2016年のキャッチコピーとして“ロックは生きている。”を掲げるGLIM SPANKY。この対談企画では、そんな彼らがゲストとそれぞれのロック観、ロックに対する想い、表現者としての信念について語り合う。その最終回となる今回の対談相手は、みうらじゅん氏。GLIM SPANKYが昨年末の『第18回 みうらじゅん賞』を受賞したことは記憶に新しく、氏がロックマニアであることも周知の通り。当然のようにディープな話となり、さまざまな方向にも話が飛びまくりながらも、そこに両者のロックに対する愛情と信念が満ちあふれていた。

邦楽のバンドも洋楽っぽくなってきたけ
ど、日本語が乗ってない

ーーGLIM SPANKYが昨年末の『第18回 みうらじゅん賞』を受賞したわけですが、じゅんさんがGLIM SPANKYの楽曲を初めて聴いた時の印象はどんなものだったのですか?

みうら:
すごいコがいるって、友達のいとうせいさんこうからメールが来てね、ポチってネットで映像を観たんだけど…それはレミちゃんがひとりで「焦燥」を歌ってる映像だったんだけど、必死でレコードを買っていた高校生の時のような気持ちになったというか。最近は自分の琴線に触れる日本のバンドっていなかったので、すごく嬉しかったんですよ。それからファンになりました。

ーーじゅんさんはボブ・ディラン、トム・ジョーンズ、吉田拓郎好きで有名ですが、どこか共通したものを感じたとかですか?

みうら:
今の人が吉田拓郎ってミュージシャンにどんなイメージを持っているかは分からないけど、中2ぐらいの時に「イメージの詩」っていう曲を初めて深夜放送で聴いた時も同じようなことを思ったんですよ。うまく言葉では言えないんだけど、グッとくる音楽って理由がないから。GLIM SPANKYは、それに似た衝撃でしたね。

松尾:
光栄です!

みうら:
バンドのものも聴かせてもらったんだけど、“意味の分かる洋楽”みたいな感じだったんですよ。まったく邦楽を聴いている感じがしなかった。ないものが好きだからってのもあるのかな。

ーーじゅんさんの印象としては、今までにないものだったと。

松尾:
そうだったら嬉しいですね。私自身も音楽ファンとして洋楽をずっと聴いてきたから、どうしても“洋楽は素晴らしいもの”っていう意識があって…だからこそ、そこに挑んでいるというか。今ってそういう日本のバンドがいないような気がしていたので、それを自分がやりたい…ワールドワイドに通じるカッコ良いロックサウンドに日本語を乗せたいと思って、それに挑戦しているところですね。

みうら:
和洋楽みたいなジャンルってあるんだなって。日本語なのに洋楽に聴こえる音楽って歌がサウンドにマッチしているから、そういうふうに聴こえるんだと思うんだけど。

ーーGLIM SPANKYって洋楽になりたい邦楽バンドではないし、J-ROCKをルーツにしたJ-ROCKバンドでもないですからね。

松尾:
あー、そことは全然違いますね。それもあってか、自分と同世代のバンドと音楽的な話が合わなかったりするんです。でも、周りのバンドと話が合わなかったからこそ、自分たちが影響を受けてきた音楽をそのまま出せば、他のバンドと違うものになるはずだっていう想いがすごくあって、今のようなロック的サウンドになっていった感じですね。
亀本:
僕は20歳ぐらいから洋楽しか聴かなくなってしまって、邦楽のヒットチャートの上位とかまったく知らないような大学時代を過ごしてたんで、ほんと無意識だったんですけど、こういう音楽になった…たまに、いい日本のバンドがいるって教えてもらって聴いてみると、イントロとかフー・ファイターズみたいなんですけど、歌に入った瞬間にずっこけるっていう。結局、声がはまらないと、そういうサウンドを作ってもダメなんですよ。それに気付いたというか。やっぱりレミさんの声があったから、このサウンドでも成立しているんだなって。

みうら:
まさにそうなんだよね。サウンドは洋楽っぽくなってきたんだけど、やっぱり日本語が乗ってないというか。

松尾:
本当はロックに日本語を乗せるのって無理だと思うんです。輸入文化なので難しい。でも、“その壁を越えてやる!”ってデカイことを言いたいし、不可能ではない気がしているんです。そうやって夢を見続けてやってます!

みうら:
レミちゃんの場合はお父さんの影響がすごいから。生まれた時からロックの土台があったのは大きいよね。そういうものがない中で、洋楽に憧れて摂取した人と、もともと血に入っている人とでは違うと思う。だから、“無意識”という感じがすごくする。努力じゃないもん。やっぱり努力って“頑張ってるな〜”って分かるし、洋楽の人はそんなところに努力してきてないからね。俺も高校の時にアコースティックギターかき鳴らしながら歌って、最後に“オーラーイ!”とか言ってるんだけど、雰囲気だけでやってるんだよね。「家出のすすめ」ってオリジナル曲だったんだけど、最後に“All right”ってなんだよ!って(笑)。それはそれで面白いんだけど、身に付いてないものだったよ。“Yeah! ”っていう言葉すら身に付いてないし。だってね、うちの高校は男子校だったからかもしれないけど、授業中、正しい発音で英語を話すと虐められるんだよ。“an Apple”ってちゃんと発音すると“オ〜”って(笑)。そこは“アン・アップル”って言わないといけないような、まだそんな日本の状況だったから。

松尾:
でも、確かに中学校の時とか、ちゃんとした英語の発音をすると恥ずかしい風潮はありました。だから、学校の授業での英語と自分が好きで真似して歌う洋楽は、まったく違うものとして考えていましたね。あれは何なんでしょうね。授業でちゃんとした英語の発音をしていると、周りが“あれ、やばくね〜”ってなる(笑)。
みうら:
まだあるんだ(笑)。GLIM SPANKYがCMで「MOVE OVER」のカバーをやってたけど、最初に聴いた時、ジャニス・ジョプリンかなって一瞬思ったけど、 “baby”の発音が違うなって(笑)。かわいかったんだもん。でも、そこがいいなって思って。あれが完璧なカバーだったら、ジャニス・ジョプリンでいいわけだから。
松尾:
嬉しいです。もちろんジャニスのレコードは家にあったし、『ウッドストック』から彼女がどういうふうに生きてきたかとかも知ってるんですけど、ジャニスはあまり好きじゃなかったんですよ。声が好みではなかったんです。だから、CMでカバーしてたからって“ジャニス、絶対に好きでしょ?”とか“ジャニスの影響を受けてるでしょ?”って言われることが、実は心外だったんです。でも、ある日、亀本から“それってすごくいいことじゃん“って言われたんですね。ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズも“男性ジャニス・ジョプリン”って言われていたし、そんな大物の人の声に似ているっていうことは、それだけ普遍性があって、国を問わずに伝わる声だってことだし、すごくいいことなんじゃないかって。

亀本:
亡くなっているからってのもあるけど、僕からすればハスキーですごい女性ヴォーカルだったら、みんな“ポスト・ジャニス”なんですよ。ロックギタリストで黒人だったら、みんな“ポスト・ジミヘン”って言われるから、それと同じなんだよって。

みうら:
そこまで説明されなかったら納得がいかなかったんだ(笑)。

松尾:
でも、あのカバーをやったことで、良くも悪くもロック好きから注目してもらえるようになって、それが今につながっているのは確かですね。

みうら:
そらぁ、そうですよ。あの「MOVE OVER」、ロック親父たちは振り向きますよ。“俺らの好きなロックだ!”って。で、朝の情報番組にも出たでしょ? あれも大きかったと思うよ。朝の番組にロックな奴が出てきたら“危ないな”って思うもん(笑)。

松尾:
いろんな人が観ているような朝の番組…それこそ音楽が好きな人だけじゃない人たちも観ている番組にどんどん出ていくことが、私たちはロックだと思ってやってるんですよ。ロックってテレビに出るとカッコ悪いとかの風潮があったからこそ、私たちはその逆をいくっていうか。まさに“ワイルド・サイド”だよね(笑)。どんなにメディアに出ても曲げられないっていう根拠のない自信があるんで。

亀本:
ローリング・ストーンズの70年代や80年代をリアルタイムで観てきたわけじゃないから分からないんですけど、僕のイメージだとストーンズってもっと大衆的なもので…僕らがロックを聴き始めたのって2000年に入ってからになるから、その頃のロックってわりとアーティスティックで、ちょっと分かってるような奴が聴いたりして、“これ、いいよね”ってクールに言ってるようなものだったんですよ。僕は60年代や70年代のロックが好きで聴いていたけど、そのアーティステッィクなロックとの違いが分からなかったんです。僕は自分が聴いていたロックが素敵だと思ってるのに。だからこそ、朝の情報番組に出てジャニスの曲を演奏するのって、ちょっとバカげた話なんでしょうけど、そういうことがロックが大衆的なものになるきっかけだと思うんですね。僕らはそういうことをやっていきたいんです。
松尾:
うんうん。いくらジャニスが有名でも、どんな歴史的な人物であっても、時代が変わって誰も話題にしなくなれば、消えていってしまうと思うんです。だから、あの朝の番組を観て“GLIM SPANKYの新曲だ”って思った若い子もいるかもしれない。それはそれですごくいいことだと思うんですよ。今の時代にロックをやることによって、“GLIM SPANKYのあの曲ってジャニス・ジョプリンって人のカバーなんだ”ってなって、そこからジャニスを聴いて、ロックにのめり込んでいく若者だっているかもしれないし、あの時代のロックに憧れていた年配の方がもう一度夢を見れるかもしれない。せっかくメジャーというそういうことを発信できる場所にいるわけだから、私たちはロックファンとして“ロックは生きている”っていうことを表現していきたいと思ってるんです。それこそ同じリズムで飛び跳ねているようなフェスとかにも出て、若者の前で“これがロックなんだよ”ってロックのリズムをやったりとか、音で教えていきたいんですよね。10年後の日本のロックの土壌がどう変わっているか、私はすごく楽しみにしているので、今から自分たちが若者に…それこそ英才教育じゃないけど、ジャニスのカバーをやったり、フェスとかに出ていくことで、未来の日本のロックが少し面白くなるんじゃないかなって思ってるんです。

出来上がっているものに人はグッとくる

みうら:
GLIM SPANKYの曲ってね、どの曲もすでに出来上がってるんだよね。“ここをもうちょっとこうすればカッコ良いのに”とか思うところがまったくない。もう出来上がっているんだよね。そういう意味では、俺も高校生の時に出来上がってしまったんですよ。自己主張が強くて、学園祭ではトイレットペーパーを投げられる…俺らの時代ってコピーの時代だったから、みんなキャロルの曲とかやってるのに、俺はコードを知らなくてコピーができなかったもんだから、オリジナルソングしかやんなかった。その時点で、出来上がっちゃってね。それを本来なら長い年月をかけて壊したり、また作ったりしていくんだけど、俺はそれができなかった。GLIM SPANKYはね、出来上がったものを平気で壊してまた進んでいく気がして、カッコ良いなと思うんだ。いとうせいこうさんにGLIM SPANKYを教えてもらった時、“昔のみうらさんみたいだよ”って言われたからね(笑)。
松尾:
でも、あの動画は怒ってたな〜(笑)。「焦燥」って曲をひとりで弾き語ってるんですけど、いろいろあってブチ切れてるんですよ。自分でも笑っちゃうくらい爆発してるんですけど、上手い下手じゃなくて、その感情が伝わってくるっていうか。で、嬉しいのは、いとうせいこうさんが感想をTwitterでつぶやいてくださっていて。あれを歌ったのはまだ10代の頃だったんですけど、ちゃんと届くんだって…しかも、いとうさんという音楽やカルチャーに精通している方に届いて、みうらじゅんさんや安齋肇さんに言ってくださっているという。

みうら:
出来上がっている人の作ったものには歳なんて関係ないからね。プロとかアマチュアとかも関係ない。ただ、グッとくるんだよ。

松尾:
みうらさんって高校時代、音楽を共有できる友達っていました? 

みうら:
全然いなかったね〜。ひとりで音楽を漁っていたし、自分が作った曲をカセットテープに録音してラジオに送ったり…そうそう、それを三浦久さんが自分の番組でかけてくれたんだよ、一度。三浦久さんはきっと覚えてらっしゃらないと思うけど。そういう人がいるんだよね。ラジオってリクエスト曲は募集して、かけたりするけど、俺は勝手に自分の曲を送りつけてたから。

松尾:
え、募集があってとかではなくて!?

みうら:
もちろん、そんなコーナーなんてないよ(笑)。ラジオ局の人からしたらヤバいリスナーだと思ったんじゃない?(笑) でも、その頃の俺は出来上がっちゃってるから、三浦久さんなら分かってくれるんじゃないかと思って送ったってのもあるんだけど。三浦久さんはボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンの歌詞の訳詞をされているし、自分でレコードを出しておられたしね。
松尾:
そういう音楽を見つける人もすごいな〜。三浦久さんって私の地元で…ま、ちょっと離れているんですけど、『OREAD(オーリアッド)』っていう喫茶店をやっていて、毎週土曜日に飛び入り参加ライヴを開いているんですよ。私は父親に言われて、そこによく出ていたんです。父親もビート詩人みたいに詩を朗読とかしてましたね(笑)。で、その頃に三浦久さんが「みうらじゅんって人いるでしょ? あの人、僕のラジオ番組によくテープを送ってきてくれてたんだよ」って話を聞かされていたから、こうやってみうらじゅんさんともつながることができて、ほんとに運命としか思えない。

みうら:
奇跡ですよね。その頃の深夜ラジオって当然、流行っている曲がかかってたけど、三浦久さんの番組は誰も知らないような曲、例えばレナード・コーエンなんかがかかってたの。当然、ボブ・ディランもかかってたし。俺もカセット送っていいかなって(笑)。それがこういうふうに結び付くとはね。

松尾:
びっくりですよね。私も三浦久さんなら分かってもらえると思って、幻想文学とかをテーマにした曲をやってましたね。そうすると三浦久さんが「あの曲って、あの本の影響なの?」って言ってくれて、「そうなんです!」って。誰にも分かってもらえないから(笑)、そういう話も嬉しくて、よく三浦久さんとロックとか本の話をしてました。だから、私の夢はみうらじゅんさんと三浦久さんのお店に行って、一緒に歌うことなんですよ。それが一番現実に近い夢ですかね。

ロックはいろんなものを融合させるから
新しいものが生まれる

みうら:
GLIM SPANKYはどこかしらロックにインドが入ってるもんね。
松尾:
はい。父親がインドに数カ月滞在したことがあって、物心が付いた頃からインドから持ち帰った布とかが壁に飾ってあったんですよ。それがすごく怖くて…。でも、そういうものが周りにあったから、サイケデリック的なものが自分の中にあるような気がして、サイケデリックロックやサイケデリックフォークが好きになって…だからこそ、GLIM SPANKYにもインド的っていうか、異国的な要素を組み込みたいと思ってるんですよ。

みうら:
うんうん。インドの匂いいいよね。そのうち亀ちゃんがシタールを弾く日がくるんだろうなって。ま、そうなるとレコード会社の人が困るんだろうけど(笑)。あのね、ピンクフロイドの『モア』ってアルバムに「The Nile Song」って曲が入ってるから、一回聴いてみてよ。絶対に好きだと思うよ。

松尾:
! 今、思い出したんですけど、父親が「ナイル川のほとりで」って変な曲を作って歌ってました(笑)。みんな目指すものはインドなんですね(笑)。

みうら:
ビートルズの中で一番歳下で目立たなかったジョージ・ハリスンが、今で言う“自分探しの旅”をして、インドに辿り着き、感銘を受けて、メンバーも連れて行き、周りのバンドにも影響を与えて…あそこでロックがトリップになっていくから。

亀本:
ストーンズの「Paint it, Black」とかもそうですよね。

みうら:
ブライアン・ジョーンズもバリバリ影響を受けてたんでしょ? そこにボブ・ディランも入ってきて…アレン・ギンズバーグとかビート詩人も巻き込んでトリップさせるでしょ? 意味のないことが意味のあるような時代がくるんだよね。

松尾:
あれもインドが影響してるんですか!?

みうら:
だって、インドってゼロを発見したところだよ。お釈迦さんの『空』思想。すごくない? だから、あの頃、ロックはゼロを発見したんだよ。それまでにないジャンルの。

松尾:
いいですよね。サイケデリックロックって、ほんと素敵! 憧れちゃう。

みうら:
インドとロンドン、ニューヨークが結び付くなんてね。俺も自宅でピラミッド・パワーの下、瞑想したりして(笑)。でも、もろインドというのはキツかった、俺には。高校の時に友達に騙されて、ジョージ・ハリスンが出した『電子音楽の世界』を買ったんだけどさ、もう辛くて辛くて…。高校生なんで月に一枚しかレコードなんて買えないから、1カ月ずっと我慢して聴いていたけど(苦笑)。
亀本:
あれ、頭痛くなっちゃう(笑)。

松尾:
ロックはいろんなものを融合させるから新しいものが生まれるんですよね。

みうら:
いいよねぇ。GLIM SPANKYはレミちゃんのそういうディープサイドと、亀ちゃんのハードロックが融合していてカッコ良いね。ふたりのコンビネーションが、やっぱいいんだよね。ここ最近とんとそんなロックがなかったから目立つんだと思うよ。ところで、そんなGLIM SPANKYのデビューするきっかけって何だったの? 

松尾:
事務所の元先輩だったFoZZtoneというバンドが、学生限定でライヴのオープニングアクトを募集していて、周りのバンド仲間たちが結構選ばれていたんですよ。で、私たちって学生の頃は自信満々で、かなり舐め腐ってたから(笑)、“あいつらが受かってるんだったら、私たちも受かるに決まってるじゃない”って締め切りの5分前ぐらいだったけど応募したんですね。そしたら選んでもらえて…しかも2バンド選ばれるところを、GLIM SPANKY以外は決めれなくて1バンドにしましたってなって、“お、分かってんじゃん!”って(笑)。

みうら:
いいね、そこから天狗人生が始まったんだな(笑)。

亀本:
それがきっかけで、事務所の社長がライヴを観に来てくれるようになったんです。
松尾:
その頃は業界人はみんな敵だと思ってたし、“大人なんか信じるもんか!”って思ってたんで、かなり警戒したんですよ。社長もすごく胡散臭く見えたし(笑)。でも、話すとただの音楽好きで、ほんとにいい音楽を世に出したいだけっていうか、私が思っているような嫌な大人ではないなって。あと、その頃、事務所的にいろいろあって大変な状況で、続けられるか続けられないかギリギリの瀬戸際だったみたいなんですよ。そんな時に“うちに入らないか?”って言われていたんですけど、家を売ってでもGLIM SPANKYと一緒にやりたいと。で、社長、ほんとに家を売っちゃったんですよ! そこまでして一緒にやりたいって言ってくれるなら信用できる…もちろん、家を売ったからってだけじゃなくて、他にもいろいろ理由はありますけど、それがきっかけで事務所に入ったんですね。そこから社長がいろんなレーベルの人を連れてきてくれて、ほんとに私たちが信用できると思った人が、今のメーカーの方だったんです。だから、全てにおいて最初は誰も信頼していなかったから、すごく疑ってかかってたし…
亀本:
いや、僕は全然疑ってなかったよ。

松尾:
確かに、亀はそうだった(笑)。

みうら:
やっぱ、そのコンビネーションがいいんだよ。どっちも疑ってかかってたら、こうはなってないっていうか、いらないって言われるよ(笑)。

松尾:
そうですよね(笑)。でも、事務所にもレーベルにも疑いがなかったから、すごくいいスタートだったし、そういう人たちに出会えたというのが良かったと思いますね。

みうら:
やっぱ、人との出会いだよね。芸能的に売ってくれる人もいただろうけど、やっぱり分かってくれる人がいいよね。その人とやってダメだったら、それはそれでいいじゃん。

松尾:
そうなんですよ。覚悟を決められる人だったというか。

みうら:
だから、世の中、捨てたもんじゃないっていうか、やっぱりいるんだよね、そんな人が。GLIM SPANKYの音楽にグッとくる人も同じで。
亀本:
ちゃんと音楽を売りたいと思っている人がグッときてくれたというか…僕たちは一枚めっちゃ売れて、その後はどうでもいいっていうんじゃなくて、ストーンズみたいに20年、30年とずっと音楽をやりたいと思ってるんですよ。事務所もレーベルもそう思ってくれてたんで、僕は純粋に“だったらいいじゃん”って思ったんです。
松尾:
家を売るぐらいだから、そんなにすぐには手放さんでしょうって(笑)。

みうら:
次の新曲さ、「褒めろよ」に続いて「家売れよ」ってどう? “本気でやりたいなら、家を売れよ!”って(笑)。それって結構、サラリーマンには響くんじゃない?

松尾:
それいいですね(笑)。

ーー信念のあるロックを鳴らし続けていれば、ちゃんと届くところに届くってことですよね。しかも、レミさんは素敵なお父さんのロックな血を受け継いでいるし。

みうら:
素晴らしい。どうやらお父さん、俺と同学年だしね(笑)。

松尾:
みうらさん、ほんと「OREAD」で一緒に歌いたいです。で、うちにも遊びに来てくださいよ。うちの窓からUFOが見れるんで。

みうら:
すごい! 見たの?

松尾:
3回くらい見ました、家族と一緒に。絶対にそこの場所なんですよ。写真に撮ろうとしても、隣の月は写るのにUFOは写らないんです。誰も信じてくれないけど、ほんとですよ。

みうら:
それもロックのように選ばれたのかな? 見れる人と見れない人がいるもんね。ロックも感じる人と感じない人がいるようにね。

亀本:
僕、UFOは見たことない。UFOなんていないもん。

松尾:
いるんだよ。発泡スチロールみたいな球体が川の堤防の上を平行に飛んでたりするんだよ。

みうら:
それは自然現象で起こる火の玉の一種だって言う教授とか昔はいたもんだけど、もうみんな今、自分のことが忙しくなってきてるし、それよりも世の中が大変なことになってるから、UFOに構ってられないんじゃないの? UFOが流行ったり、ロックが流行ったりするのって、やっぱ心の余裕がある時だし…そこにロマンがあるのにね。
松尾:
私はそのロマンをずっと信じ続けて生きてます(笑)。

ーーそういう想いがあるから、ロックは生き続けるわけですね。出来上がっているものに人はグッとくるわけだし。

みうら:
話、まとまったね〜(笑)。いろいろ話が飛んだけど、最後にはまとまるもんだね。ちゃんと全部根拠があることだからね。

松尾:
うちからUFOが見れることにも根拠があるんですね(笑)。

亀本:
ジミヘンやジャニスはいたけど、UFOはいないからね。

みうら:
やっぱ、そのふたりのコンビネーションがいいよ。羨ましい(笑)。

著者:土内 昇/PHOTO:千々岩 友美

OKMusic編集部

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