総選挙16位、AKB48・梅田彩佳の選抜
入りに至る舞台裏を振り返る

”うめちゃん”の愛称で親しまれる梅田彩佳（23）が、6日に日本武道館で行われたAKB48第4回選抜総選挙で2万4522票を獲得、16位に輝き選抜入りを果たした。梅田はその喜びを、自身のブログに「震えが止まらなかった。幸せだった。こんなに人って嬉し涙がでるんだって思った」とつづっている。

AKB48は、本当に大きくなった。総選挙も4回を数え、地上波での生中継はじめ壮大なイベントとなった。でも、AKB48を支えているのは、そんな派手な面ばかりではない。梅田がステージで幸せに打ち震える姿を見ながら、私は、1年少し前の、ある忘れられないシーンを思い浮かべていた。

2011年3月29日、梅田彩佳は東京タワーにいた。2年間に渡った東京タワーイメージガール最後のおつとめとして、インターFM公開生放送に臨んだのだ。大展望台1Fの特設ステージ。Club333 Night View DJとして毎週金曜の夜、梅田がDJをつとめた場所。

私はこの日の梅田をどうしても取材したくて、駆けつけた。なぜなら、そこにAKB48の本質があると感じたからだ。イメージガールに着任した際には、たくさんの報道陣が発表会を取材に来たけれど、最後の日は表立って注目されない。でも、そんなところにこそ、秋葉原の小さな劇場からひとつひとつ積み重ねてきたAKB48の本質が、原点が、あるはずだ。それを、この目で見届けたかったのだ。

泣いても笑ってもこれが最後の1時間。梅田は1秒1秒をいとおしむように、泣いたり笑ったり、そしてまた泣いたりした。でも、じめじめした雰囲気はない。福岡から来た女の子が、AKB48のメンバーになって、たくさんのファンの応援を受けながら、2年におよんだ大仕事をやり遂げた。静かで、あたたかな感動があった。

すべてを終え、たくさんの拍手に包まれて、花束とともに控え室に戻ってきた梅田は、インタビュー前、「最後の日に取材に来てくださって本当にありがとうございます」と言ってくれた。こちらが声をかけるより先に、感謝の言葉をかけられてしまう。それより以前のインタビューの時も、そうだった。人の気持ちを察することができる。ファンの応援の尊さも、十分すぎるほど感じているはずだ。

2年間を振り返り、さまざまなイベント出演やラジオ番組でのインフォメーションはもちろん、毎週金曜にDJをやったことが大きな思い出になったという梅田。最初はお客さんが2〜3人の時もあったそうだが、ファンがファンを連れてきたり、次第に人数が増えていった。「そういうファンの皆さんの交流を近くで見れたのも嬉しかった。本当、人の温かみにすごくふれましたね」
東京の夜景に囲まれた展望台。曲をリクエストし、その場でプロポーズするカップルもいたという。「人の幸せな場面を見る機会がこの2年間、多かった。そういう場面に立ち会うことがいっぱいできて、心がとても豊かになりました」

梅田の口からは幾度となく「人の温かみ」「人の幸せ」といった言葉が飛び出した。AKB48の仕事を通して、ファンをはじめさまざまな人々とのふれあいを大事にしている、その気持ちが伝わってきた。

梅田は、初めて東京タワーを間近で見たとき、「私、小さいな。いろんなことに悩みすぎてたな」と思ったそうだ。そんな梅田が、ファンとともに、だんだん大きくなって、夢に近づいていく。

太陽の光はまぶしすぎてあまりよく見れなくても、太陽の光が照らしてくれる景色はよく見ることができる。総選挙の派手な表舞台の裏にこそ、AKB48の真実がある。


文・志和浩司
写真：芸能！裏チャンネル
アイドルサイトIDOOOLにて『志和浩司のアイドル・スープレックス！』連載中
（i.listen.jp/st/sp/sp/idoool/column.html）