原点回帰したヴァン・モリソンの『キープ・イット・シンプル』は全米ベストテン入りの傑作
ヴァン・モリソンほど日本で過小評価されているシンガーはいないだろう。過小評価と言っても、ミュージシャンをはじめ音楽関係者には絶大の信頼を寄せられているだけに不思議な印象だ。1964年にデビューした、モリソンをリードヴォーカルに据えたグループ、ゼムはビートルズ、ストーンズ、ヤードバーズ、スペンサー・デイヴィス・グループらと並んで、60年代のイギリスを代表するR&Bを基調にしたビートグループだ。67年には渡米しソロデビュー、現在まで40枚以上のアルバムをリリースしていて秀作は数多い。特に70年代にリリースしたアルバムは傑作揃いであった。今回紹介する『キープ・イット・シンプル』は2008年作。輝いていた70年代の作品を彷彿させる名作に仕上がっており、自身初の全米ベストテンに輝いた。