Virginia Astley

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    Virginia Astleyヴァージニア・アストレイ

    父親は映画/テレビ音楽の作曲家兼アレンジャー、兄はプロデューサーという家庭に生まれたヴァージニア・アストレイ(余談だが、彼女の姉はザ・フーのピート・タウンゼントの奥さんだったりする)。
    7歳からピアノ、10代でフルートを開始。ロンドンのギルドフォード・スクール・オブ・ミュージックを経て、シティ・ユニバーシティへ——。この大学時代に、オーボエを専攻していたケイト・セント・ジョン(ドリーム・アカデミーのメンバー)と、オーボエ/ピアノ/コア・アングレ(=イングリッシュ・ホルン)を専攻していたニコラス・ホランド(ファン・ボーイ・スリーのディレクター)と出会い、"ラヴィッシング・ビューティーズ"を結成。3人でクラシックとフォークロアを共存させた静寂で美しい音楽を形成した。特にエリック・サティやドビュッシーのアレンジには定評があったらしい。
    ソロ活動開始後は、自らピアノ/オーボエ/フルートを演奏し、はかなくもどこか気高さまで感じさせる歌声と共に、薄氷のような世界観を構築。非常に寡作なアーティストではあるが、どの作品も丹念なつくりで彼女の人柄が窺い知れるようだ。
    3rdアルバムにあたる『DARKNESS HAS REACHED IT'S END』(86年)は、全10曲のうち6曲のプロデュース/アレンジ/ミックスを坂本龍一が担当。ここからシングル・カットされた「Charm」は、当時HONDAのCFソングに起用されていたから、記憶にある方もいるかもしれない。——派手な話題や全方位なコマーシャル性は皆無だが、良心的で陽だまりのような音楽に触れたい人には自信をもっておすすめできるアーティストだ。