スタックスのアーティストが集結したドキュメンタリー映画の傑作サントラ盤『ワッツタックス/ザ・リビング・ワード』
1972年8月20日、ロサンジェルスのメモリアム・コロシアム(当時、NFLのロサンジェルス・ラムズのホームグラウンド)で行なわれたスタックスレコード主催によるコンサート『ワッツタックス』は、半日程度のコンサートであったにもかかわらず、11万2,000人を動員するという記録的なものとなった。これだけの動員数になったのは、貧困層のアフリカ系アメリカ人にたくさん来てもらいたいというスタックス側の思いから入場料が1ドルに抑えられたこともあるが、ルーファス・トーマスやステイプル・シンガーズら、スタックスレコードを代表するアーティストが出演したことや、コンサート前年の71年に公開され大ヒットしたアクション映画『黒いジャガー(原題:Shaft)』のサウンドトラックを手がけ、アフリカ系アメリカ人初となるアカデミー賞を受賞したアイザック・ヘイズが参加することも大きかっただろう。今回取り上げるのは、『ワッツタックス』の模様を収録(だけでなく、後録りも含まれる)したサントラ盤『ワッツタックス/ザ・リビング・ワード』。本作を聴くと、当時のスタックス所属のアーティストたちが絶頂期にあったことがわかる名演揃いである。なお、映画『ワッツタックス/スタックス・コンサート』はコンサートの翌年の73年に公開されている。