずに、最初からバンドだと思って聴いて来たし、見て来たから。その感じ方の違いというのにはビックリしたんです。でも、そのお話を聞いてから、また本当の意味ですごく驚いたというか。

――本人たちにしか分からないところや見えないものってあるからね。

ゆうほ:本当にそうですよね。なんかジーンとしちゃったんです。本当に改めて尊敬出来たし。

RINA:いやいや、こっちこそ、the peggiesはデビュー前のインディーズ時代からフェスとかに呼ばれるってすごいな! って本当に尊敬する。カッコイイ。音楽雑誌にも、自分たちは何年もかかって、やっと出れたけど、the peggiesはちゃんと需要があって、最初から載れてたりするし、本当にすごいなって思うし、そういう始まり方が出来るバンドってすごくいいなって、羨ましい。でも、自分たちも10年やってきて、そこに交われていることも、すごく嬉しく思ってるし、そこに自信と誇りを持ってる。だからね、こうやって今、カッコイイ後輩バンドが出来たことが嬉しくて仕方ないし、誇らしいんですよね。

ゆうほ:そんな風に思ってもらえるなんて、本当に嬉しい。私たちにとっては、SCANDALは本当に憧れだから。初めて一緒にご飯に行ってもらった時に、一緒に写真撮ってもらってTwitterにアップしたら、女友達のバンドマンのドラマーの子から“ちょっと待って! なんで? なんで一緒に写ってるの!? なんで一緒にご飯とか食べに行ってんの!?”って電話かかってきたんですよ! その子もRINAちゃんに憧れてドラム始めた子だから、めちゃめちゃ興奮してて(笑)。私もずっと長い友達なんですけど、そんな話を改めてしたことがなかったから、RINAちゃんに憧れてたことを知らなかったから“そうなの!?”って話になったんです。

RINA:マジで!? それはめっちゃ嬉しい~!

ゆうほ:絶景クジラのサンキューまじまなんですけど。

RINA:え!? ホント!? 嬉しい! 曲聴いてるよ、絶景クジラ! めっちゃ嬉しい!

ゆうほ:だから、私たちの中でSCANDALは、最初からバンドなんです。当たり前のことというか。純粋に憧れてましたからね。バンドとしてももちろん、4人が一人ひとりの魅力を放っているところもすごい。ライブ中、誰を見てても本当に楽しいから。

RINA:メンバーにちゃんと伝えておきます! ありがとう。

ゆうほ:プレイも本当にすごいなって思うし、ダンスをやってたから、動きが全然違うんですよ。

RINA:違う?

ゆうほ:うん、全然違う! 普通に足をパッって上げただけでも、“速いっ!”って思うし、本当にそれだけでカッコイイ。

ガールズバンドって、敢えて女の子らしさを出さないのがスタンダードになってる気がするけど、せっかく女の子なんだし、女の子らしくてもいいんじゃない? って思うんです。(ゆうほ)――自分たちがコンプレックスに感じていたところを、魅力に感じてもらえてたって嬉しいことでもあるよね。コンプレックスを感じていた、その頃の自分に教えてあげたいよね。

RINA:ホントにそうやなぁ。今、本当にバンドやってて楽しいと思えてるからね。当時モヤモヤしていた自分たちの気持ちも、今の自分たちがちゃんと理解出来るというか。“あぁ、あのとき変に尖ってたな”とか、自分で自分の周りにバリア張ってたなとか、反省する部分もたくさんあるんですけど。そこを乗り越えて来たからこそ、今、いろんなバンドと交われているんだなって思うし。SCANDALは、キャリアを重ねて分かってもらえるバンドなんだなって思ってますね。

――誤解や疑ってかかるような見られ方をしてきたバンドでもあったからね、SCANDALは。でも、そこがあったからこそ強くなれたバンドでもあると思うからね。

RINA:うん。本当にそうだと思う。そういうシーンから出て来れたからこそ、お客さんもバンドのお客さんだけじゃないから。ダンス好きなお客さんもいるし、アイドル好きなお客さんもいるし、バンドを好きなお客さんもいるし。お客さんもミクスチャーな気がする。SCANDALというバンドのジャンルも、ただのロックではないと思うし。SCANDAL流のロックを探しながら、開拓しながらやってきたバンドでもあったと思うし。だからこそ、いろんな接点や入り口になれてたのかなって思うと、嬉しいですね。逆に、こうやって、ゆうほちゃんみたいに、ずっとバンドシーンで頑張ってる人たちに言われると、本当に嬉しい。

ゆうほ:可愛い女の子がバンドをやってるって、いっぱいいるのかもしれないけど、そういう中でSCANDALはやっぱりトップだと思うし、SCANDALはガールズバンドだからこそ出来ることをやっているバンドだと思う。女の子バンドって、女の子であることを敢えて出さないようにしてきてる人たちが多い気がするんですよ。やっぱりバンドって男社会だと思うし、バンドを観に来てる女のお客さんとかは曲のファンももちろんだけど、バンドメンバーのファンという人も多かったりするから、そこでガールズバンドが一緒に出るということの難しさってすごくあるんですよ。だから、必要以上に嫌悪感を持たれていたらどうしようって思っちゃう。純粋にいいなと思って見てくれてると思うけど、どうしても不安になっちゃったりもして。だからこそ、ガールズバンドって、敢えて女の子らしさを出さないっていうのがスタンダードになってる気がしていて。でも、せっかく女の子なんだし、女の子らしくてもいいんじゃない? って思う様になって。せっかくの武器なんだし。女の子っていうのを出した上で、女の子のファンがついてくれるのが1番理想的だなって思うんです。変に嘘付いて、結局女の子のファンがまったくつきませんでしたっていうのより、100%21歳の女子を出した上で女の子のファンがついてくれたらいいなって思ってるんです。もちろん、男の子も。でも、なんかやっぱり正直、意外と難しいところではあるんです。“自分たちはバンドなんだよ”っていうことを伝えることって、すっごく難しかったりするんです。私たちもヴィジュアルとか、ミュージックビデオの魅せ方とか、いろんなバランスで悩んだりしてるから、そういう意味ではSCANDALが昔抱えていた悩みっていうのは、すごく分かります。

RINA:そうなんやね。

ゆうほ:でも、SCANDALは、バンドでありながら、ちゃんと女の子らしさを武器に出来てるバンドになれてるから、本当にすごいって思うんです。そんなことどうやったら出来るの!? って思っちゃう。

RINA:嬉しいなぁ、そんなふうに思ってもらえるなんて、本当に嬉しい(しみじみ)。でもね、私も女子であることを出していこうと積極的に思っている訳ではないんだけど、やっぱりどうしたって女性だし、ドラマーでもあるけど、女の子としてヘアメイクやファッションも好きだからね、それを自然とやってるだけで。最近はインスタとかあるから、ミュージシャンが音楽以外のことを発信することに噛み付いてくる人もどんどん減ってきてると思うんだけど、私たちはTwitterが出来て間もない頃からやり始めたから、最初の方は、そこに上げる写真に対して、“なんでロックだとかバンドとか言いながら、ネイルしてんの!?”って言われたりとかもしたのね。そういう小さなことに、すごく尖った言葉を言われることもすごく多かったし。でもね、逆にちゃんとそんな細かいとこまで見てるんだなって思ったんですよね。そこで、私は、“そういうバンドマン1人くらいはいても良くない?”って思って続けてきた結果、ゆうほちゃんが今言ってくれた様なところに繋がっていったんだと思う。ガールズバンドがライブハウス界隈で、女子であることを出しながらロックするということを避けてるというところは、アイドル視されたくない、音楽を真っ直ぐやってないって見られたくないってとこだと思うんですけど、ミュージシャンにとって色気だったりアイドル性って、音楽と同じくらい大切なことだと思うんですよ。そういうところもちゃんと磨いて、見ても楽しいし、聴いててもすごく楽しいっていうバンドになりたいっていうのが、SCANDALの4人の音楽に対する考え方なんです。それをずっと続けてきて、それを“それ楽しいね!”って思ってくれる人が増えてくれたり、同じ考えを持ったバンドが増えてくれたっていう現象が起こっているのが、10年越しの今かなって思うんですよね。最初はめちゃくちゃいろんなことを言われたけど、好きなことをやるというのが、ミュージシャンとしてまず大前提であると思うから。好きなことをやる。自由でいる。それがカッコイイと思うから。それを大切にしてるバンドなのかなって思いますね、SCANDALは。

――やっぱり実際に自分が歩いてきた道だからこそ、話せることでもあるよね。でも、ネイルとかまでそんなこと言われたりしてたの?

RINA:そう。

ゆうほ:自分の写真を乗せるだけでも、いろいろと言われたりしますからね。

――そうなの!?

ゆうほ:そうなんです。“可愛いと思われるためにバンドやってんの?”って言われたりとかもするし。まぁ、でも、そう言いたくなる気持ちも分かるんですけどね。

RINA:うん。その全部の気持ちが分かるけどね(笑)。そう言いたくなる気持ちや、意見もすごく分かるんですよ。たしかに、チャラチャラして見えるよなって。でも、自分たちがいいって思ったことを堂々とやる、これが1番なんだと私は思う。ガールズバンドの成功の道とか、たしかにいままでも、SHOW-YAやPRINCESS PRINCESSやチャットモンチーというガールズバンドの大先輩もいるけど、ここから先は、まだ道なき道をどんどんと切り開かなくちゃいけないと思っているんです。いろんなことにチャレンジしてみて、何かを得て、また考えて、っていうのを、ライブでも曲でも魅せ方でも、挑戦を見せていかないといけないなって思ってるんですよね。まだ正解というものがないと思うから。見てくれる人たちに、どういうサプライズを届けようかっていうことは、常に考えてる。そこにお手本というものがないから。どういう曲を作って、どういう衣装を着て、何をどうやれば成功出来るかっていうのが分からないから、これは面白いんじゃないかってことをみんなで作って、ステージでチャレンジし続けていく。それしかないから。リスキーな部分でもあると思うけど、それこそがガールズバンドの楽しさでもあると思うんですよね。

ゆうほ:たしかに。みんなの期待とか予想を壊したときの快感はありますよね。“どうだ!”みたいな(笑)。

RINA:聴いたこと無い曲だな! とか、見たことも無いような服着てるな! とか、どんどんそういうことやっていけるのが、ガールズバンドの楽しみ方でもあると思う。

――やるべきことが疎かになっていたら話にならないけど、そこだってちゃんと個性的であるし、そこからのプラスαは、好きなことやっていいでしょ! ってところだよね。“こうでなくちゃいけない”は無い世界だから。

RINA:そう。本当にね。とにかく道のないところを進んでいかなくちゃいけないから。

――SCANDALは現代のガールズバンドシーンの走りでもあったと思うからね。でも、またthe peggiesとか後輩バンドは、そこと同じことは出来ないという難しさもあるからね。

ゆうほ:本当にそうなんですよね。

――SHOW-YAやPRINCESS PRINCESSの時代にも、いろいろな偏見はあったって、前に対談をしたときに話してもらったの。本当にいろんな葛藤があったって。

RINA:寺田(恵子)さんや(岸谷)香さんにも本当に可愛がってもらっているんですけど、私もお話しさせてもらったときに、バチバチだし、めちゃくちゃ仲良いし、リスペクトがあるってお聞きして、すごく羨ましい関係性やなって思ったんです。それも、“ガールズバンド”としての絆でもあるのかなって。

――ガールズバンドって、ハンディとなる部分もすごく多いと思うけど、その分、すごく楽しめる部分も多いのかもね。

ゆうほ:本当にそうだと思います。女子を武器にするというところではなく、自然体でいいのかなって思います。RINAちゃんを始め、いろんな人とガールズバンドについて話したりする中で、自分が気付けたところでもあったと思います。わりと私も、自分が何を見てほしいのか、何を見せたいのか、どうしたらいいのかが分からなくて模索していたから、自分の中でもどうしたいのかわかなくなっちゃったりもしてて。それに、時代的に私たちの時は最初からTwitterとかSNSが普及していたので、聴いてくれる人たちとの距離感もどうとったらいいかわからなくて。SNSの使い方も分からなかったというか。

――でもそっか。時代の流れというのも大きな変化なのかもしれないね。発信の仕方は大きく違っただろうから。

ゆうほ:そうなんですよ。私も変に最初の方は、黄昏れた自撮りを上げちゃってたから(笑)。

RINA:いや、でもそういうのお客さんは嬉しいんじゃない?

ゆうほ:いやいやいや。自分で撮ってた自撮りの写真を見返してたら、間違えてTwitterにアップしちゃったんですよ(笑)。それを皮切りにいろいろとアップするようになって、それに対しての反応とかが嬉しくて。なんだかんだいってやっぱり女子だから“可愛い”とか言われると嬉しくて(笑)。

RINA:正直でいいね!(笑)

ゆうほ:そういう時代もあったんですけど、その頃のイメージでいまだに見られることが多くて、私1人が前に出て、“可愛いって思われたくてやってるバンド”って思われてたりもするんで、その過去は消し去りたいんですよ(笑)。

RINA:あははは。そこはもう諦めて、この先頑張って塗り替えていくしかないね(笑)。積み重ねだから(笑)。

――あははは。説得力あるな(笑)。

RINA:でしょ(笑)。最近はゆうほちゃん、お寿司とかオムライスの写真とかアップしてるもんな(笑)。

ゆうほ:そうなんです(笑)。一時期、本当に過去をすべて消し去りたかったですからね(笑)。でも、RINAちゃんがさっき言ってたみたいに、私もメイクも洋服も好きだから、自然にしてたらいいんだなって思えるようになったんです。

the peggies/北澤ゆうほ(Vo&G)、SCANDAL/RINA(Dr) 撮影=上山陽介

RINA:これからは、すごく自由で楽しい時代に突入するなって思うけどね。私は個人的にゆうほちゃんの“黄昏の自撮り”好きだけどな(笑)。楽しみにしてたもん!

ゆうほ:いやいやいや、“黄昏の自撮り”は卒業しました、大人になったので(笑)。

RINA:あははは。

ゆうほ:SCANDALがデビューした頃は、ガールズバンドがあんまりいなかったことでの苦労もあったと思うんですけど、最近、ガールズバンドってすごく多いじゃないですか。それって、仲間も増えてすごく嬉しいんですけど、聴いてくれる人たちの中で、ガールズバンドの席が1つしかないっていうのを感じることもあるんですよ。

RINA:どういうこと?

ゆうほ:いろんなバンドが好きだけど、ガールズバンドはこのバンドしか好きじゃない、みたいな。

RINA:なるほどね。

ゆうほ:ガールズバンドと対バンするのはすごく好きで、私的にすごくワクワクするんですけど、共存するのがすごく難しいなって思うんです。

RINA:なるほどね。そうか、そういう感じもあるんやね。いろいろと思うところはあるよね。

the peggies/北澤ゆうほ(Vo&G)、SCANDAL/RINA(Dr) 撮影=上山陽介

――ゆうほちゃんからRINAちゃんに質問したいことってある?

ゆうほ:SCANDALって4人めっちゃ仲良いけど、仲良く続ける秘訣みたいなのってあるんですか?

RINA:私たちは同級生でもないし、歳も性格も好きなものも全く違うんやけど、みんな嫌いなものがないというか、すごく好奇心旺盛だから、あんまりぶつかることもない奇跡的な組み合わせで、ずっと10年間じゃれあってきた4人なのね。それぞれがリスペクトし合えてる関係っていうのかな。本当に奇跡だなって思う。メンバーのことを尊敬してるからね。そういうところなんじゃないかなって思う。

ゆうほ:喧嘩することってあるんですか?

RINA:喧嘩はするよ。映画にもなってるけど、ワールドツアーのときにライブ前にぶつかって、雰囲気悪くなって喧嘩して言い合ったこともあるしね。10年間一緒に共に活動してるから喧嘩もある。でも、それで相手のことを嫌いになったりはしないし、みんな自分が1番ダサイからこうやって喧嘩になったんだ、って思ってる。自分が変わろうって思ってるんだよね。だからね、“もっと新しく、いい明日に行こう!”っていうマインドの曲がSCANDALの曲のベースにはあるんだと思う。この4人で良かったなって、4人とも同じことを思っていると思うよ。

ゆうほ:すごいな。私たちは中学の頃からずっと一緒だから、めっちゃ泣きながら電話で喧嘩したりもしたんですよ。“みくに腹が立ち過ぎて、携帯をへし折ったので、パソコンからメールしています!”っていうメール送ったりしたこともあったし。

RINA:そうなんや! そういう喧嘩はしたことないなぁ。

ゆうほ:もう子供の頃の話なんですけど、子供の頃は感情のコントロールが上手く出来ないというのもあって、正面から不器用にぶつかっちゃうんです。そんなのを何回も何回も繰り返して来たから、お互いのことがすごく分かってたりするんです。だから今は、言葉はなくして、“そういうとこあるけど、ま、大丈夫大丈夫”って感じになってるんですよね。

RINA:そうなんやね。SCANDALは、インディーズの頃も“なんで何回やっても上手くならへんのやろ?”って思って、大阪のスタジオをハシゴしたりしてたな。4人でその後銭湯に行って、合宿所で寝て、みたいな。そんな感じやったから、そこまで大きくぶつかったことがないというかね。みんなのダメなとこもいいとこも全部知ってるから、人としてほんまに大好きなの。家族化してきてるからね。なんでも話すからね。曲作りの段階とかでもめたりはしないの?

ゆうほ:それはないですね。2人が私の作ってくるものに対して、私が迷わないようにすごく上手に接してくれているので。2人共、“ゆうほの作るものがthe peggiesだから”って言ってくれてるんですよ。

RINA:その信頼関係もすごいな。そういう意味でガールズバンドって、2種類あると思う。the peggiesは男性バンドみたいな王道感があるというか。ゆうほちゃんというカリスマ感のあるソングライターがいて、その核を2人がしっかりと支えているっていうね。SCANDALは4人が1列で平等なバンドだから。リーダーはHARUNAなんだけど、4人で1つ最強のものを作るっていうスタイルだからね。

ゆうほ:そうですね。そういう意味ではメンバーのことは、私もすごく尊敬してますね。本当にずっとこの3人でやっていきたいねって、話しているし、SCANDALみたいにずっと長く続く最強のガールズバンドになっていけたらいいなって思ってます。

RINA:the peggiesはすごく素敵なバンドだと思うよ、本当に。デビュー曲「ドリーミージャーニー」(5月10日発売)も最高だもんね!

ゆうほ:嬉しいです! 本当にそんなこと言われたら、泣きそうになる。本当にありがとうございます!

RINA:ゆうほちゃんの書く歌詞はファンタジーでもあり、カッコ可愛い世界観が、私は本当に好きだから。SCANDALには出来ないことが出来るバンドだから、誰にも出せない“the peggiesロック”を作り上げてほしいなって思いますね。何にも似てないバンドになることが、1番大事だと思うから。

ゆうほ:いつもいいアドバイス貰ってて本当に嬉しいです、いつか恩返しが出来るように頑張ります!

――素敵な関係だね、RINAちゃんとゆうほちゃんも。

RINA:素敵な先輩になれたらいいなって思う。先輩っていうか、仲間だね。

ゆうほ:そういうとこも全部尊敬できます。本当になんでも相談できるし、なんでも話せる人だから。

RINA:あははは。そういえば、最近相談されたのは、“テレビに映るときは、どうやったらいいですか?”ってことだったもんね(笑)。でも、最初しか出せない初期衝動みたいな勢いって本当にすごいと思うから、そのままでいいんだと思うよって言ったんだけど、本当にちょうどSCANDALが最初にテレビ出演した頃の話をスタッフとしてたばかりだったからね。本当に酷かったって(笑)。やり逃げだったっていう(笑)。見た人が、その下手くそさに“なんかヤバイモノ見たぞ!”みたいなインパクトを残すというかね。それで良かったんだって。でも、the peggiesは上手いから、ヤバくはないと思うし、何も心配することないよって。

ゆうほ:そう言ってもらったんですけど、やっぱり不安だらけで。あぁ~、もぉ話終んない(笑)。まだまだいっぱい話したいことあるし、いっぱい聞きたいことある~っ!

――あははは。このままずっと永遠に続きそうだね、この対談(笑)。

RINA:そう(笑)。きっと放っておいたら、朝まで話しちゃうよ(笑)。

――じゃあこのへんで(笑)。

ゆうほ:はい(笑)。

RINA:じゃぁ、この続きはまたご飯でだね(笑)。

ゆうほ:はい! また一緒にご飯行って下さい。本当に今日はありがとうございました!

取材・文=武市尚子 撮影=上山陽介

the peggies/北澤ゆうほ(Vo&G)、SCANDAL/RINA(Dr) 撮影=上山陽介

the peggies情報Debut Single「ドリーミージャーニー」the peggies 通常盤

2017年5月10日発売
【初回生産限定盤】 ESCL-4844~4845 ¥1,389(税抜)
[CD]
1.ドリーミージャーニー
2.ちゅるりらサマフィッシュ
[DVD]
ドリーミージャーニー Music Video

【通常盤】(初回仕様) ESCL-4846 ¥972(税抜)
[CD]
1.ドリーミージャーニー
2.ちゅるりらサマフィッシュ

「ドリーミージャーニー」発売記念フリーライブイベント
5月10日(水) 19:00~@東京都:タワーレコード渋谷B1F CUTUP STUDIO
5月13日(土) 17:00~@大阪府:LIVE HOUSE バナナホール
詳細はコチラhttp://thepeggies.jp/news/archive/?480773the peggies ドリーミージャーニーツアー 2017
~野生のペギーズが現れた!!!~
6月3日(土) 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
6月7日(水) 広島 CAVE-BE ※ゲストあり
6月8日(木) 福岡 Queblick
6月10日(土) 大阪 JANUS
6月11日(日) 名古屋 JAMMIN'
6月17日(土) 恵比寿 LIQUIDROOM
<TICKETS>
オールスタンディング ¥3,300 (ドリンク代別)
一般発売受付中
※枚数制限: お1人様4枚まで
※受付には、チケット販売会社e+(イープラス)のプレオーダーシステム(抽選制)を利用いたします。
 

SCANDAL情報BEST ALBUM『SCANDAL』SCANDAL 通常盤

発売中
【完全生産限定盤】CD2枚組+ Candy Stripper×SCANDAL Tシャツ
ESCL-4810~ESCL-4812 ¥6,000(税抜)
【初回生産限定盤】CD2枚組+DVD
ESCL-4813~ESCL-4815 ¥4,200(税抜)
DVD内容:SCANDAL TOUR 2016 “YELLOW” IN EUROPE ROAD MOVIE
【通常盤】(初回仕様)CD2枚組
ESCL-4816~ESCL-4817 ¥3,500(税抜)SCANDAL TOUR 2017『SCANDALの47都道府県ツアー』
3月11日(土)熊本 B.9 V1~7月17日(月・祝)豊洲PIT
※詳細日程はオフィシャルサイトへ http://www.scandal-4.com/ 

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着