青春時代の複雑な気持ちを描く。辻
詩音『Sky chord~大人になる君へ~』

代表曲である2ndシングル「Sky chord~大人になる君へ~」は、辻詩音本人が高校を中退し、「音楽で生きていく」と決意した時の気持ちを思い出して作った曲。「Sky chord」という聞きなれないタイトルだが、歌詞を追っていくとその意味が分かってくる。




青春時代と言えば、些細な事にストレスを感じたり、心の葛藤を抱いたり、反抗的になったりなど悩みの多い時期である。辻詩音は、「素直なウタが歌えない」、「真っ黒に変えたくなる」といった表現で、そんな青春時代の葛藤を描く。素直な“ウタ”と表現することで、彼女が心から表現したいと思っている歌とは異なり、捻くれた歌であることを強調している。

キーワードになっている空の色の変化に触れつつBメロに続く。



ここで初めてタイトルのSky chordが出てくる。
大人になったら失くしてしまい、見つからないSky chordとは何か。
それは、Sky chordの意味を知ることで明らかになる。Skyは空、chordは一般的な弦という意味で捉えるのではなく、ここでは感情という第二義で解釈する。直訳すると空のような感情と言ったところである。

辻詩音は青春時代の心の多彩な変化を空の色に例えている。
空は変化に富んでおり、一概に固定された色というものはない。今日は晴天で青空が広がっていても、明日は雨かもしれないのだ。このような気まぐれな空の色を青春時代の感情に見立て表現している。

つまり、Sky chordとは青春時代に抱く感情のこと。



こんな不安定な感情を抱きながら大人になることなんかできない。
感情は不安定でもその時々に書き記した歌詞(幼少の頃から書き溜めた詩のストックはノート100冊以上もある)が変わらず残されていることは、彼女が前に進む後押しとなったのだ。

『Sky chord~大人になる君へ~』は、卒業を迎える学生はもちろん、大人であっても聴く価値のある作品となっている。この曲を発表した当時、辻詩音は19歳。それから約7年の月日がたち大人になった彼女は、今後どんな音楽を作っていくか楽しみである。

TEXT:川崎龍也

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