ロックの進化に貢献したムーディー・ブルースの絶頂期の作品のひとつ『童夢』
ムーディー・ブルースはメロトロンやサウンドエフェクトをよく使うからか、プログレッシブロックのグループと見られがちだが、実はそうではない。彼らはあくまでも美しいメロディーを生かすために当時の先進的な道具を使っていたのであって、プログレッシブロックを目指していたわけではない。キング・クリムゾンやイエスらとは立ち位置がまったく違うのだ。今回取り上げる7枚目となる『童夢(原題:Every Good Boy Deserves Favour)』を聴けば、プログレというよりポップでフォーキーなスタンスが彼らの持ち味であることが理解してもらえるはずだ。日本では本作で彼らの人気に火がつき(オリコン7位)、他の作品も聴かれるようになり、シングルカットされた「ストーリー・イン・ユア・アイズ」は毎日のようにラジオでオンエアされていた。本作は全英チャートで1位、全米チャートでも2位と大ヒットした彼らの代表作のひとつである。