心も盤も摩擦あるものが芸術、Brian
the Sun 新譜がその一歩に

昨年6月にメジャーデビューしたBrian the Sun、1stアルバム『パトスとエートス』はアルバムの意味を考えさせられる1枚

 昨年6月にメジャーデビューした4人組ロックバンドのBrian the Sunが1月11日に、1stメジャーアルバム『パトスとエートス』をリリースする。森良太(Vo.Gt)と白山治輝(Ba)が2007年に結成。メンバーチェンジを経て小川真司(Gt)と田中駿汰(Dr)が加わり2011年に現体制となった。「自身で出来ることは自分たちで」というスタンスで活動し、昨年には満を持してシングル「HEROES」でメジャーデビューした。バンド結成から、ニューアルバムの制作秘話、サウンドに対するこだわりなどについて話を聞いた。

身の丈に合った選択

――今年結成10周年です。じっくりと時間をかけてメジャーに立ったという印象です。

森良太 僕らは高校の頃から顔見知りでした。9年前、白山と2人で組んで始めたのがBrian the Sunです。その5年後に小川と田中に入ってもらい今の形に。基本的には僕が曲と歌詞を書いて、それを皆が受けてアレンジをして音楽を作っていくという感じです。

 僕の思想がけっこう全面に出ているので、活動やライブのやり方が曲とかけ離れているとおかしくなってくるんです。だからずっとインディーズシーンにいたというのは、僕らの考えとしては飛躍した事をやりたくないというか、辻褄が合わない事をやりたくないというのがあったんです。おいしい話が来ました、という感じになっても「果たして自分達にその実力が伴っているのか?」という事を考えてしまうんです。

――手堅いといいますか、真面目ですね。普通はメジャーの話が来たらすぐに乗りそうですが。

白山治輝 生真面目過ぎるバンドです(笑)

森良太 なかなか軽いノリではいけなくて、段階があるという事を大事にしてきたんです。それでこのタイミングという感じです。

――メジャーが嫌いとか、そういった事ではなかった?

森良太 自分達の音楽が出来るのであれば、どっちでもいいなという感じではあります。結局まわりの人次第というか「この人と一緒にやりたい」という人が現れない限りはそんなに…。

白山治輝 僕らが高校の頃は、レコード会社があって、音楽事務所があって、イベンターがいてと、それぞれが独立していて「デビューしなきゃ!」という空気があったと思うんですけど、このメンバーで葛藤をし始めた5年くらい前は、その境目が無くなってきた時期でもありまして。事務所とレーベルを立ち上げたから「インディーズでも大丈夫でした」という身近な成功例も聞いたりしていたんです。だから、あまりこだわらなかったですね。

――そういった思いでこの9年間を過ごしてきた?

森良太 今となっては出来る事が多過ぎるのもまた微妙な話だなと思うようになりましたけど、当時は出来る事はなんでも自分達でやりたいなとは思っていました。

――ところで「Brian the Sun」というバンド名の由来は?

白山治輝 高校2年の頃に、ライブ活動をするために良太と2人でメールのやりとりをしながら「こんなのどう?」みたいに考えていたんです。“Brian”は、Arctic Monkeysがその時に出した2ndアルバムのリードトラック「Brianstorm」から頂いて、なぜか分からないけどその後に僕が“Sun”って付けたんです。

――“Sun”は謎なんですね(笑)

白山治輝 そうなんです。それで僕が「Brian the Sunってどう?」と聞いた時に、良太的には次のライブが迫ってきてそろそろマズいという事で、「いいんじゃない?」という事で。

――わりと見切り発車的な?

白山治輝 そうですね(笑)。だからバンド名に対して意味は無いんですよね…。

――意味を後付けしようと思った事は?

白山治輝 何回かはあるんですけどね…。あまり良くなくて(笑)。

――Arctic Monkeysの「Brianstorm」から取ったという事実はあったんですね。

白山治輝 そこだけはそうですね。“Brian”は人の名前なんですよ。ただ、日本だったらいいんですけど、海外でライブをする時にはすごく恥ずかしいなとも…。外国人が変な日本語が書いてある服を着ているみたいな、そういう感じにならないかなと(笑)。

人との関係性がメジャーを後押しに

――メジャーデビューの決定打は何でしたか?

森良太 今のレーベルの人達と会った時に「一緒にやりたいな」と思って、それが大きいです。インディーズの頃から何度も観に来てくれて。決め手は「人が良かった」という点です。

――メジャーデビューして半年が過ぎましたが思うところは?

森良太 今の所は最高です。ライブをやっても、「あそこはああした方がいいんじゃない?」や「この曲、もっとパンチ出して分かりやすくならない?」「もっと時代感をさあ」とか言われたことが無かったので。メジャーデビューしてからのそういう感じは僕らにとって珍しくて。すごく信頼されているのだなと思って、じゃあ頑張らないととも。

――1st「HEROES」、2nd「Maybe」とコンスタントに出してこられましたが、自分達が「これで行きたい」という方向性を提示してシングルになった?

森良太 そうですね。「HEROES」に関しては、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマとして「コンペに出すから」と言っていたんです。それで何曲か出したんですけど、どの曲もやりたくないという曲は出さない訳なんですよ。「そもそもこういう方向性で行きたい」というものを何曲か出したんです。それで採用してもらったのが「HEROES」で。一点の曇りもなく出した曲なので、後から「ここ変えて」というような事は無かったんです。

――コンペに出した他の曲はニューアルバムにも収録されている?

森良太 入っていません。もうボツです。

――潔いというか、いずれまた発表される可能性は?

森良太 無いです。墓まで持って行きます(笑)。

――そのあたりはシビアですね。人付き合いもそうだったり(笑)?

森良太 いやいや全然(笑)。同じテーマで書く訳なので、その中では「HEROS」が一番強かったという。だから他のは“肥やし”です。

――メジャーデビューして、感動した事や心情の変化をお聞きしたいです。

森良太 アニメとのコラボという事を初めてやらせて頂いたんですけど、僕らも子供の頃に観たアニメなどは今でも覚えているし、そういう事に関われたという事が感動的ですね。それがTVで放送されて子供から大人まで色んな方々に届いたという事は、やらせてもらって初めて分かる事だし、そこが一番感動的でした。

白山治輝 メジャーデビューさせてもらって、自分より家族が喜んでくれているので良かったなと思います。「メジャーデビュー」というのは世間にとって分かりやすい。父がFacebookで僕らの事を凄い勢いで書き始めたり。

小川真司 インディーズの最後のレコ初ライブでメジャーデビューを発表した時に、みんな凄く喜んでくれたんですよ。

白山治輝 僕らもメジャーデビューしたいと言った訳でもないし、逆にインディーズにこだわっている訳でも無かったんですけど、インディーズが長いぶんそこにこだわっていると思っていた方もいたんです。だから「メジャーデビューします」と言って必ずしも祝福されるとは思っていなかったんです。

――意外な反応だった?

森良太 みんなを「喜ばせるぞ!」という発表ではなかったのでボソっと言って発表したのに、反応が大きかったのであれは良い思い出ですね。

田中駿汰 やっぱり友達とか親戚とか家族とかが、「アニメの曲やってんの?」という事で喜んでくれたり、甥っ子が「HEROES」がTVで流れている時に踊っていたのが嬉しかったですね。喜んで踊っている画像が姉から送られてきて、そういうのが嬉しかったですね。

意味を知った時にすごくしっくりきた

――今作『パトスとエートス』のタイトルの由来は?

森良太 感情の揺れ動く様や瞬間を「パトス」と呼んでいて、「エートス」は性格や性質という意味で使われる事が多いんです。そもそもは、帰る場所、帰属する場所、長く続くもの、そういう意味があるんです。バンドをやっている事自体が「パトス」、衝動の塊であって、どこかで「エートス」出来ない自分もいるんです。みんな、全人類がそうだと思うんですけど。この「パトス、エートス」という言葉の意味を知った時に凄くしっくりきたんです。

――昔から温めていた言葉だったのでしょうか?

森良太 いえ、そんな事もないですね。ここ1年くらいで知った言葉なんです。アルバムが出た今は「パトス」なんですけど、ずっと先に振り返った時に「エートス」になるという訳なんです。おそらく、そうなっているんだろうなと思います。

――「パトス」という言葉はアルバムを通しても何度か出てきますね。1曲目「Impromptu」でも出てきます。1曲目をミディアムな「Impromptu」した意図は?

森良太 ドラムロールから始まるし、自分の中で1曲目っぽいというのもあります。1曲目からバーンと上がっていく曲調でアルバムが始まるのもカッコいいと思うんですけど、もうちょっと情緒、色気があると良いなと思いまして。この曲に関しては3曲目の「パトスとエートス」と対比になっているんです。

 そもそも、アルバムの作り方自体を「パトス」サイドの曲と「エートス」サイドの曲で作りたいという思いがあったんです。「パトスとエートス」という曲は「パトス」サイドなんです。そういう風な曲の作り方をしていった上で、1曲目に「Impromptu」を置くのはすごく座りが良くて。

――1曲目はプロローグ的な感じですね。

森良太 そうですね。やはりアルバムって、僕らはまだ頭から最後まで続けて聴いていた世代なので、ちゃんと物語性が欲しいなと。

――アルバムを通して起承転結がある事が望ましいと。

森良太 やはり作品なのでそれが無いと、と思います。

――では曲順もかなり悩んだ?

森良太 ちゃんと考えました。

一発録りの「月の子供」

――作曲はどの楽器で?

森良太 僕はアコギが多いですね。曲が先で歌詞が後です。アコギと歌を録音したものにドラムを打ち込んで、ベースを弾いて、エレキギターのバッキングを重ねてリードを重ねて。何となくこういう雰囲気ですという所まで作る事が多いです。このアルバムに関してはわりとそういった感じが多かったです。

――制作で苦労した点は?

森良太 録り方で面白いのは11曲目の「月の子供」です。全員で一発録りをしたんです。修正は出来ないライブ録音ですね。

白山治輝 クリックも出さないし、歌も直せないし、誰かがミスったらその時点でやり直し。

――何テイクぐらいでOKは出ましたか?

白山治輝 5〜6回くらいです。歌も同時なので、そんなにテイク数を重ねる訳にもいかなかったんです。

森良太 曲の尺がまた長いんです(笑)。

――6分くらいありますよね。

森良太 「ピアノをミスったらどうしよう」と思っていて、最後の1音をミスった事もありました。最後落ちていくフレーズのラストで「ピーン!(不協和音)」って(笑)。

白山治輝 この曲に関しては良太の負担が圧倒的に大きかったので。

小川真司 僕らの方がやらかしたらってね。

白山治輝 逆に僕ら楽器隊がミスったら、「お前ら分かってんだろうな?」という感じでしたから(笑)。

田中駿汰 楽器隊の3人は何とか、プレッシャーの中で。

――この曲は緊張感も感じ取ってもらいたいという所もありそうですね(笑)

森良太 そうですね。是非、最後の1音まで。

――他の曲も基本的に歌とリードギター以外は一発録り?

白山治輝 曲によってですね。ベース、ドラム、バッキングギターまではなるべく一発録りにしてました。あと、今回はリードギターも一発録りに参加している曲が5曲くらいあったんです。

――ギターソロ込みで一発録りとはけっこうチャレンジャーですよね。

小川真司 「Physalia」と「Cold Ash」と「Mitsuhide」と「月の子供」は一発で録りました。

――その方が意思疎通がしやすくてグルーヴが生まれるという狙いも?

小川真司 もちろんそうです。

森良太 その方がリアルですよね。完璧に演奏出来たところで、それってそんなに価値が無いと思うんですけど、一発でその時にしか録れないものって、僕はけっこう価値があるって思っているんです。

――若くしてその域に達しているとは。普通は完璧な演奏を目指してしまいそうですが。

森良太 確かに、明らかにミスをしていたら妥協でしかないんですけど、ちょっとしたルーズな部分とかピッキングのヨレであったり、そういう所が感じ取れる音源の方が僕は嬉しいんです。「これ一発でみんな鳴らしてるんだ!」という方がロマンがあるんです。一個一個のパートを別々にして録音していって完璧に近づけたいんだったら「打ち込みでいいじゃん」と思うんです。“ロックバンド推し”なので、そういった点はちゃんとやりたいなと。

白山治輝 クリックを出して録音しても、全員で走っている所などもあるんです。それは全員一緒にやらないと出来ないんです。

チューニングが「A = 444Hz」なんです

――「パトスとエートス」は最初からこの曲を表題曲にしようと?

森良太 あれかな、これかな、という事がありつつも自然と固まってきた感じでした。

――必然的に表題曲になったと。演奏が難しそうな曲ですが「パトスとエートス」はアメリカのバンドAt The Drive-InやThe Mars Voltaのような衝動的な感覚を思い浮かべられました。そういった音楽がルーツに?

白山治輝 僕は聴いていました。今年のサマソニで観られなくて凄くショックでした。

森良太 The Mars Voltaは大好きです。

――特にベースはフレーズが複雑ですよね。

白山治輝 Brian the Sunのベースって、ドラムとバチバチ合わせるよりも良太のギターストロークに合わせる事が多いんです。良太の弾き方は結構特殊なんです。

森良太 自分の事過ぎてわからないけどね。

白山治輝 独学の部分があって、コードを鳴らされて「これ、何?」って(笑)

――謎のコードを(笑)和音などを感覚的に捉える所はザ・ビートルズみたいですね。

森良太 光栄です(笑)。

森良太 実は「パトスとエートス」のサビの一発目がビートルズの「Free as a Bird」と同じコード進行なんです。たまたまですが。

――Brian the Sunのバンドサウンドの特色はどこにあると思いますか。

森良太 僕らはチューニングが「A = 440Hz」ではなくて「A = 444Hz」なんです。一般的なチューニングよりも4ヘルツ高いんです。ジョンレノンなどは「A = 438Hz」とかちょっと低めにしたり。昔って街に置いてあるピアノの「A」の音がその街のオーケストラのチューニングだったんです。でも今って440Hzと正確に測れるじゃないですか?そこにあまり面白さを感じなくて、僕らは444Hzにしているんです。

――数値的には微差ですが、感覚的にはけっこう違いますよね。

白山治輝 だから僕らの曲をコピーしようとしている子達が凄くかわいそうで(笑)。「耳コピで合わせられない」という。

――「なんか微妙に違うな?」と(笑)

白山治輝 そうそう。半音下げチューニングの444Hzなので、普通440Hzの半音下げよりもちょっと音程が高いと。

森良太 普通の440Hzの半音下げだとちょっと暗いんですけど、それよりも微妙に明るいんです。

――70年代やそれ以前のバンドはそういう事をしていたと思うのですが、今のバンドはほとんどやりませんよね?

小川真司 滅茶苦茶不便ですからね。444Hzのチューニングのものを送ってこられても(笑)。

――こだわりの点ですね。チューニングは今後変動してくる可能性も?

森良太 4年くらいずっとやっていますからね。どうでしょう?

白山治輝 インディーズでの最初の流通音源の時は普通のチューニングでしたけど。半音下げにしてみたり、レギュラーチューニングに戻してみたり色々試してみた結果これになったんです。

森良太 レギュラーチューニングだと明る過ぎるんです。でも「HEROS」はライブでは1カポ(*編注=キーを変える器具・カポタストをギター1フレットに付ける)の半音下げなんですけど、音源では444Hzのレギュラーチューニングで録ったんです。

白山治輝 楽器のテンション的にも違うんです。

「Mitsuhide」は謀反がテーマです

――「Cloudy #2」はインディーズ時代の楽曲ですが、なぜこのタイミングで再び収録したのでしょうか?

森良太 ずっとどこかに入れたいとは思っていたんですけど、今回良い所にハマったんです。特に思い入れが強いというわけではなくて単純に良い曲だと思っているんです。一緒に作ったのが高校の頃というのは思い入れの一つですね。

白山治輝 10年は前の曲だよね。

森良太 その割には今やっても大丈夫と言うか。

――ではアルバムに収録されている他の曲はここ最近の曲?

森良太 「アイロニックスター」は20歳の頃に書いた曲で、「月の子供」は21歳の頃に書いた曲です。歌詞などを見るとそういった点が感じられると思います。それ意外は最近1年くらいです。

――結構年代はバラバラなんですね。ところで8曲目に収録されている「Mitsuhide」とは明智光秀?

森良太 そう。明智です(笑)

――何故、明智光秀をテーマに曲を書こうと?

森良太 明智光秀は絶対的な家臣なのに反感を抱くじゃないですか?そんな事できる人ってヤバいですよ(笑)。

――そこにリスペクトを?

森良太 リスペクトというか(笑)、本当は嫌だったんだろうなと思いまして。彼の前日の心境を考えたらやってられなかっただろうなと。反逆というか「謀反」がテーマです。現代で言ったら上司に対してとか、いろいろあるじゃないですか?そういう時に聴いてみましょうね、という。

――なかなか物騒な歌ですね(笑)。

森良太 これは物騒ですよ!

――よくぞタイトルを「Mitsuhide」にしたなと(笑)

森良太 それ以外ハマらなかったんですよ。もっと別のタイトルにしていたら、カッコ良くなり過ぎるんです。

白山治輝 「謀反」とかじゃなくて良かったよ(笑)

――「謀反」もインパクト大ですけどね(笑)タイトルについては皆さん口を出さない?

白山治輝 出さないですね。2014年にリリースした「神曲」もそのまま出しちゃったくらいですので。歌詞とタイトルに関しては口出しはしないです。そもそも「もっとこうしたら?」というアイディアも浮かばないんですけど。

田中駿汰 意味で「何コレ?」というのはありますけど(笑)

――例えばどんなのがありましたか?

田中駿汰 僕は2曲目の「Physalia」は知らない言葉でした。

■連想の先に生まれた「Physalia」

――クラゲの事ですよね。私も知らなかったので思わず調べました。なぜこのテーマで?

森良太 これは、TV番組の「どうぶつ奇想天外」を小さい頃に観ていた時に、海亀の子供がPhysalia (=カツオノエボシ)というクラゲに絡まって死ぬシーンがあったんです。それをみてえげつないと思ったんです。クラゲって何も考えてなさそうじゃないですか? 広い海でそんなクラゲに絡まって死ぬって“えげつない”と思ったんですよ。理不尽ですよね。愛に縛られる、という様などが視覚的に浮かんだのがクラゲの事だったんです。

――曲を組み立てていく段階から「この曲はクラゲでいこう」という感じだったのでしょうか?

森良太 そんな事ないです。歌詞の言葉って何となく語呂で出てくるんですよ。例えば「望んでいた」といいうフレーズがあって、「望んでいた、“何”をだろうな」みたいに連想ゲームのように進んでいって、スッと俯瞰で見返した時に、全部繋がっているんですよ。不思議と。

――自問自答系ですね。

森良太 そうです。どちらかというと、言葉を探し当てる作業というよりも、選別する作業の方が大変なんです。色んな表現が頭の中にあって、どれを選ぶかというのがセンスだと思うんです。だからその選別の作業の方に重きを置いています。だから、凄く安定した言葉に落ち着く事も出来るし、不安定な言葉をわざわざ選ぶ事も出来るので、その辺のバランス感覚がセンスだと思うんです。

――ちなみに、歌詞の内容はメンバーに説明はされますか?

森良太 「どうしてもこれで行きたい」と、パートのフレーズなども決まっている時、何でこうなっているのかと説明しなければならない時は、たまに歌詞の事を説明する時もあります。

――全てではなく、要所ではあると。

森良太 そうです。だから、メンバーにすら伝わらない様なものは、出した時点でもう良くないと思うんです。そこで良くなかったらもう仕方がないですもん。

――それこそ、最初にお話しされたように、そこはスパッと、なんですね。

森良太 その辺はハッキリさせますね。

――今作の収録曲で、各々思い入れのある楽曲は?

白山治輝 僕の推し曲は「Cold Ash」です。普通にメロディが好きです。

田中駿汰 僕は「Mitsuhide」です。一発録りだったんですけど、僕は譜面を書いてフレーズを考えてやるんですけど、みんなでやっていく間に手数が増えたという事があったりしたんです。その時のテンションが出た曲だったんです。

――書いた譜面通りにはやらなかった?

田中駿汰 違う事をやっちゃいましたね。でも、それはそれで、その時の空気が出たなと思ったんです。

小川真司 僕は「パトスとエートス」です。理由はめっちゃギターを弾いているからです。

――この曲は既にライブでも演奏されていますよね?

小川真司 じゃんじゃんやっています。この曲やる時は、曲の前に4人で目を合わせて「フゥ〜。せーのっ!」って(笑)。

白山治輝 「次の曲、やる前に集中しなきゃいけないので一回黙ります」って良太が言ってたもんな(笑)。

気付いてほしい「芸術」=「心の豊かさ」

――それでは最後にリスナーに向けてメッセージをお願いします。

白山治輝 「アルバムを作ったな」としっかり思えるアルバムが出来たので、是非、一回でもいいのでCDを通して聴いて欲しいです。出来たらイヤホンではなくて、1曲目から11曲目まで通して聴いて欲しいです。じっくり聴いて良さが分かってくれるんじゃないかなと思います。だから是非、作品を通して聴いて欲しいなと思います。

田中駿汰 今回はリリース前に試聴会もしたんです。みんなで歌詞をじっくり見ながら聴いてもらって、良い機会だなと思ったんです。今はなかなかこういうのは無いじゃないですか?そんな感じでアルバムに集中して聴いて欲しいですね。後は、アルバムを聴いてツアーに来て欲しいですね!

森良太 音楽が好きだという事は、すごくカッコ良い事だと思うんです。中でも、音楽を聴いて自分の心が震える事であったり、自分を感動させるという事を選ぶという事がカッコ良い事だと思うんです。そういう、「音楽好きやねん」と思う所をどんどん掘って欲しいと思っているんです。

 僕らが作ったアルバムがどうこうというのはもちろん、音楽をそういう風に聴いて欲しいから、こういう時代感とは背を向けているような作品にはなっているのかもしれないですけど、そこに必ず意味はあるし、汲み取ろうという気概があればどこまでも深く踏み込んでいける曲たちを書いているので、今まで音楽をついでに聴いていた人達も「音楽を一旦真ん中に置いて聴く時間」を作って、自分にもっと芸術とかアートとかいう心の豊かさみたいな事に気付いていって欲しいなと思います。このアルバムがその一歩にでもなればいいなと思います。

――最近アナログレコードも流行っているので、必然的に頭から通して聴く環境も整ってくる可能性もありますよね。

白山治輝 自分はレコード派です!確かに今ブームが来てるんですけど、まだファッションアイテム感があると思うんです。やっぱり音楽としてのレコードをね...!

森良太 アナログレコードって針が削れていくじゃないですか?そういう“摩擦”があるものってすごくいいなって思うんです。僕は摩擦があるものがアートだと思うんです。摩擦の無いものには魅力を感じないんです。摩耗していく事こそ、生きているという事かと。曲を作る時も心を削って書いてるので!

(取材・村上順一)

作品情報

Brian the Sun
メジャー1stアルバム
『パトスとエートス』
2017年1月11日リリース

■DVD付初回生産限定盤
ESCL-4782~3/3333円(税別)
■通常盤
ESCL-4784/2700円(税別)
※初回盤DVDには、2016年6月~7月に行われた全国18本のツアー・ドキュメンタリーと渋谷クアトロでのLIVE映像に加え、VANS 2016 Fall and Winterイメージソングとなった「しゅがーでいず」MVを収録。

[CD]

1. Impromptu
2. Physalia
3. パトスとエートス
4. HEROES
5. Cold Ash
6. Maybe
7. アイロニックスター
8. Cloudy #2
9. Mitsuhide
10. Hi-Lite
11. 月の子供

ライブ情報

■Brian the Sun TOUR 2017『パトスとエートス』スケジュール

2017年3月3日(金) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd[ワンマン]
OPEN 18:30 / START 19:00
Info. GIP 022-222-9999

2017年3月12日(日)名古屋 SPADE BOX[ワンマン]
OPEN 17:00 / START 17:30
Info. サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

2017年3月25日(土)京都 KYOTO MUSE
OPEN 17:30 / START 18:00
Info. ソーゴー大阪 06-6344-3326

2017年3月26日(日)神戸VARIT.
OPEN 17:00 / START 17:30
Info. ソーゴー大阪 06-6344-3326

2017年3月31日(金)高松 DIME
OPEN 18:30 / START 19:00
Info. DUKE高松 087-822-2520

2017年4月1日(土)岡山 livehouse IMAGE
OPEN 17:00 / START 17:30
Info. 夢番地岡山 086-231-3531

2017年4月4日(火)札幌COLONY
OPEN 18:30 / START 19:00
Info. マウントアライブ 011-632-5555

2017年4月7日(金)横浜BAYSIS
OPEN / START 未定
Info. BAYSIS 045-227-5528

2017年4月11日(火)宮崎 SR BOX
OPEN 18:00 / START 18:30
Info. 宮崎SR BOX 0985-83-3181

2017年4月12日(水)鹿児島 SR HALL
OPEN 18:00 / START 18:30
Info. 鹿児島SR HALL 099-227-0337

2017年4月22日(土)金沢 vanvan V4[ワンマン]
OPEN 17:30 / START 18:00
Info. FOB金沢 076-232-2424

2017年4月23日(日)富山 SOUL POWER
OPEN / START 未定
Info. UNDER THE STAGE 076-493-2315

2017年4月30日(日)新潟 CLUB RIVERST[ワンマン]
OPEN 17:00 / START 17:30
Info. FOB新潟 025-229-5000

2017年5月6日(土)梅田 CLUB QUATTRO [ワンマン]
OPEN 17:00 / START 18:00
Info. ソーゴー大阪 06-6344-3326

2017年5月12日(金)広島 BACK BEAT[ワンマン]
OPEN 18:30 / START 19:00
Info. 夢番地 広島 082-249-3571

2017年5月21日(日)福岡 BEAT STATION[ワンマン]
OPEN 17:00 / START 17:30
Info. BEA 092-712-4221

2017年5月27日(土)東京 LIQUIDROOM[ワンマン]
OPEN 17:00 / START 18:00
Info. ソーゴー東京 03-3405-9999

■チケット

各会場共通 前売 3300円(税込)※ドリンク代別途

一般発売
・2月11日(土)10:00〜 
(仙台、名古屋、京都、神戸、高松、岡山、札幌、宮崎、鹿児島、金沢、新潟)

・3月18日(土)10:00〜
(大阪、広島、福岡、東京)

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