ゴダイゴの『銀河鉄道999』は人生の
旅立ちへの応援歌

『銀河鉄道999』は言わずと知れた名作SFアニメ。原作は松本零士。鉄郎がメーテルと共に銀河鉄道に乗って宇宙を旅する物語です。

ゴダイゴは1975年に結成されたバンド。1985年に一旦解散していますが、2006年に再結成し活動を続けています。『ガンダーラ』『モンキー・マジック』『ビューティフル・ネーム』などの大ヒット曲を持つ伝説的存在。

『銀河鉄道999』はアニメ史に残る名曲。
それはこの映画を観たほとんどの人が、主題歌がかかるラストシーンの印象を強く覚えているからです。
映画ラストで描かれる鉄郎とメーテルの別れ。メーテルが999に乗り旅立つ。鉄郎は「メーテル!」と叫んで涙を流す。999が空の彼方に消えた瞬間にこの曲が始まります。




「さあ行くんだ その顔を上げて」で始まる歌詞。これが希望を感じさせます。涙を流す鉄郎に「さあ行くんだ」と主題歌が声をかけているんですね。そしてこれが悲しい別れではなく「新しい風」「ふたたび始まるドラマ」であると言っています。



「あの人はもう思い出だけど」の「あの人」はメーテル。メーテルはもう思い出の存在だけれど、遠くで鉄郎のことを思っているだろう。そういう意味ですね。

そしてメーテルが999に乗る直前に鉄郎に別れのキスをします。鉄郎にとっては、メーテルとの別れであるのと同時に、少年期との別れでもあることを、このラストの展開は物語っています。少年から大人になることも含まれているんですね。これを「別れも愛のひとつ」という言葉で端的に表現しています。



そしてこの曲の真骨頂とも言えるのがこの箇所。メーテルは「地平線」の彼方に「消え」ていく。そして鉄郎も別の「地平線」に向かって歩き出す。その鉄郎の「瞳」は少年から「男」になっている。少年の成長を表現しています。「やすらぎよりも 素晴らしいものに」鉄郎は「気づいてしまった」。

ここで観客も「気づく」わけです。「君」とは鉄郎のことであったのと同時に、映画を観ていた観客のことでもあったことに。そして映画はもう終わるけれど「新しい」気持ちになって現実に戻れることに。

「君」とは「別れ」や「旅立ち」を経験したことのある全ての人を指しています。「やすらぎよりも 素晴らしいもの」とは人生の挑戦を歌っているんですね。慣れた場所を離れどこかへ旅立つこと、新しいことに挑戦すること。それは困難で、つらいこともあるだろうけれど「やすらぎよりも 素晴らしい」と「君」はもう「気づいて」いるはずだと歌っているわけです。



そして最後まで繰り返されるこのサビ。直訳すると「銀河鉄道999は君を旅に連れていくだろう 終わらない旅へ 星々への旅へ」。これは「終わらない」人生の「旅」のことでもあります。だから延々と繰り返しているんですね。

この曲は映画の内容を踏まえているだけでなく、人生の「旅立ち」への応援歌になっているのです。
だから多くの人に好かれているんですね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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