ディランにボウイ、三平まで!桑田佳
祐が歌う『ヨシ子さん』って誰よ?

この『ヨシ子さん』もね。一見バカバカしいタイトルのふざけた曲にしか見えないわけだ。チキドン、エロ本とか言ってるしょーもねー曲にしか見えないわけだ。

でもさ。歌詞をよく見てくれ。



スタートは、R&Bって何だ?HIPHOPって教えてよ?と始まってる。おいおい、桑田佳祐ほどR&BもHIPHOPもうまく歌謡曲に溶け込ませてるオッサンはいないだろ!そういうツッコミから始まってんだ。映画『サタデー・ナイト』がディスコでフィーバーする文化を広めたことまで歌詞にしてる。そう、桑田のボケは高度なんだ。



次のここらへんもすげーぞ!
「EDMたぁ何だよ」と聞いてる。「いざという時に勃たないヤツかい?」と聞いて、EDM(Electronic Dance Music)と勃起不全のED(Erectile Dysfunction)とをかけているわけだ。

「サブスクリプションまるで分かんねぇ」という歌詞もね。聴いてるこっちも知らねーよ!という単語で。「サブスクリプション」は、ここでは定額で音楽を聴き放題のサービスを指してて、続く「ナガオカ針」と対比させてるわけだな!ナガオカはレコード針で有名な会社。要するに、レコードで音楽聴いてたオッサンは今の音楽配信なんて知らねーよ!と歌ってるわけだが、そんな単語使うのかよ!と、まあ驚くよね。



ほらここで「ディランが歌ってた」という歌詞が来たよ。ディランといや、ボブ・ディラン。アメリカの有名すぎる歌手ですわ。ディランには、日本語タイトル『くよくよするなよ』って曲があるわけで、これをうけてる。これは、おおざっぱに言えば「女と別れて落ち込んでるだろうがくよくよするなよ」と歌ってる曲。可愛い姐ちゃんにホレたが、フラれてるという状況がこれで分かるんだな!



『ブラックスター』は、デビッド・ボウイの最後のアルバムタイトル。「ボウイさんが別れを告げた」という歌詞からも分かるように、このアルバムを最期にボウイがこの世から去ったことを言ってる。そして、女に捨てられたことを、この偉大なミュージシャンが去ったこととかけてる、っていうね。

いやいやこの歌詞のオッサン、めちゃくちゃ音楽詳しいじゃねーか!と。R&BもHIPHOPもEDMも知らねえと言っておきながら、詳しいじゃねーか!と。これが桑田の戦略だ!

『ヨシ子さん』っつータイトルもね。初代林家三平の歌からきているらしいわけよ。落語家の初代林家三平『好きです(ヨシコさん)』っつータイトルの曲出してて、これに出てくる好きな相手が「ヨシコさん」だっつーね。この歌が、まあ好きですキスさせて、っていう曲なんですわ。「ヨシコさん」は「可愛い姐ちゃん」の象徴である、と。

このねえちゃんに関しても「姉」じゃなくて「姐」の字を使ってるだろ?これさ、「姉」の漢字だと実の姉で、「姐」の字だと飲食や水商売のねえちゃんなんだって!どんだけ巧みに考えてんのよ桑田!



あげくのはてはこれですわ。「笑ってもっとベイビー」のフレーズは、桑田自身のサザンの曲『いとしのエリー』のサビで何度も歌うフレーズだよね。あえて今回は「ニッポンの男達」に歌ってる。「ヤッちゃえ ほい」と歌ってる。

このバカみてーな曲は、なんと日本の男達への応援歌になってたわけだ!ホントは音楽に相当詳しいくせに、オッサンだから最近の音楽よくわかんね~な~と始まる。でもなんかエロ足んね~な~、もうちょっとぐらいハジケていいんでないの、とひそかに本音を潜ませる。もっとチキドンして、暴れてハイになって楽しんでいいんじゃないの?と言ってるんだ、桑田は!

しょうもねえ歌と思わせて実は意味深な桑田佳祐の技!まったく、とんでもねー60歳だわ!



TEXT:テイキけん

UtaTen

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