cinema staff・飯田瑞規 × polly・
越雲龍馬 音楽的にもパーソナルでも
響き合うフロントマン2人がメディア
初共演


と、その前に、一体どんなところで二人はハモっているのか。音楽性? キャラクター? 「改まって話すと何を喋れば良いか分からない」と若干困惑気味の二人に、最初の出会いから、お互いのこと、今の音楽シーンのこと、目指すべき姿まで、たっぷりと語り合ってもらった。――インスタグラムなど拝見してもお二人は非常に仲が良いんですが、そもそもの出会いは。

polly・越雲龍馬:僕はもともとcinema staffが好きで、数年前に僕の地元のイベントで出会ってはいたんですけど、そのときはそこまで仲良くなれなくて。で、今年の3月にツアーで共演する機会があって、その打ち上げですかね?

cinema staff・飯田瑞規:そうだね。最初に会ったときpollyがCDをくれて、「シネマ聴いてるんです」って言ってくれて、ライブ観てかっこいいなと思っていたんです。3月のときは……あまりに龍馬がイカれた性格してるなって(一同笑)。これは出会ったことのないタイプだな、すごく繊細で触れたら壊れちゃいそうな空気の子だなと。
……すごく仲が良くて、一緒に遊んでるときのしゃべっちゃいけない話とかかなりあるから、今日はチョイスして喋っていこうと思うんですけど(笑)、なんだろう……良い意味で、全部“良い意味で”って付けますね?

越雲:(笑)。

飯田:良い意味で性格悪いんですよ。龍馬だけ他の後輩とは違う角度で切り込んでくるタイプ。そういうバンド、cinema staffはすごく好きなんですよ。

越雲:いや、瑞規さんの言う“違う角度”を、わりとスタンダードだと思っていたんです、ずっと。だから自分では性格悪いとは思ってなくて(笑)。

飯田:近くにいる人にかなりトゲを出してしゃべっていくタイプ。でも好きな人には愛をもって接してくれるっていう、その振り幅がすごいんですよ。ピュアな部分と刺々しい部分の。

――表裏みたいな部分がわかりやすくハッキリ出てるタイプ?

飯田:そうですね。あ、でも表ばっかりですね、多分。裏っていうか、そこを隠していないので。
そのツアーで山形の最終公演のときに、ほかのバンドはそのまま帰って、シネマだけ泊まって次の日に帰る予定だったんですけど、龍馬が俺らの車に乗り込んできて。「これから飲みに行く予定はないからね」って言ったんですけど、「いや、飲みに行きましょう!」て付いてきて、せっかく来たししょうがないから、2人で山形の街を散策して。飲み屋が全然なかったからカラオケに行って、一曲も歌わずにただしゃべる(笑)。それで結局朝まで飲んで、2人で新幹線で帰ったのが最初ですね。

越雲:好きなバンドだったので、仲良くなりたいと思ったし、その時点でオープンマインドだったんですね。言ってしまえば、ほかのバンドがどうとかあまり興味がなくて、シネマが出るっていうから……性格悪い、これが性格悪いんだな(笑)。
でも、瑞規さんが思いのほか優しくしてくれて。また一気に好きになりましたね。なんか、お兄ちゃんみたいです。

飯田:最初は、シネマを聴いてくれてはいるだろうけど、そんなに好きかどうか分からないような接し方で。ライブ中もちょっと小馬鹿にするというかイジってくるから、あとからお客さんに「あれ大丈夫なんですか?」って言われて「ああいう感じで言っちゃう人だから、全然大丈夫」って(笑)。
バンド的には、良い意味で内向きなのかな? 演奏したものにお客さんがついてこれるならついてきなさいよ、みたいなスタンスで、MCにしても全く媚びないというか、媚びなさすぎだろっていうくらい。

越雲:そうですね。

飯田:そこはお兄ちゃん目線で「あれはどうなのよ?」って話とか、楽屋でも色々話した覚えがありますね。

――そもそも越雲さんは何故シネマに惹かれたんですか?

越雲:いまのバンドを始めたくらいの頃に、そのときはずっと邦楽ばかり聴いてて、タワレコで『Blue,under the imagination』っていうアルバムを買ったのがはじまりですね。それからライブにも行ったりして。

飯田:そんな雰囲気は全然見せなかったのに、カラオケで飲んだときに急にシネマ愛を熱く語り出して。「あ、そういうやつだったんだ!」と。そこで初めてもう一つの一面を見たというか。そういうピュアに「好きなんです」って伝えることもする子なんだなって。なんか、そこにちょっとキュンとしちゃいましたね(笑)。ギャップ萌えでした。

――最初から「好きです!」って出していかなかったのは?

越雲:どうなんですかね? 僕としては言ってたつもりではいたんですけど……たぶん、どこかで解放したんでしょうね。あまり中間が無いから、好きと嫌いの間に。もともと好きと思っていたから、伝えたような気がしていたのかもしれない。

飯田:龍馬って、勘違いされて「なんだこいつ」って思われるタイプだと思うんですよ。でも、そういうタイプとウマが合うんでしょうね。シネマは4人ともそういう奴を面白がっちゃう。

cinema staff・飯田瑞規 撮影=風間大洋



――付き合いが深まったいま、pollyに対してどんな風に思っていますか。

飯田:たくさんあるんですけど、まず龍馬の声や歌詞って繊細な性格そのものだと思うんですよね。でも曲とかオケは明るいものが多かったりもする、そのアンバランスさに、龍馬の触れたら壊れそうな感じが出ていて。オケ的にもシューゲイザーとかノイズの要素、マイブラとかフレーミング・リップスとか、自分たちが聴いてきた音を同じように聴いてきたのかなって思えるし。最近の若いバンドってなかなか洋楽を通ってきてなかったりして……それは人それぞれなので別にいいんですけど、そんな中で、pollyとは共通して好きな音楽がありますね。
龍馬の家に遊びに行ったときにギターが置いてあったから「なんか歌ってよ」って「言葉は風船」を歌ってもらったんですけど、弾き語りの状態でもう完成されていて、すごく良かったんですよ。メンバーをライブハウスの店長に探してもらって結成したっていう珍しい経緯もそうだし、龍馬の考えてることややりたい音楽性が、pollyそのものとして出ているのが面白いと思いますね。

越雲:ありがとうございます! ……嫌ですね、なんか改まって言われるのは(笑)。すごい変な感じ。

――普段は全然こんな感じではない。

越雲:こんな感じじゃないです。もっと全然……瑞規さんはお酒飲んだらヤバい人なんですよ?(一同笑)

飯田:龍馬だって、俺としては狂犬を連れて歩いてるみたいなもんですからね(笑)。俺には何故か懐いてるけど、他の人は噛み殺されるぞ!みたいな。シネマのまわりのスタッフに紹介するときも「こんな感じのやつで驚くかもしれませんけど、良いやつなんで」って先にフォローを入れるという(笑)。

――今日はその狂犬っぷりが出てないですね。

越雲:今日は取材なんで……でも、フッと出ちゃうんですよ。幽体離脱みたいな?

飯田:「この音楽はかっこ良くない」とか「かっこ悪い」とか言うのって、お客さんとかは引いちゃうかもしれないけど、俺も結構言うタイプなんですよ。腹黒なので(笑)。
でも、自分が嫌いなものを嫌いって言えないと、好きなものをちゃんと好きって言えないなって思うんですよ。全部好き、全部良いなって言ってたら、何が本当に好きなんだ? お前はポリシーがないのか?と。ちゃんと嫌いっていう勇気って大事じゃないかと思いますね。確固たるものが自分の中にあるからこそ言えることだと思うんですけど、その点、龍馬はめちゃめちゃ言う(笑)。

越雲:あぁ、そうかもしれないですね、うん。好きなものが確実にあるぶん、その逆も必ずあるから。好きだったり心を寄せてる人の前で、他の人やものに対して悪口を言ったり「嫌い」って言ってしまうのは、逆っていうか……なんていうか。わかりますか?

――自分はこういうものは嫌いなんです、でもあなたはそうじゃないから好きなんです、っていう意味が込められていると。

越雲:そう。だから俺、最初会ったときに「好き」って伝えたつもりになってたのかもしれないですね。

飯田:なるほど、わかったわかった。他のものを嫌いって言うことで、好きって伝える、すっごい遠回りな褒め方なんだ。いろんな人を傷つけながら(一同笑)。

――だいぶ損しながら。

飯田:そう、本当にすごく損な性格だと思うんですよ。本当にpollyはかっこいいし龍馬は面白いのに。

――損な性格だっていう自覚はあります?

越雲:自覚できるようになりました。今年1年くらい、すごく色々経験しましたね、悪いことを(苦笑)。自分が悪いのはわかってるんですけど、もうやってしまったことは取り返しがつかないじゃないですか。でも、ここ最近すごく多いですね……次の日とかに電話が来て、「またやっちゃいましたねぇ」みたいなことが(笑)。

飯田:怒られてたねぇ。

越雲:だいたいお酒の席でやっちゃうんですよね。よくないです、はい。瑞規さんにも「人に優しく、人に優しく」って心の中で唱えたら、優しくできるよって言われてやってみたんですけどね、ダメでした(笑)。

飯田:数年前、色々うまくいってない時期があって、かなりやさぐれてたんですけど、その当時はお酒を飲むと解放されちゃって人に対してもキツくあたったりしてしまってたので、これは危ないなと思って、飲む前に「人に優しく」って3回唱えてから飲むようにしてたんですよ。

polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋



――経験則なんですね(笑)。

飯田:当時1年くらいずっとやってたんです。それが上手くいったんでアドバイスしたんですけど。

越雲:効かなかったですねぇ……(苦笑)。

飯田:でもpollyの媚びないMCにしても、普通だったら「もっとこうした方がいいよ」とか言いたくなると思うし、龍馬にも直接言うときもあるんだけど、言われても気にせずそのまんま行ってほしいというか……その先で龍馬がどうなっていくのか、pollyがどうなっていくのかが楽しみな、複雑な気持ちもあるんですよね。それはpollyに対してしか思わないことなんですよ。

越雲:ありがとうございます。

――そこがそのままバンドの良さになってる部分でもありますからね。

飯田:そうなんです、そうなんですよ。危うさみたいなものが。

越雲:僕、親しい先輩が瑞規さんと木下理樹(ART-SCHOOL)さんしかいないんですけど……

飯田:これ、ヤバい話かな?(笑)

――危うさしか感じないメンツなんですけど(笑)。

越雲:(笑)。理樹さんと飲むときは一緒に落ちていけるし、瑞規さんと飲むと客観的にアドバイスしてくれて、「上京してよかったな」とか「バンドやっててよかったな」って、接していると思える先輩2人です。反対のようで似ている2人というか。

――ザックリ分けると同じ側の人ですけど、その中では対照的な存在かもしれないですね。

飯田:そう思います。俺の中では、他で出会ったことのない2人なんですよね。リッキーさんみたいな人は他にいない、リッキーさんでしかないし、龍馬も龍馬でしかないから、そういう人が音楽をやったら絶対に面白いと思う。

――3人ともいってみればオルタナティヴ側の音楽性だと思うんですけど、二人の音楽的な共通点やシーンに対しての考え方も聞いていきたいです。

越雲:嫌いなライブハウスというか、そこに出てるバンドが嫌いっていうのはだいたい共通してると思います。俺が嫌いって言ったら瑞規さんも「俺も嫌いだわ」っていう。

飯田:……いや、言ってないですね。

越雲:言ってたじゃないですか!(一同笑) 「俺、◯◯に出てるバンド嫌い」とか……

飯田:やめろやめろ!(笑)

越雲:さっきオルタナって言ってもらったんですけど、僕が作る曲は歌メロがキャッチーだから、本来そこまでオルタナ感がないというか……だからか、僕が嫌いなバンドと一緒に見られたくないなっていう気持ちはすごくありますね。
僕は今の音楽シーンいるバンドの一つだし、流行りものの中にも好きなものはあるんですけど。

飯田:それはきっと言葉にするのは難しくて、感覚なんだと思うんですけど、シネマとしてメジャーなバンドともアングラなバンドとも一緒にやったりする中で、リハを観ていてかっこよかったりするとメンバー同士で目が合うんですよ。「キタね」って。一曲聴いただけで「このバンド絶対かっこいい」っていう感覚を共通認識できるんです。
俺らもpollyに対してはオルタナ方面にまっしぐらなバンドだとは思っていなくて、むしろ音楽的にはシネマと似てるなとも思うんです。龍馬の人となりを知っていると、もっともっと他者を無視した、周りを突っぱねた音楽が出てきてもおかしくないところを、ちゃんと拠り所を作っているというか。歌や歌詞は置いておいて、楽曲の部分では間口が広いなと思うので、そういうところがかっこいいんですよね。

――確かにメロとかはキャッチーで、でもそれを敢えて気づかれにくいように、アレンジで塗りつぶしていってるような気がします。で、そこが気持ち良かったり。

飯田:そうなんですよ。「言葉は風船」の弾き語りバージョンを聴いたときもそうで、曲自体はすごくポップでキャッチーで聴きやすいんですけど、バンドサウンドが入ったときに汚していって汚していって、最終的に出来上がるのがpollyの音楽なのかなって。元々は純粋にいい曲、そこに音楽的好みが追加されて出来上がるのかな、きっと。

越雲:そうですね。そういう作り方かもしれないです。元の曲に寄り添ったサウンドにしているバンドよりは、ちょっとフックがあるようなバンドの方が、僕は確実に好きですし。そこはシネマも共通してないですか?

飯田:うん、シネマも確実にそう。僕は今29歳なんですけど、色んな経験をした中で他に対して牙をむくんじゃなくて、どれも良いじゃんって……こだわりが無くなったワケじゃなく、「それはそれで面白いよね」って許せるようになってきたんですけど、龍馬は、いま許せてない時期だと思うんですよ。「わかるわかる。けど辛い道だよ」って思います。

polly・越雲龍馬 / cinema staff・飯田瑞規 撮影=風間大洋



――周りだけでなく、自分の作る音楽に対しても、元から好きだったタイプの曲ではないものに挑戦することもありますよね。そこをどこまで許容できるか?みたいな部分の難しさもありますか。

飯田:それ、シネマはむちゃくちゃありますね。特にメジャーになってからはしょっちゅう考えることだし、メンバー4人でも話すし。

――これはアリかナシかっていう。

飯田:そのアリの部分が増えてきて、「シネマでこれをやったら面白いでしょ」ってワクワクすることが多くなっているので楽しいんですけど、でも「こういうフレーズにしたら分かりやすいよね」「でもこれって演奏してて面白いか?」ってことも考えますし。
演奏していて楽しくて、メロが良くて普遍的なものでっていう譲れないポイントが多いぶん、苦しんだ時期は結構あったんですけど、曲を持ってくる三島(想平)はもちろん、4人が共通認識を持っているから、出来上がってきたものがシネマでしか鳴らせないなって思えるし、だから今もやれてるんです。

――pollyはそのあたりはどうですか? 1stと2ndの間にもだいぶアプローチの変化が見られますが。

越雲:1stと2ndでは作り方が変わっていて。1stは弾き語りでもっていってみんなで仕上げていったんですけど、(2ndでは)僕がほとんどパソコンで打ち込めるようになったので、大体のフレーズを考えて持っていたものから足し引きをして作ったんですよね。
今後、もし次作を作るときにどうしようか?っていうことはずっと思っていて。欲も出てきているし、聴く音楽も増えてきて、やりたいこと自体も増えてきているんですね。でもいま名前が売れているようなバンドの音を聴いても、その要素はほとんど無いから、きっと難しい方向なんじゃないか?とか。
でも僕は音楽で成功したい、続けていきたいと思っているからやっているし、やりたいこととのバランスがすごく難しくて、そこで悩んでいるというか、「どうしよう、どうしよう」みたいな。毎日考えています、それは。

――曲自体はいまも作っていますよね?

越雲:作ってます。……いま作っている曲は、わりとまだ大丈夫だと思うんです。でもどこかで解放されたときにはヤバいかもしれないなって。趣味で個人的に作っているインスト曲なんかと比べると、確実にバンドでやっている方が間口が広いんですけど、個人的趣味の曲をバンドでやりたい、そっちの要素を入れたい!ってなってきたときにメンバーが付いてくるのか?とか、お客さんは受け入れてくれるのか?とか、すごく悩みます。

飯田:そこは(シネマと)だいぶ違う部分だと思うんです。シネマは三島が曲を作るんですけど、わりと4人の意思もあって。pollyの場合は、まず龍馬っていう絶対的な人がいて、から始まるから。
シネマは4人揃えば戦えるというか、4人の塊として戦わなきゃやれないっていうことを、すごく自覚して続けてきたバンドなんですけど、そこをpollyはどうやってやっていくのかな?っていうことが単純に興味があるし、楽しみな部分でもあります。その舵取りをするには色んな経験が必要だろうし、大変だろうなぁとも思う。

越雲:瑞規さんが言うように、僕が4人分いろいろ経験しなくちゃいけないし、4人分動かなくちゃいけないんですけど、たまにこう……ポロっと「なんでだよ」って思うことはあります。それは仕方がないことなんですけどね。

飯田:いやぁ、4倍は無理でしょ。無理だよ(苦笑)。絶対もっと(他のメンバーに)頼っていった方が良いなって客観的に見ると思うんですけどね。

越雲:……頼ったとしても、今まで僕が、悪い言い方ですけど押し付けてきた部分もあるから、僕が欲しい答えは返ってこないんじゃないかって思ったり。ただ、もうちょっと……頼れれば良いんですけどね。
そういうバンドって2パターンあると思っていて、フロントマンを他のメンバーが前に押し出すバンドと、他のメンバーが引いているからフロントマンが目立っているバンド。pollyは3人が僕を押し出すようなバンドになっていけたらベストだなぁとは思ってます。

――この話題だけで1本ぶんのインタビューができるくらい、大事な話ですね。

飯田:そういう話、ずっと前に俺らもしたことがあって。シネマ的に至った結論が、「4人が前に出る」(笑)。4人の誰かが引いちゃったら、バンドとしてもライブとしても、単純にパワーが半分くらいまで下がっちゃうと思うんですよ。それぞれが「俺が俺が」くらいで4人が目立ってやっていかないと、ひとつのライブとして俺らにしかできないものが成立しないと思ってて。シネマ的には。
もちろん、その中でちゃんと俺の歌が目立つような方法は考えた上で、それは一歩引くとかじゃなくて、攻めたのちにどう聴かせるか?っていう、そのバランスですよね。

越雲:この間、恵比寿でシネマのライブを観たんですけど、4人にそれぞれキャラクターがあってかっこいいんですよ。でも歌が一番目立っていて。「ああ、こういうやり方もあるんだなぁ」って再確認できました。
僕らとはバンドのあり方もライブのやり方は真逆で……なんていうんですかね? ……「いいなあ」って思うことは、だんだん増えてきたかもしれない。

cinema staff・飯田瑞規 / polly・越雲龍馬 撮影=風間大洋



――pollyはもともとワンマン気味というか、自身のビジョンを具現化するためにバンドを組んだわけですよね。そうじゃないバンドの経験は?

越雲:以前、遊びに毛が生えたくらいのバンドをやっていたんですけど、当時17とかだったので、今以上に経験も浅かったですし、メンバーが下手くそなクセにうるさいこと言ってきたりとか、そういうのが嫌で。だったら自分のやりたいことを突き詰めるバンドを組んだ方が、好き勝手できるなと思って(pollyを)始めたんですけど。

――その気持ちは形が変わってきていますか。

越雲:変わってきたというか、欲が出てきたんでしょうね。僕が前にいて、後ろに他の3人がいる正三角形があるとしたら、それをデカくしたいという願望になってきている。でも僕だけが進んでいって底辺の長さが変わらないと……

――二等辺三角形みたいになりますね。

越雲:そうなるとすごくバランスが悪いから、あくまでも正三角形のまま大きくしたいんですね。そういうバンドでありたいと思っているから、底辺がどれだけ広がるか、強くできるかっていうことを、今考えています。ただ、もう少し僕の伝え方を考えたり、そういうことも必要なんでしょうね。やっぱりシネマの4人の会話とか見ていると、お互いがお互いを尊敬しあっている感じが伝わってくるんですよ。

――シネマとは対バンも控えてますから、そこでまた得るものはありそうです。そしてその前にシネマは新作も出ますよね。

飯田:はい。『Vektor E.P.』っていうCDを。

――せっかくなので、そちらにも一言。

飯田:『eve』のときにポップでキャッチーな方向ですごく納得いくものができたので、今回はちょっと原点回帰というか、『eve』のキャッチーさは踏襲しつつ、今までのシネマのエッジの効いた感じをさらに伸ばした3曲にしたいと思って。だから、今回の3曲はかなり攻めてると思うんですよ、自分の中で。

――確かに、ポップな要素と、複雑なリズムやフレーズをうまいこと同居させてますね。

飯田:そうですね。最近、歌を聴かせるために無駄を排除しようみたいな方向だったんですよ。でも無駄なことって好きで……そもそも無駄だとも思ってないんですけど(笑)。
もしかしたら、一聴したら「わけわかんねえな」「何やってるんだ」って思うかもしれないですけど、シネマはそういう「よくわかんないけどもう一回聴いてみようかな」「あ、ちょっと良いかもしれない」「ダメだ、逃れられない」みたいになる音楽がずっと好きなんです。
そういう一見無駄っぽい、「そこ要る?」「いや、実はそこがキモなんだぜ」みたいな要素がいっぱいな3曲だと思います。

――最後に、12月の宇都宮。シネマとpolly、初の2マンでの共演へ向けての意気込み、いかがですか?

越雲:僕はもう、すごく一方的に一緒にやらせてもらいたかったから声をかけて、快諾していただいたので。……どうしようかな……ギャフンと言わせたいし、瑞規さんに「奢らせてください」って言わせたい(一同笑)。そうやって僕らが、共演者もお客さんもスタッフも満場一致の良いライブをして。その上で楽しくお酒を飲みたいなって思ってます。それに僕らの地元ですけど、シネマを観にきて僕らを知らない人もいると思うし、そこでただ仲が良いから一緒にやっただけには思われたくないっていうのはあるんですよね。
あ! 今日、言いたいことがあったんですよ。『シネマのキネマ』(11月30日・cinema sraffの自主企画)ってあるじゃないですか。あれに僕らと同世代のバンドが出てるんですよ。それが納得いかないなって。

飯田:はっはっは!(笑)

越雲:だから(pollyを)呼んどきゃよかったなって思わせるくらいのライブをしたいですね(笑)。

飯田:(『シネマのキネマ』に)めちゃめちゃ出たがってくれてて。悔しがってくれて。ここ2、3年ですかね? 年下のバンドからツアーに誘ってもらう機会が増えて。今までは自分たちのイベントに、一緒にやりたい尊敬する先輩達ばっかり呼んできたんですけど、シネマのことを知らない人の前で「どうやってやろうか」ってセットリストを組んだり、4人の話し合いも増えて、それが面白いと思ってます。
で、pollyは12月の2マンをかなり前から、半年くらい前から誘ってくれていて、4人とも即決で出ようっていう話をして……まぁ、その日は明らかに俺らのほうがかっこいいと思うんですけど(笑)。

越雲:(笑)。

飯田:それはもう間違いない。そういうライブをしないといけないのは、自分たちに課せられてると思うんですね。これからもどんどん化けていきそうなこのpollyと2マンすることが、すごく自分たちにとっても糧になりそうだし、お互いに刺激しあうライブにしたいですね。

取材・文・撮影=風間大洋

polly・越雲龍馬 / cinema staff・飯田瑞規 撮影=風間大洋



ライブ情報polly 2nd mini Album Release Tour 「哀余る頃に。」

11月22日 新代田FEAVER
開場/開演 18:30/19:30
w/石崎ひゅーい、DJ 木下理樹
チケット:2800円(税込/ドリンク代別)12月26日(final) HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
開場/開演 18:00/18:30
​w/cinema staff
チケット:2800円(税込/ドリンク代別)シネマのキネマ日時:2016年11月30日
会場:東京キネマ倶楽部
出演:cinema staff / Ivy tu Fraudulent Game / Halo at 四畳半 / HOWL BE QUIET
チケット:前売り3000円/当日3500円(ドリンク代別)
Vektor E.P. Release Tour ~箱庭戦争~2017年2月3日(金)
OPEN18:30 / START19:30
名古屋 CLUB ROCK’N'ROLL

2017年2月9日(木)
OPEN18:30 / START19:30
大阪 Live House Pangea

2017年2月12日(日)
OPEN18:00 / START19:00
渋谷 O-nest

TOTAL INFO. http://cinemastaff.net/
チケット代金 前売り 3,800円(+おまけ付き)
リリース情報cinema staff TRIPLE A-SIDE『Vektor E.P.』
2016年11月30日発売『Vektor E.P.』

M1「エゴ」
M2「返して」
M3「ビハインド」
全3曲収録
¥1,200(本体)+税 / PCCA.04467
■予約/先着購入特典情報
全国のCDショップにて、cinema staff『Vektor E.P.』を予約した方に、先着で下記の特典をプレゼント。数量限定の特典となります。
■TOWER RECORDS:cinema staff 数量限定オリジナル・ラジオCD「Vektor RADIO -10th anniversary EDITION-」
■その他一般店:cinema staff「Vektor E.P.」告知ポスター
※一部お取り扱いのない店舗/オンラインサイトもございます。店舗へご確認のうえご予約ください。
※特典は無くなり次第の終了となります。あらかじめご了承ください。
■封入特典情報
Vektor E.P. Release tour ~箱庭戦争~ 最速先行予約シリアルナンバー封入
<ツアーチケットWEB先行抽選予約 受付期間>
2016年11月29日(火) 12:00 ~ 2016年12月25日(日) 23:59
1シリアルナンバーで1公演につき2枚までの申し込みが可能です。(複数会場申し込み可。)
「two strike to(2) night 特別編 -KINOTO 15TH ANNIV!-」@2016.08.03 渋谷club乙-kinoto-
ライブ映像限定視聴用シリアルナンバー

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